目次
ロードバイクのアウター 46T②アウター50Tは大きすぎる?
ロードバイクのアウター 46T③50-34Tは歯数差が大きい
ロードバイクのアウター 46T④アウター46Tのデメリットは?
ロードバイクのアウター 46T⑤アウター46Tをおすすめできるのは?
ロードバイクのアウター 46T①アウターギアとインナーギア
このブログは初心者の方に読んでいただくことも想定しているので、先ずは基本的な説明から。既にロードバイクに乗って長い方などは、読み飛ばしてくださいませ。
例外はありますが、大多数のロードバイクは、フロントギアを持ちます。
クランク(ペダルがついたシャフト)には、2枚の歯車がついているはずです。
この2枚の歯車の間でチェーンを掛けかえることにより、ペダル一回転あたりの後輪の回転数を変更することで、ペダルの重さを変えています。
外側の大きな歯車を「アウター」、内側の小さな歯車を「インナー」と呼びます。
フロント側の歯車は、歯数が多くなればなるほどペダル一回転あたりの後輪の回転数が増える、すなわちペダルが重くなります。
したがって、リア(後輪側)の歯が同じ場合、アウターにかけている時のほうがインナーにかけている時よりペダルが重くなります。
△筆者のSUPERSIXEVOのドライブトレイン
このアウターギア/インナーギアの歯数の組み合わせは、現在一般的なコンパクトドライブであれば基本的に50/34です。
ミドルグレード以上のロードバイクに多いですが、レースに使用されることを強く想定した自転車だと、純正でミッドコンパクトクランクと呼ばれる52/36の歯が付いたクランクが取り付けられている場合もあります。
また、シリアスレーサーだと所謂ノーマルクランクという、歯数が52/39や53/39のもの、現行のR9200世代であれば54/40という歯数のものを使う方もおられます。
自分の自転車の歯数がわからない!という場合は、チェーンリングをよく見てみると書いてあることが多いですので、探してみてください。書いていなければ歯の数を頑張って数えましょう。
ここまでが基本となる事項の説明ですが、この記事はアウターギアを、一般的な標準より歯数が少ない46Tのものに変えてみたお話となります。
ロードバイクのアウター 46T②アウター50Tは大きすぎる?
上記のとおり、標準的なコンパクトクランクであればアウターは50Tです。
一昔前に比べれば、これでもアウターギアの歯数は小さくなりました。
一例を挙げればコンパクトクランクがデュラエースグレードで設定されたのは79世代からで、それ以前はアウター52T、53Tを誰しもが使用していたような時代がありました。
しかし、アウター50Tでも、50-12Tに掛けて踏める方、どれほどおられるでしょうか。少なくとも筆者は無理で、瞬間1000wが限界の筆者だとスプリントをするにしても50-14Tくらいでケイデンスを上げたほうが速度が乗ります。
下り勾配や追い風であれば踏めるシチュエーションもあるかと思いますが、使用頻度はほぼ無いと言っていいレベルでありません。
また、大多数を占めるであろうレース志向でないロングライド派などの方にとってはスプリントを行う機会はそうそうないと思われます。
そのような方々の場合、アウター50Tの場合、トップギアの数枚が腐ることがザラにあります。
△一般的なコンパクトクランク
ダウンヒルで使うことは可能かもしれませんが、ダウンヒルでしゃかりきになってアウタートップを回すシチュエーションがどれほどあるでしょうか。
ロードレースに参戦されるような方はそのようなシチュエーションもあるかと思いますが、そうでない、ヒルクライムオンリーな筆者のようなサイクリストや、大多数であろうロングライダー諸氏にとっては滅多に無いかと思います。
このように考えていくと、アウター50Tというのは大きすぎる場合があることが分かります。
このような場合には、46Tに変えることでリアのスプロケットをよりトップ側まで使うことができるようになり、腐っているギアを減らすことが出来ます。
ロードバイクのアウター 46T③50-34Tは歯数差が大きい
リアのスプロケットについて、11Sの12-25Tのようにクロスレシオなものを選んだ場合、フロントが50-34Tだとケイデンスを大きく変動させないためにはフロントの変速と併せてリアを3〜4回変速する必要があります。
アップダウンの続く丘陵地帯などでフロント変速を繰り返すような場合など、操作の多さに疲労しがちです。
アウターギアを46Tとすると、34Tとの組み合わせでも歯数差12Tとなります。リアのスプロケットがクロスレシオなものでも、50Tを使用している時より概ね1速分、操作すべき段数が減ります。このため、多少なりともストレスフリーになります。
また、アウターとインナーの歯数差が減ることで、フロント変速のスムーズさにも繋がります。筆者はSHIMANO SORAで46-34Tを運用していますが、チェーンがアウターに登る速さは105の50-34Tと比べても遜色ないレベルです。純正のSORA 50-34Tよりは明らかに良くなりました。
ロードバイクのアウター 46T④アウター46Tのデメリットは?
