「ロードバイクは105から」と言われます。また、「ロードバイクのブレーキは最低でも105」という言い方も昔からよく見かけます。
今回は、この「ロードバイクは105から」について考えてみたいと思います。
目次
トータルとして見た時の105に対する率直な感想(ブレーキ以外)
cf. 「BR-5800」「BR-R7000」と「BR-R8000」
はじめに
筆者は3台持ちです。
手持ちのバイクは最もハイスペックなものでも先代5800系105のカーボンフレームです。
5年目にしてようやくカーボンフレーム&105を手にした形で、それまでは長らく8速クラリスや、9速ソラを使い続けてきました。
というより、今もサブバイクでそれらのコンポを使っています。
トータルとして見た時の105への率直な感想(ブレーキ以外)
フロント変速
ソラ・クラリスでもフロント変速が思ったとおりに上がらないようなシチュエーションは、余程高負荷な走り方をしなければまず無いです。
しかし、その「余程高負荷な走り方」をするのが本番=レースで、その時にフロントが上がらなければ、普段幾ら調子良く変速しても負けです。
筆者、実体験としてクラリス組バイクでレースに出たことがありますが、見事にフロント変速に失敗しました。
登り切って、ゴール前数百mが緩いくだりになっているコースで、まさかの上がらないという事態。購入以来練習バイクとして結構無茶な変速も行っていながらフロント不調は購入以来2回目か3回目程度でしたが、「そのとき」に起きました。
結果は言わずもがな。
105は、グレードの低いコンポに対してそういうことが起こりにくい工業製品だなというのは、使っていると分かります。
明らかに「しっかり」チェーンが上がります。いまのところ落とした経験はゼロです。
裏を返せば、レースレベルでなければ下級コンポでもなにも問題ないと思います。
少なくともシマノ製品であれば、下級だろうが105だろうが操作系の重さの差は我慢できる程度のもので、変速時間の差もさして変わらないです。慣れの範疇で全くストレスに感じない変速をします。
下級コンポで変速不調が起きるならばそれは下級コンポのせいではありません。マニュアル片手にセッティングし直したほうがいいです。
リア変速
基本的にどれでも変速はします。強いて言うとクラリスとソラの間にちょっと壁があるようには思います。
(クラリスはチェーンが太いせいか、変速でガシャンと掛け変える感じがわかります。ソラはカシュっと、もう少し静かに変速する感じです。)
ただし、ソラと105だともう、通常ユースだと"どっちも静か"で変わりません。
筆者はヒルクライムが好きです。
基本的に無理な変速はしないよう心がけていますが、余裕がなくなってくるとダンシングで踏みながら変速してしまうようなこともあります。
そんな時、どのコンポでも変速はします。
三者三様に、嫌な音を立てながらも変速はしてくれます。
しかし、105はクラリス・ソラよりバシッと掛かり変わる感の強さを感じます。
しっかり掛かっている感と言い変えてもいいでしょう。
ただ、これはあくまでフィーリングの差です。実際として調整不良以外の変速ミスは、どのコンポでも起きたことはありません。
105でも下級コンポでも変わらないと言えます。
STIレバーの握り
筆者は2400クラリス・3400ソラ・5800の105の3つを使った経験があります。
2400クラリスは7800系列のレバーを太く大きくしたかたちです。
また、3400ソラは7700系列の設計にあたります。
5800の105は、9000系の設計。
印象としては5800>3400>2400という具合です。
下2つのインプレはこの記事では避けます。
105のSTI レバーは、自分が現状使う握り方の5種類程度は全てストレスフリーに出来ることは確かです。
つまり、なんら問題がないレバーです。
また、ブラケット持ちでブレーキレバーに指をかけた時、人差指&中指のあたる部分が明らかに広くなっています。
これは2400や3400にはなかった特徴です。
面が大きいためブレーキを握りやすく、このレバーの美点と言えると思います。
ブレーキの感想
前に挙げた変速系統一式については、正直なところ「105のほうが良いが、下級コンポでもそれで決定的に不満な事はない」というのが現状自分の見解です。
※ほぼヒルクライムしかやらない人間で、F変速をシビアなシチュエーションで使う機会が然程多くないこともあるとは思います。
しかし、ブレーキについては105の安心感は強いです。
言われ尽くされている事ながら、比較使用してみるとよくわかります。
ただ、シマノブレーキであれば低級コンポのものでもまだ良いです。クラリスでもとりあえずヒヤッとしない程度に使えはします。
