- 磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライムとは?
- 磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム①レースまで
- 磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム②レース
- 磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム③レース後
- 磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム④最後に
磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライムとは?
磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム高湯ステージは、福島県にある「磐梯吾妻スカイライン」を舞台としたヒルクライムレースです。
「磐梯吾妻スカイライン」は昭和34年開通の山岳道路です。高湯温泉から、吾妻連峰を抜けて土湯峠に至る、全長28.7kmの道路です。
森林限界を超えた荒涼とした風景は、「日本のアリゾナ」とも呼ばれています。
そんな「磐梯吾妻スカイライン」を封鎖してレースを行うのが、「磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム」です。
Day1とDay2の2日間で高湯側と土湯側からそれぞれヒルクライムレースを行い、各日のほか総合順位でも争う形式の珍しいレースです。
筆者が参加した高湯側のコースプロフィールは、14km/獲得標高約800mというものです。
なお、筆者は不参加でしたが、土湯側は27km/獲得標高約1,100mというコーススペックです(が、今年は急遽一週間前に一部区間がニュートラルになり、2分割レースに…)。
磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム①レースまで
エントリー
前述のとおり本レースは土日で高湯ステージ、土湯ステージの2ステージを走り、各日のほか、両日の総合順位でも争う形式です。
筆者としては、今年のターゲットレースは6月中旬の岩木山と、8月下旬の八幡平を考えており、このレースにエントリーしたのはレース感を鈍らせないためという感が強かったのが正直なところです。
レースは練習と捉えれば練習質量とも微妙であるのは事実で、レースだけ出ていると調整で練習量を落とすのもあり、どんどん弱くなってしまうことがあるものと考えています。
そんな観点から、土曜日だけのレースで、日曜日は練習に使えるレースとして、このレースに参加することにしました。当初は調整などもせず、臨もうと思っていたくらいです。
これだけ書くと大変消極的なエントリー理由ですが、磐梯吾妻スカイラインはいちどは走ってみたいコースだったということもあり、レース自体はとても楽しみにしていました。
アスリートクラスにエントリーするか、年代別にエントリーするかは正直悩んだのですが、ここ2年のリザルトを見るとアスリートクラスへの参加者が非常に少なく、ほとんどマッチレースのように見えてしまい、そのような中で(おそらくアスリートクラスに出る方には一歩及ばないであろう)自分の実力でエントリーしてしまうと一人旅が確実に思えてしまったので、年代別での参加にしました。
結果的にはアスリートクラスも随分賑やかで、全国区で有名な方々が何人もおられ、正直そちらにエントリーしてみたかったなとエントリーリストを見たあとに思ったのですが、それは来年のお楽しみということにしたいと思います。
レース前の調整など
上記のとおり、当初はこのレースの優先度をあまり高く考えていなかったのですが、岩木山ヒルクライムが暴風雨で中止となってしまったので、次にエントリーしていたこのレースをしっかり走ることにしました。
