石巻で自転車(ロードバイク)のヒルクライムのスポットといえば「上品山」です。
(字面から読み方が分かりにくいですが、「じょうぼんさん」と読みます)
ストラバによれば、上品山ヒルクライムのコースは4.5km、獲得標高422mで、平均勾配9.2%です。
市内在住の皆さんにはよく知られた山ですが、市外の方々にはあまり知られていないようなので、今回徹底解説したいと思います。
ちなみに筆者は、石巻に住んで1年目の8ヶ月(4月〜12月)で、上品山の自転車ヒルクライムを79回行いました。
ベスト18'26" (ストラバの「上品山2 climb」)、17'58"(ストラバ導入前)です。
かなり登っている方だと思いますので、初めて訪れる方は特に、読んでいただけると参考になるかと思います。
※その後、22年の3月に石巻を去るまでに、累計250回近く登りました。ベストは16分57秒まで伸びました。最近(22年9月追記時点)プロの方に取られてしまいましたが、一時期はSTRAVAのKOMもいただいておりました。
▼この記事は長いので、YouTubeを置きます。よかったらBGM代わりにしてください。
※ページ移動すると再生が途切れるので、お気をつけください。
目次
まず石巻ってどこ?
※県内在住の方などは、飛ばしてください。
石巻は宮城県にあります。
宮城県というより、仙台がある県という説明をしたほうが県外の方には分かっていただけるでしょう。
仙台は東京から北に370kmですが、新幹線はやぶさに1万円強課金すれば大宮の次は仙台です。
時間にして1時間半。遠いようで、その気になればあっという間に行ける東北です。
なんなら、ママチャリでも行け…るでしょうか?以下をご覧ください。
その仙台から、東に50kmほどにある海の街が石巻です。
仙台からは、仙石線で一時間強(快速、普通等の別で結構変わります)です。
スムーズに行けば、東京から3時間で来ることが出来ます。
こう書くと、何だか石巻が身近に思えてきませんか。
コロナウイルスが収まったら、是非お越しください。
①石巻駅から上品山へのアクセス
石巻駅から上品山までの行き方はとても簡単です。
まず駅から出てそのまま真っ直ぐ、居酒屋さんが両側に並ぶメイン通りを直進します。
大きな道路(45号線)に出る前の信号(「うわぬま屋」様の交差点)を左折。
しばらく道なりに進み、33号石巻河北線に突き当たったら左折し、あとは33号石巻河北線を10kmひたすら直進です。
少し分かりにくいですが、二俣小学校の前を過ぎて、二俣神社とバス停がある交差点を直進。交差点から約1.2km直進すると入口が現れます
(入口の手前には「上品山牧場→」の看板が道の左にあるので、見逃さなければ入口にたどり着けるかと思います)。
△二俣神社とバス停がある交差点。ここを直進します。
△ここを右に入ってスタートです。
②上品山ヒルクライム入口〜序盤
左側が壁のようになっていて、右に曲がりながら登りはじめます。
TTをやるなら、最初から踏んでいきましょう。
最初のこの右曲がりは、コーナーのアウト側なので見た目より緩いです。
先が長く不安になるのは分かりますが、つづら折れ型峠の宿命でイーブンペースで登るのには向いていません。
タイムを稼げる緩いところは積極的に踏んでいったほうがいいです。
入口から右に曲がったところです。
まだまだ緩いため、どんどん踏みましょう。自分の場合、20km/h以上でどんどん踏んでしまいます。
自分はいつもダンシングで踏んでいきます。
200m程度で、左手にお墓が出てきます。
そして、ここの左曲がりはイン側であることもあって結構急です。
しかし、ここまでの緩い部分で結構速度が乗っているはずなので、自分はダンシングでそのまま押し切ってしまうことが多いです。
(逆にここを押し切れないと、早々に今日は調子悪いのだなと分かります。)
お墓カーブ直後です。
以前は路面がかなり荒れていましたが、風力発電所建設のため整地されて走りやすくなりました。
自分はいつも、お墓カーブを曲がり切ったあたりでダンシングをやめて腰を落ろします。
この辺りで緩坂で得た慣性を使い切るからです。
そして、右コーナー。
この右コーナーは緩いです。ここは15km/h〜16km/hくらいで走っているかな?というところです。
しかし、右コーナーの後は多少勾配がきつくなります。
ここは自分の場合、シッティングでやや温存気味に踏むことが多いです。
この右コーナー、見た目よりは緩いです。
自分の場合、このコーナーでダンシングして多少加速します。
右コーナー直後は勾配が緩めになるからです。
ここはタイムの稼ぎどころです。
左曲がりの直後、緩い長めストレートが出てきます。
どんどん踏んで、タイムを稼ぐところです。
自分の場合、 気持ち的に、このロングストレートを登り切って、左側がひらけるところまでをひとつと置いていることが多いです。
ここまでを"序盤"とします。
なお、ここまででアベレージ16km/h台後半だと、18分台が見えるかな?というくらいです。
③上品山ヒルクライム中盤
中盤に移ります。
序盤最後のロングストレートに引き続き、左が切り立った道部分も勾配は緩いので、ここは踏んでいきます。アウターにかけてダッシュしましょう。
下の左カーブが見えてきたら、インナーに落としてダンシングの心構え。
ここから再び、勾配が険しくなります。
左曲がりなのも相まって、かなり急です。緩い部分の慣性である程度引っ張って、左曲がりを乗り切りましょう。