アウター46Tにもデメリットはあります。以下では、デメリットを解説してゆきます。
アウター46Tのデメリット①アウターとインナーでギア比が重なる段が増える
アウターとインナーの歯数差が減る副作用として、アウターとインナーでギア比が重なる段が増えます。
「ギア比が重なる」とは、例えば、34-17と46-23はどちらもギア比2ですが、このようにアウターとインナーで(ほぼ)同じギア比となる段が発生することです。
アウターとインナーの歯数差が大きいと重なる段は減りますが、アウターを46Tにするとこのような、重なる段が増えます。
アウター46Tのデメリット②最高速は伸びなくなる
筆者が46Tを付けている自転車はロングライド、そして多少のグラベルを想定した組み方で、リアギアも14-25Tです。
アウタートップは46-14ですが、40km/h程度で回しきってしまいます。
とはいえ、レースにさえ出なければ問題となるシチュエーションはそれほど多くは無いかと思います。
△甲州街道のような高速コースだと回しきってしまうこともあります…
アウター46Tのデメリット③見た目の迫力は減る&場合によってはちぐはぐになる
アウターギアは大きい方がかっこいい、という美観も最早過去のものとなりつつあるように思えますが、そのような美観からするとアウターギアを小さくすることでどうしても迫力は落ちます。
また、46Tはすべてのグレードのコンポーネントに設定があるわけではありません。
取り付けこそ出来て問題なく使えても、クランクとインナーギアに対して、アウターギアが浮いた見た目になることがあります。
△歴戦のぼろぼろですが、筆者の46-34T。34系SORAのクランク、インナーリングにFC-3550 46Tを挿入。
アウター46Tのデメリット④フロントディレーラーによっては取り付けできない
アウターギアが小さくなるため、必然的にフロントディレーラーの取り付け位置を下げる必要があります。しかし、フロントディレーラーがフレームの台座に取り付ける形式(直付け)の場合、そもそも下げられない場合があるかもしれません。
また、バンド式であっても、ボトルケージの取付穴に干渉する場合があります。筆者のバイクがまさにそうで、シートチューブ側のボトルケージは取り付けできない状態になっています。
なお、バンド式のフレームでバンドがボトルケージの取付穴に干渉する場合、あえて直付け式のフロントディレーラーを用意して、バンド式に変換するアダプタを噛ませた上でフレームに取り付ければ、ボトルケージの穴を回避することは可能です。
ただ、筆者の場合、そこまでしてダブルボトルにしなくてもよいかなと考えているため、妥協しています。
アウター46Tのデメリット⑤SHIMANOとして換装を推奨してはいない場合がある
例えば、46Tの設定があるFC-R8000の場合、インナー36Tと組み合わせる想定の設計です。開発側としてはシクロクロスでの使用を想定しているのでしょう。
恐らく50-34Tのアウターギアを換装して46-34Tとしても実用上問題なく動作するかとは思いますが、SHIMANOが公式に認めている使い方からは外れます。
50-36T等を使う場合と同じく、所謂自己責任カスタムになります。
ロードバイクのアウター 46T⑤アウター46Tをおすすめできるのは?
ここまで、アウター46Tのメリットやデメリットを紹介してきました。
上記より、アウター46Tをおすすめできるのは「非レース派で滅多に40km/h以上を出さない方」「50Tを使用していて、トップ側が数枚残して踏めない方」となります。
デメリットの欄に記載したとおり、取付がそもそも難しいフレームがあるのは事実ですが、上記のような方で取付が可能なフレームをお使いの場合はぜひご検討いただければと思います。