岩木山ヒルクライムが中止になった結果、調整という名前のもとで怠惰な生活をしてお米を食べまくった人が爆誕してしまったので、岩木山の次の週はとにかくカロリー消費すべく、月火木金の4日間2部練をして、練習量を稼ぐことに努めました(「このレースのための調整」としては適切ではないと思うのですが、この週まで寝ぼけた生活をしていると流石に長期的な視点で弱くなりそうなので、しっかり走りました。)。
週末はいつもどおり練習し、本大会の前週は強度を極力保ちつつ、量を落とす形で調整しました。
岩木山の前は睡眠がうまく取れず苦しみましたが、本大会の前はクーラーをつけたり、お腹を壊さない程度に薄着で寝ることに努めたりすることで、前週は毎日6時間以上は寝ることができました。
ただ、前日夜にクーラーの設定を誤り(教訓:アイリスオーヤマのポータブルクーラーは、おやすみモードを「使わず」27℃で設定すると良い…)、部屋が全然冷えずに寝つきが悪く…。かろうじて6時間眠れたというくらいでした。
食事については、木曜日まではいつも通りに、朝はお米をご飯茶碗に2杯、お昼はお弁当にご飯をタッパー1杯、夜もお米をご飯茶碗に2杯食べて、残りのカロリーを野菜やタンパク質に充てていました。
前日のお昼(休暇取得)だけ、少しお腹が空いたのでご飯茶碗3杯分を食べましたが、過度に食べ過ぎたり、逆に食べなさすぎたりすることはなく、普段通り食べました。
当日は、朝にご飯茶碗2杯、10時頃におにぎり2個を食べてレースに臨みました。
岩木山でうまくいった、森永マミーとビオフェルミンによる整腸は引き続き実施。今回もいい具合であり、これは自分にあった方法なのだろうなという感があります。
なお、体重は62kgを少し切る程度(練習後で水が抜けると60kg台後半になる程度。)。
岩木山の調整のせいか微増傾向にあるような気がしますが、あまり削りすぎるとフィジカルを持っていかれるので、このくらいでいいのかなと思っています。
バイクはいつものSUPERSIXEVO。
ホイールを練習用のキシリウムからアイオロスXXX TUに入れ替えて、ボトルケージをひとつ外して軽量化。
アルミハンドルに別段特色のない9000DAとR8000ULTEのミックスコンポ、飛び道具といえるのはホイールくらいで、過度な軽量化は行っていませんが、これでも6kgジャストくらいです。
移動とか
立地が立地なので、今回始めて車載移動をしました。ソリオをレンタルしてきて、筆者と妻の自転車の2台を積載し、会場へ。
東北道を走っているときはワイパーを全開にしないといけないくらいの大雨で、岩木山の繰り返しかと危ぶまれましたが、高速を降りて会場に近づく頃には雨がやみ、快晴になりました。
会場には9時過ぎに早々に到着。会場付近の駐車場は取れなかったので、会場から2km上の駐車場(第2駐車場)に車を止めました。
止めた後で、水を用意していないことに気づきますが、駐車場は山の上の野原でしかないので、当然自販機などはなく…。
車で受付付近までくだり、ホテルで自販機を使わせていただき、水やポカリなどを購入しました。
この点は想定が甘かったところで、時間に余裕がある移動をしていたからよかったですが、気をつけたいところです。
なお、第2駐車場にはトイレはありません(可能なら来年以降は簡易トイレを設置していただきたい……難しいのかもしれませんが希望だけをいえば…)。
かといって、車をおいてここから自転車で会場まで下ってしまうと、車に戻るためには自転車で結構な激坂を2km強、登らざるをえません。
このあたりを加味して動線を決める必要があります。
前述のとおり10時過ぎにおにぎりを食べ、10時半過ぎから自転車に下山用荷物をもって、会場にくだりました。
エントリーして、11時半ごろから車を止めた駐車場まで軽く登るだけのアップを行い、あとはゆっくり過ごしてスタートを待ちました。
アップは、300w弱を1分程度出すとあっという間にbpm170を回ってしまい、パワーの割に心拍が高い、典型的な寝不足の日という感。
あんまり調子はよくないだろうし、省エネに走ろう、と決めました。
高湯温泉は標高800mくらいにあるため、下界よりは涼しいはずなのですが、下界が32℃もある日だったので、それなりに暑かったです(体感でしかありませんが、28〜30℃くらいか?という感じでした)。
レース開始前までに、2時間弱でいろはす1.5本分を頭から被り、とにかく深部体温を上げないように努めました。
