「整備の部屋」では、ロードバイクやクロスバイクの整備に関わる情報を発信します。
⚠自転車は命を預ける乗り物です!少しでも不明な点、不安な点があれば、ショップ等信頼出来る人に確認してください!
目次
ロードバイクのハンドルの高さ調整について①:高さの変更による乗り味の変化
はじめに:ロードバイクのハンドルの高さ調整の必要性
ロードバイクのハンドルの高さ調整は、
・前傾姿勢の深さ
・ハンドリングの応答性
に関わってきます。この辺りを変えたい場合、試してみてください。
ロードバイクのハンドルの高さ調整について①
高さの変更による乗り味の変化
ロードバイクのハンドルの高さを変更すると、以下のような変化が生まれます。
ハンドルを高くすることによる変化
ハンドルを高くすると、一例としては以下のような効果が生まれます。
・前傾姿勢が緩くなる
・重心が高くなり、ハンドリングが鋭敏になる
これらにより、以下のようなことに繋がります。
・前傾姿勢を維持するための筋肉への負担の軽減
・(姿勢が起きすぎると)全身の筋肉を効率的に使ったペダリングの難化
・姿勢が起きることによる酸素摂取の円滑化
・姿勢が起きることによる空気抵抗の増(※)
・コーナリングの応答性向上
・ダンシングの応答性向上
※ただ、ハンドルが遠すぎる場合に比べて、むしろ長時間にわたりコンパクトにまとまった深い前傾を取りやすくなる場合もあり、一概に言えません。
ハンドルを低くすることによる変化
ハンドルを低くすると、一例としては以下のような効果が生まれます。
・前傾姿勢が深くなる
・重心が低くなり、ハンドリングが安定傾向になる
これらにより、以下のようなことに繋がります。
・前傾姿勢を維持するための筋肉への負担の増加
・(姿勢が深すぎると)全身の筋肉を効率的に使ったペダリングの難化
・姿勢が深くなることによる酸素摂取の難化
・姿勢が深くなることによる空気抵抗の減(※)
・コーナリングの安定性向上
・ダンシングの応答性低下
※ただ、ハンドルが遠すぎるより近い方がむしろ長時間にわたりコンパクトにまとまった深い前傾を取りやすくなる場合もあり、一概に言えません。
ヒルクライム、ロングライド志向ならばある程度高めでもよいと思います。
逆に平坦を高速巡航するような走り方や、スプリント的な走り方をする人は低くするのが望ましいものと思います。
大勢を占めるであろう非競技ライダーは高めで良いと思います。ハンドル低い方が審美的な面では格好良いという風潮があるのは事実ですが…。
ロードバイクのハンドルの高さ調整について②必要な工具
ロードバイクやクロスバイクのハンドルの高さ調整に必要な工具は、オーソドックスなものであれば以下のひとつだけです。
アーレンキー or トルクレンチ(必須)
所謂六角レンチです。4mmか5mmが多いです。
近年はエントリーモデルでもフルカーボンフォークの自転車が増えていますので、締め付けトルクを管理できるトルクレンチを使うのが望ましいと考えます。
ロードバイクのハンドルの高さ調整について③実作業
ここから先は実際の作業です。
※近年は独自規格が増えていますが、あくまでオーソドックスなアヘッドステムの自転車における作業です。
※初めてであれば「正しい状態」を知る意味で、作業前に、末尾の(6)確認、の事項を試してみると良いです。
正しい状態を知っていないと、取り付け後に確認しようにも本当に問題ないのか分からない場合があると思います。
(1)ステムのネジを緩める
ステムの脇についているネジをアーレンキーで緩めます。
ネジは反時計回りで緩みます。また、時計回りで締まります。水道の蛇口と同じです。以前に質問されたことがあったので一応記載。
ネジは抜ききらず、緩めればOKです。
また、一方のネジに過負荷がかかるのを防ぐため、一方のネジを1/4回転緩める→他方を1/4回転緩める、を繰り返して均等に緩めるとよいです。
(2)フォークコラムのトップについているネジを緩める
続けて、フォークコラムのトップについているネジを緩めます。
トップキャップを外せるようになり、ステムやコラムスペーサーを取り外せるようになります。
(3)ステム・コラムスペーサーの順番を入れ替える
コラムスペーサーとステムの順番を入れ替えることで、ハンドルの高さを変更できます。
注意点として、コラムスペーサーやステムそのものを変更する場合は、フロントフォークの上端より、ステム+コラムスペーサーの上端が少し高くなるようにしましょう。
フロントフォークの上端が露出した状態では、ステムを適切に固定できません。
(4)トップキャップを締める
スペーサーの入れ替えが終わったら、ステムのネジを締める前にトップキャップのネジを締めます。
トップキャップのネジは、締め加減が重要です。締めれば締めるほどいいものではなく、締めすぎるとフロントフォークの機能を破壊します。
まずアーレンキーの短い方を手で持ち、長い方を使って、締められるだけ締めましょう。
その後、長い方を持ち、短い方を使って1/2回転程度締めるとちょうど良いことが多いです。
(5)ステムのネジを締める
最後に、ステムのネジを締めます。締め付けトルクが指定されていると思いますので、トルクレンチで締めましょう。
近年はお手頃なアルミロードでもフルカーボンフォークのモデルが増えています。カーボン製品は締め付けトルクを守らないと、破断してしまう危険性があります。
(アルミならずさんな管理で良いという訳ではありませんが、カーボンはシビアに管理するのが望ましいです)
トルクレンチは安いものであれば数千円で買えるので、安全への投資だと考えて1本持っておくと良いです。
締めつけは上下均等に。緩める時同様、上側を1/4回転→下側を1/4回転、を繰り返す等し、均等に締めましょう。
(6)確認
問題なく取り付けられているか、以下のようなテストで確認するとよいです。
・ブレーキを握って車体を前後に揺すった時、フォークがカクカクと鳴らないか。
・車体の前側を少し持ち上げて地面に落とした時、「びびった」ような音がしないか。
・コラムスペーサーを手で持って回そうとした時、回らないか。
どれかでも問題がある時は、何かしらに問題があるのでやり直しです。
以上で作業は修理となります。