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…グランペール…

エスケープR3を、改めて考えてみる。

エスケープR3

趣味の自転車に少しでも造詣がある方であればまず説明不要でしょうが、スポーツ自転車メーカー最大手「GIANT」のベストセラーなクロスバイクです。

筆者は、さる4年半前にこのエスケープR3を購入したことをきっかけとして、スポーツ自転車に乗るようになりました。

今、この段階でエスケープR3というクロスバイクについて思うことを、書き連ねたいと思います。

なお、この記事はこれからスポーツ自転車(クロスバイク・ロードバイク)をはじめようか悩んでおられるような方を、後押しできればいいなという意図で書いています。

また、スポーツ自転車という趣味を認知していなかったような方に、趣味の選択肢のひとつとして自転車を加えていただけたらよいな、という意図もあります。

 

▼この記事は長いので、YouTubeをひとつ貼っておきます。よかったらBGMとしてください。

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いきものがかり 『ありがとう』Music Video

 

            

目次

はじめに:エスケープR3の諸元

筆者とエスケープR3の馴れ初め

その後の、筆者とエスケープR3

さいごに

 

            

はじめに:エスケープR3の諸元

まず、写真を掲載します。

こちらは筆者のもので、2015年モデルです。

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エスケープR3(筆者・純正)

写真を見れば、ああこの自転車か、と分かる方も結構おられるのではないでしょうか。

冒頭のとおりベストセラーなクロスバイクで、多分間違いなく日本でいちばん売れているクロスバイクです。

学校などの数百台単位の駐輪場で探せば、だいたい2、3台は止まっているくらいの頻度で見かけます。

 

エスケープR3の値段

まずスポーツ自転車というと真っ先に言われることが多いのは「高いのでしょう?」というひとことです。

数字として回答を上げると、年式により違いはありますが税抜5万円〜5万円台前半です。

税込では5万円台中盤〜後半となります。

ただし、お店によって1割引程度はよく見かけます。お店を選べば実売5万円程度で購入することは可能です。競争率が上がりますが、型落ちになると5万円を切っている場合もあります。

高い、安いはなにと比較するかでしょう。

完成車1万円、2万円のママチャリと比較すれば高いと思います。

しかし、原付並みの速度を簡単に出せる乗り物で5万円と考えれば、安くも思えてきます。

趣味として考えた場合、趣味への初期投資は10万円程度を目安にすることが多いように(個人的には)思われますが、その点エスケープR3は5万円ですから、安いでしょう。

ヘルメットとライト等を買っても6万円でお釣りがきます。

また、ドロップハンドルを装備した本格的なロードバイクは最低8万円程度からで、上を見れば7桁円です。それと比べれば格段に安価だと言えます。

その他、よく比較対象にあがる電動自転車は、しっかりしたものだと10万円はします。エスケープR3の2倍程度です。

エスケープR3のスペック①重量

重量は年式により変動しますが10kg台に収まります。比較として、普通のママチャリは軽くても17~8kgはあることがほとんどです。

重いものだと20kgを超えてきます。

つまり、エスケープR3は一般的なママチャリの半分程度の重量だといえます。

数字だけで考えても実感が湧きにくいでしょうが、2Lの天然水ペットボトル4〜5本分軽いと言い換えれば、その圧倒的な軽さが想像しやすいのではないでしょうか。

自転車でつらいシチュエーションといえば何よりも登りだと思いますが、エスケープR3はこの圧倒的な軽量さのおかげで、普通のママチャリより断然軽いです。

登りを電動アシスト自転車と比較しても、電動自転車に分があるのは余程の急勾配や何kmも続く坂くらいだと個人的には思います。

街乗りレベルで遭遇する大半の坂であれば、エスケープR3のほうが断然軽快に登るというのが、電動自転車もエスケープR3も長年乗ってきた筆者の感想です。

エスケープR3のスペック②各部品

フレームは、6061-T6アルミニウムによります。エントリーモデルのロードバイクと同じ素材です。カーボンや、ハイエンドアルミよりは重いですが、ママチャリに比べれば非常に軽量なフレームです。