レース開始時は少しだけ涼しくなり、浴びた水が冷えてかえって少し寒さを感じるくらいでしたが、オーバーヒートするより断然マシなので、これくらいやって正解だったと思います。
家を出てから水を買うまで3時間程度飲水していなかったのに加え、眠りの質が低かったのが響いたのか、レース前、とくにアップしている途中は軽い頭痛に悩まされました。
しかし、水分をしっかりとって頭から水をかぶると頭痛は少しずつ引いていったので、そういう点でも正解だったのかなと思います。
磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム②レース
スタート
13:00のアスリートクラス、1分後の小学生・女子のスタートを見送り、その1分後に我々、〜29歳の部のスタートでした。
周囲の方で名前を存じ上げている方はおられませんでしたが、聞いたことのあるチームの方が数名おり、脚の削れ具合などから見てもおそらく相当の走力はお持ちなのだろうなという感だったので、その方々と合わせて走るかたちになるのかな…と思いながら先頭でスタートを待ちました。
号砲が鳴って、スタート。過去レースで幾度となく失敗したクリートキャッチは、今回は成功。
岩木山の前から大真面目にクリートキャッチを丁寧に行う練習をしていたのですが、功を奏しました。
一瞬自分が飛び出してしまったのですが少し脚を緩めて戻り、集団走行へ。
序盤
※以降記憶での記載につき、誤りがあれば申し訳ありません。
(序盤。比較的急勾配が続きます※帰りに車を取りに行く際に撮影)
スタート直後から1人、マイヨグランペール模様のボトルがお洒落なバイクに乗った方が前に出てゆきました。
独走を許すわけにはいきませんが、レースだと最初に飛ばしてあとで後方に落ちていく方は多々おられるので、どちらなのかな…?と思いつつ、ついていくのが無理なペースでもなかったので、少し空けて淡々と追走しました。
結局、その方は数分で吸収。
その方を除けば最初っからスタートダッシュらしいダッシュを決めたり、アタックをかけたりする方はおらず、割と序盤から自分が前に出てひくかたちに。
概ね5倍、310-320wくらいを目安に引いていました。
普段このくらいのパワーであればbpm180は回らないのですが、寝不足や高地補正が響いているのか、スタート数分であっという間に180台後半を回ってしまいました。
数字だけだと調子が悪い日のそのものなのですが、心拍の割に体感的な余裕はあって、何なんだ…?と思いながら、それでもあと数拍上がるとオールアウトする心拍に至るのは事実なので、パワーの上下動を極力なくすことを意識してラインどりをしたり、変速を行ったりするなど、丁寧に走るように努めました。
途中、勾配が少し緩んで自分がちょっと脚を緩めたところでCOWGUNMAの方が強い踏みを見せたところがあったりしましたが、ついていけない程ではなかったので前に出直し。
加減速らしい加減速があったのはその時くらいだったような…。
とにかく淡々と、余力を5%残すイメージで、5倍ちょっとで走っていました。
中盤
途中ですいーっと30台の部の1位の方に抜かれましたが、年代が違うのであまり気にせず。
ペースメーカーとして捉えるようにして走っていましたが、彼のほうが一段上の実力者という感で、ゴールまで姿は見える位置にはいましたが、少しずつ離されていきました。
スタートから20分くらいまで4人か5人かで走っていたように思うのですが、後ろから誰かの叫びが聞こえ、1人また1人とちぎれていったようで、NICOの方と自分の2人になりました。
相変わらずペース走行だったのですが、25分くらいだったでしょうか…そのあたりで彼が少しずつ離れはじめました。
コースの下調べをあまりしていなかったのですが、終盤に平坦が入ることは聞いており、平坦が入ると平地やくだりが非常に苦手な自分は確実に不利だろうなと思えたため(第2世代のエアロのエの字もないEVO(TAP形状の効果を実感したことはない)にローハイトリムのアイオロスXXX、乗り手が186cmで巨大な表面積と悪条件揃い踏みで、ある程度速くて現代的な機材を使っている方より自分のほうが平坦〜くだりが速いことはほぼ皆無)に、ここで離せるなら離してしまおうと思い、ペースを上げないまでも緩めないように意識して走りました。