問題は社外品です。
某P社製ブレーキをほんの一時期使っていたのですが、なんと時速15km/hからの制動でさえ恐怖を感じるレベルでした。
具体的に書くと、その某P社製ブレーキはブレーキシューが非常に硬くて、ホイールのリムを全く噛まずにシューっと滑っていくような具合でした。
加えて戻りバネが異常に強く設定されており、ブラケットからでは指3本ブレーキでないと握り込むことさえむぅかsような具合でした。
その某P社製ブレーキは10万円程度のクラリス完成車に純正で付属していたものです。
当時は金欠学生だったことから、10万円で購入してすぐにブレーキを交換するようなお金を確保するのは至難の業でした。
そのため、一旦はブレーキシューをシマノ105〜デュラエースのR55C4に交換してみました。
それによりブレーキシューとリム間の問題は解消されたため、思い切り握り込めばある程度効くようにはなりました。
しかし、戻りバネの異常な強さから、依然として使い勝手には不満が残りました。
結局、財布をほぼカラにして、程なく5800系105のブレーキを購入しました。
105ブレーキは50km/h出ているところからでも全く恐怖感無く制動できます。
勿論アルテグラやデュラエースのブレーキと比べれば性能は低いのでしょうが、大半のライダーにとってこのブレーキで不満を感じることはないと思います。
なお、キャリパーはVより制動力が低いと言われます。
筆者はミニVブレーキも使用していますが、感覚としてはミニVのほうが立ち上がりが鋭いものの、握り込んだときのストッピングパワーはほぼ同程度と感じます。
エスケープR3等のクロスバイクから乗り換える場合でも、105ブレーキであれば制動力にそこまでの差を感じることは少ないと思います。
「必須」か否か
しかし、自分の体験をもとに「105ブレーキが必須」とは言いにくいです。
何故なら、人によってどの程度の制動力が必要かは千差万別だからです。
やってみるとわかると思いますが、5kgも荷物を背負うと制動した時の止まる感は別物になります。車体の重量差、人員の重量差でこの程度の差は容易に生じてしまいます。
自分の条件下では某P社製ブレーキは怖くて使えたものではありませんでしたが、もっとライトウェイトな車体に体重の軽い人という条件や、ホイールのリムに制動力を確保するような加工をされているような条件であればまた別かもしれません。
また、戻りバネの重さについても、握力ゴリラな方であれば関係なく握り切れるでしょう。自分の握力が弱い(30強)だけの可能性も高いです。
「105以上のブレーキを使わないと危険」という言い方さえ見かけますが、個人的には上記により必ずしもそうとは言い切れないものと思います。
ただし、仮に社外製品のブレーキを使用していて制動力に不満がある場合は105ブレーキに交換すると一気に改善される可能性があることは確かです。
また、制動力が余裕を持って確保されていることは安全に直結するため、仮に制動力に現状不満を感じていなくとも、カスタムする時に優先順位を高めに持ってくるのは良い選択肢だと思います。
※逆に、自分よりも重量があったり、握力が低い場合は105ブレーキでさえも不足な可能性があることは、一応申し添えておきます。
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cf. 「BR-5800」「BR-R7000」と「BR-R8000」
ブレーキアーチの構造で言うと、9000世代(記事作成時点での先代)は2種類でした。
105以上が左右対称の2支点でアームを稼働させる形であったのに対して、ティアグラ以下は7900世代(2世代前)以前と同じ片側支点でした。
そのため、105ブレーキのBR-5800を購入しておけば、技術レベルとしては最新のものを採用したブレーキを使っているという面がありました。
しかし、現行9100世代では、デュラエースのブレーキとアルテグラのブレーキには、さらにブースターが追加されています。
ブレーキのアームが外側に押し広げられるのを防ぐ役割を持ったものです。
このブースターは、BR-R8000までの技術です。BR-R7000には降りてきていません。
したがって、BR-R7000は9100世代の最新の技術を全ては搭載していません。
使用感として5800のブレーキに不満を感じた経験はなく、ブースターが入っていなくとも個人的には問題を感じません。
しかし、「最新の技術が反映された製品」というのは特に安全面に関する機材の場合、精神衛生に関わる部分が大きくあると個人的には感じるため、一応注記しておきます。