 変速関係部品一式は、シマノMTB系8速のものを基本に一部3rdパーティ製品を採用しているかたちです。

前3速、後ろ8速となっています。掛け合わせて24速です。

24速あることで出来るのは、シチュエーションに合わせて脚にくる負荷を細かく変更する事です。

これにより、変速が無いか、あっても段数が少ないママチャリに比べて長距離走行では格段に疲れにくくなります

その他の部品…ホイールなどは、必ずしもグレードの高いものではありませんが、最低限の性能が確保されています。

有名メーカーの製品でも、たまに純正で恐ろしくブレーキが効かないロードバイクがあったりしますが、エスケープR3についてはそういう「外れ」な部品はありません。

乗り込んで知識が増えると不満が出てくる場合はありますが、純正のままでもとりあえず安全かつ軽快に楽しく走れるパッケージです。

 

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筆者とエスケープR3の馴れ初め

これから購入を検討される方などには参考になるかと思いますので、書きます。

馴れ初め

筆者が高校生の頃は、Lance Armstrong が ドーピングを認める前でした。

英語の教科書には彼の前半生を書いた文章があり、3年生になってその文章を読みました。

そこに挿入されているロードレースの写真で、それまでママチャリしか知らなかった筆者はスポーツ自転車を知りました。

価値観をひっくり返され、こんな乗り物があるのか、と憧れが芽生えました。

 

高校時代、筆者はママチャリ通学でした。

田舎の学生だったため、片道10km以上の山道をママチャリで通学していました。

3年生にもなると、タイヤを交換しないで走り続けたママチャリは頻繁にパンクするようになりました。

そのたび、自転車屋さんに修理に出していましたが、その時に自転車屋さんの店内を見回していたところ、一台の自転車が目に止まりました

エスケープR3です。

これが、あの英語の教科書に出ていた乗り物か(当時はクロスとロードの違いは知りませんでした)と思いながら見ましたが、実物は写真より段違いに美しい乗り物でした。

そして、この乗り物に乗ってみたい!と強く思ったことから、筆者は貯金をはじめます。

 

乗ったら何をしようか?と筆者は考えました。

そして、筆者は関東圏の大学を志望していたことから、大学所在地から実家のある仙台まで自転車で帰省してみたいと考えるようになりました。

 

大学生になったらクロスバイクを購入して、大学所在地から仙台まで走ってみたい。

筆者の夢の誕生です。

 

大学入学、購入へ

大学に入って、上京しました。

クロスバイクを買おう…としましたが、残念ながら受験生時代の貯金では足りませんでした

やむなく、ママチャリを購入しました。

このママチャリは別に高級品ではありませんが、6段変速が付いていました。

また、高校時代に乗っていたママチャリと違い、高身長な筆者に合うところまでサドルを高くできました。

ハンドルも手前に湾曲したママチャリハンドルではなく、一本棒のフラットバーです。

クロスバイクを買えなかったぶん、素人知識でできるだけクロスバイクに近くなるようなママチャリをチョイスしたかたちです。

このママチャリはそれまで乗っていたママチャリよりも段違いによく走り、筆者が自転車を好きになるきっかけを与えてくれた車体です。

 

上京で全く知らない土地に来た筆者は、まず多摩の広大な自然を見て、ここは本当に東京なのかとかなり真剣に疑いました。

それをきっかけとして、引っ越しから4日後に買ったママチャリで片道30kmの新宿まで走りました

新宿のビル群を見てこれが東京だと心底納得したため甲州街道を戻りましたが、これが自分にとって最初のサイクリングでした。

そして、これをきっかけとして多摩を起点にママチャリで四方八方を走り回るようになりました。

 

その後、半年はママチャリで頑張りました

そして、秋頃にアルバイトをはじめて、最初のお給料が4万円でした。

手元にあった1万円を付けたして、自転車屋さんへ。

 