結果、彼も少しずつ後ろに下がってゆきました。
終盤
森林限界を過ぎて、アリゾナ地帯へ。ここからはくだりも入り、そして爆風(後で聞いたところによると、今年はマシな方だったとか…)でした。
くだりはアンダーを出して落車しない程度に突っ込み、極力踏まない時間を減らすことに努め、それ以外はとにかく300wを下回らないように踏みました。
時折後ろを振り向く限りでNICOの方は目視圏内におり、少しずつですが近づいているように思えたため、脚は緩められず。
ラスト2kmからが流石に疲れてきていたのと、爆風が向かい風になるときがあってかなり辛かったですが、なんとか最後まで持ちました。
(ゴールの浄土平)
走行データ
38分45秒
平均速度19.88km/h
最大速度42.09km/h
平均CAD89
最大CAD116
平均心拍175
最大心拍192
平均PW313w
最大PW594w
少し前に泉ヶ岳を単独走で登った際に30分強330wくらいで走っていたはずなので、10分弱長いとはいえパワーは微妙な値と言うほかはなく、高地補正はあるかもしれませんが絶好調ではなかったのかなと思います。
ただ、この日の調子でできる最大限の走りはできたという感で、それが結果に結びついたのかなと思います。
磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム③レース後
お振る舞い
スープや、桃ジュース、揚げ団子のようなお菓子やおせんべいなど、充実したお振る舞いをいただきました。
丸いゴム袋に入ったようかんは食べ方がわからず…。
輪ゴムを切ろうとして5分くらい四苦八苦していましたがその場で食べられませんでした。後で調べたところ、爪楊枝で空けて食べることが判明。
下山〜表彰
冒頭に書いた通り「日本のアリゾナ」とも呼ばれているそうですが、その名に違わぬ絶景で、想像以上でした。
普段のレースの下山はサーッとくだってしまいがちなのですが、そのまま下山してしまうのがあまりにも勿体なく感じられてしまったので、最後尾付近からくだりはじめ、時折停車して風景を写真に収めながら下山。絶景を楽しみました。
下山した後は表彰式。
4kmだけのヒルクライムTTがファンライドのおまけとしてあった牡鹿半島チャレンジライドを除けば、レースらしいレースで1位をとったのはこれが初めてで、うれしかったです。
表彰台の、一番高い木の幹に登った感想としては、「高い」のひとこと。高所恐怖症には辛いものがありました(言い過ぎ)。
一緒に走った皆さんから強かったと言っていただけて、とても嬉しかったです。
インタビューを振られ、出てきた言葉がなさすぎてちょっと恥ずかしく…。
次回があれば、しっかり言葉を考えて臨みたいものです。
なお、本レースは開催直前に、表彰対象が3位までから8位までになりました。
表彰していただけると大きなモチベーションになるもので、今回はこの表彰拡大で拾われる側ではありませんでしたが、個人的にこれはとてもいい取り組みだと思います。ぜひとも継続してほしいなと思います。
共同浴場あったか湯
帰りには、貰った無料券で入れる共同浴場で、居合わせた参加者の方と喋りながら、温泉を楽しみました。
乳白色の如何にも温泉らしい温泉で、時間の制約上あまり長湯できなかったのですが、とても気持ちよかったです。また行く際は、ぜひとも訪れたいなと思います。
磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム④最後に
はじめて1位を取ることができ、とても楽しいレースだったなという感に尽きます。
とはいえ仮にアスリートクラスで走っていればタイムだけだと10位相当でしかなく、アスリートクラス1位の方とは3分程の圧倒的な差があるのも事実で、まだまだ先が長いなという感も強いです。
そういう意味で、年代別では勝ったけれども何もかもに勝ったという感はなくて、まだまだ頑張っていかなければなという風に思えています。
この記事を書いているのはレースの翌日の日曜ですが、今日から、また次のレースに向けて、緩むことなく頑張っていけたらなと思います。
最後に、一緒に走ってくださった皆さん、ありがとうございました。とても楽しいレースでした。