自転車趣味の世界にハマるとエスケープR3は安いという感覚になりがちです。

しかし、普通に考えて5万円の買い物というのは、結構大きな買い物です。

筆者も購入する前は、本当に出して良いのかかなり悩みました。

レジに1万円札5枚を置く手が震えたことを覚えています。

勇気を奮って、大袈裟かもしれませんが清水の舞台から飛び降りるぐらいの心持ちで購入しました。

 

やっと、念願のエスケープR3を購入できました。

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買った日のエスケープR3

 

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その後の、筆者とエスケープR3

最初のサイクリングは、購入した週の週末に平塚まで90kmでした。

その一週間後に相模湖を見に行こうと考え、大垂水峠に惨敗。

その後は箱根を登ったり、都心巡りをしたり、ママチャリの時よりもさらに広範に四方八方を走り回りました。

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箱根

購入から4ヶ月程度でドロップハンドル化して、そのまま今に至ります。

 

当初の筆者の夢だった"クロスバイクで、大学所在地から仙台まで走りたい"は、2回成功しました。

それぞれ22時間、20時間で373kmを走り抜けました。

 

その後はヒルクライム、自転車で峠道を登ることにハマりました。

東京近郊の峠や、遠くは富士山までゆき、エスケープで登りました。

一応人に言っても自分として恥ずかしくはないタイムとしては、和田峠15分04秒を、エスケープR3で出しています。

 

社会人になってカーボンフレームを買い足したことで、エスケープR3はつい先日、退役させました。

捨てるわけではなく、トレーニング用としてローラー台に据えつけています。

普段は部屋の椅子がわりでもあります。

 

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さいごに

性能についていえば、80点主義を抑えたような自転車です。

言わば優等生で、とりあえずスポーツ自転車としての最低限の性能は確保されていると思います。

他のスポーツ自転車と比べて何か積極的に秀でた自転車ではありませんが、大きな減点が生じるポイントもない。そんな車体です。

これで5万円というのは、スポーツ自転車に慣れてしまうとすごい価格設定だと思えてしまいます。

 

 

しかし、まえに書いたとおり、金銭感覚が自転車方面に壊れていない人にとって5万円はけして安い買い物ではありません。

ですが、エスケープR3に投資した5万円をきっかけにして自転車を趣味にしたことで、筆者は上記(ほんの一部しか書いていませんが)のような体験を得ることができました。

結果として、自分にとってこれほど"安かった"5万円の出費はありませんでした

たった5万円で様々な体験の糸口を作ってくれたエスケープR3は、筆者にとって最高のクロスバイクです。

 

購入を検討される方へ

残酷なことを書くと、趣味の自転車は続かない方が多いです。

個人的に感じる、続かない人に多い傾向は、移動時間を短縮したいという動機で乗りはじめる方。

あとは、特段の目的なく自転車に乗りはじめる方。

(もちろん、例外はたくさんあります)

移動時間を短縮したければ、なんらかの障壁がなければ原付や自動車を選んだほうが良いと思います。ママチャリよりは速いですが、10kmで5分短縮出来かというくらいです。

また、クロスバイクを買うならば、何か目標を立てたほうが長続きします。

どこまで行きたい、どれくらい乗って何kg痩せたい、等なんでも良いと思います。

 

しかし、趣味として続かなくなった人を見ても、エスケープR3を街乗りで使っている人を多く見ます。

完全に走行性能に振り切ったドロップハンドルのロードバイクと違い、そもそも街乗りを想定した設計であるため、日用遣いでも単純に速い自転車として使えます。

 

本当は目標を定めてから買うほうがいいと思いますが、「気になったからとりあえず買ってみる」でも後悔はしにくいものと思います

 

新型コロナウイルスに関連して給付金が10万円支給されますが、半分使ってエスケープR3を購入してみるのはどうでしょうか

"新たな生活様式"のスタートに、新たな趣味を取り入れるのも悪くはないでしょう。

趣味ではなく通勤通学に使うとしても、三密とは程遠い快適な通勤通学を楽しめます。

給付金の使い方として、良い使い方のひとつではないかなと個人的には思っています。

 

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