ここから先、勾配がしばらくキツイまま続きます。ここは耐える区間です。
ここから次の右360度コーナーまで、自分の場合はシッティングで34-25を80回転くらいで回していることが多いです。
ここを淡々とシッティングで踏みたいところですが、嫌らしいのが路面のつくり。
この右コーナー手前は後付け補修されているのですが、これを踏むと車体がバウンドします。
リズムを阻害してくるため結構辛いですが、左端を走るしかないため、ここを走るしかありません。
そして、右360度コーナー。右曲がりなのでイン側ではないですが、それにしてもかなり削られます。
ここの攻略は未だ自分も定まりません。ダンシングの時も、シッティングの時もあります。
ただ、体調が悪いとトルク不足を補うかたちのダンシングが多く、体調が良いと温存方向のシッティングが多いのは傾向として言えます。
しかし、ひとつ注記しておくと、この右360度コーナーをクリアしても依然しばらく勾配は緩くならないということです。
それを頭に置いたうえで、対応を考えるといいです。
右360度を抜けると、ある程度の勾配を持った左コーナーが出てきます。
完全に失速しているとかなり辛いです。
この辺はゴリゴリと踏むしかありません。
そして、この左を抜けると90度コーナーが2回続きます。
この1回目までが比較的急勾配です。
ここまで乗り切ると、次の左コーナーは比較的緩いです。
しかし、ここで休んではいけません。
息が整ってきたら、どんどん踏みましょう。上品山ヒルクライムでは、ここの緩い部分が大きな稼ぎどころです。
先ほどの90度左コーナーを曲がったところで、ここで一旦一区切りのイメージです。
ここまでスタートから2km程度。18分台ならここでアベレージ16km/h台、19分台でも15km/h台中盤くらいは欲しいです。
ここから先で、アベレージを一気に持っていかれます。
④上品山ヒルクライム-中後盤
90度2連曲がりを過ぎると、ロングストレートが出てきます。
ここは踏む一択です。調子が良いときだと、16-17km/hくらいで走っているかなというところ。
ここを過ぎると、ゆるい右曲がり。ここもそのまま踏み続けです。
そして、その後の左曲がり。ここまでで慣性を確保しましょう。
ここを曲がり切った立ち上がりから、再び勾配が険しくなります。
そして、ここから先は険しいままかなりの距離、続きます。
ここは変速せずそのままダンシングで、ちょうどしっくりくることが多いです。
そのまま押して、ある程度のところでスムーズにシッティングに戻し、踏みます。
この風景が見えたら、シフトダウンする準備をしましょう。
ここからが本番です。
激坂3曲がり
例えば、東京の和田峠の最大勾配に比べればまだマシです。
しかし、上品山でいちばん苦しめてくるのは、この激坂3曲がりです。
激坂3曲がりのうち、まずは1曲がり目です。
単純な斜度でいえば、ここが一番急です。
34-23か25でダンシングして、なんとか乗り切るような具合です。
横から見るとこんな具合です。
1曲がりを終えると直線的になります。
右に360度回って少し進み、次が激坂3曲がりの2曲がり目。
2曲がり目は1曲がり目ほどの勾配ではないですが、急勾配がコーナー前後に長く続きます。
自分としてはこの2曲がり目がいちばん辛く感じます。
上の写真は2曲がり目の直後ですが、3曲がり目までのインターバルの直線路がかなり急勾配です。
直線的なため分かりにくいですが、上から見るとよくわかります。
ここは焦らず踏むことです。ここだけは10km/hくらいまで落ちても仕方ないと思います。
2曲がり目から直進して右360度コーナーを曲がったところです。
なんとか前方の3曲がり目まで頑張ってください。
3曲がり目自体は緩く、ここを立ち上がるとひらけます。
かなり疲弊していると思いますが、ここからの数百mがタイムの稼ぎどころです。
ここの時点でのアベレージは、18分台目指すなら15km/h台後半、19分台でも15km/hは欲しいかなというくらいでしょうか。
約3km強のここまでを中後盤として、終盤に続きます。
⑤上品山ヒルクライム終盤
激坂3曲がりを超えると、しばらく直線的な道になります。
緩めにはなるので、踏んでいってください。
しかし、上から見るとわかりますが相応に登っています。
見た目ほどゆるくはありません。
この先にもうひとつ急勾配があるため、ここで使い切らない程度に踏みましょう。
林道途中で左に一度曲がり、再度右に曲がります。
下に示した山大ホームの看板(※2つ目)から先、僅かにくだり基調になっています。
これが見えたらアウターにかけて踏みましょう。ただし、ここからゲート迄の間の路面がものすごく悪いので、ギャップを踏まないように要注意です。
ここで30km/h近くまで加速して、後に示すゲートに突入するくらいのイメージです。
ゲート:残り1km強
このゲートで14分台前半が、19分台の目安です。
18分台を目指すのであれば、最低でも14分ジャスト。
だいたいここから5分のイメージです。
ゲート直後の曲がりはかなり急勾配ですが、ある程度までは慣性で押し切れます。
慣性を引っ張って、次の右曲がり手前まで行ければ良いです。
ここの右曲がりは決して緩くありませんが、ほんの少し息を整えるならこのタイミングです。
次の左曲がりと、
その直後のストレートが非常にキツイからです。
このストレートが永遠のように感じられたことも一度や二度ではありません。
折られて失速してしまったことも、時々ありました。
最早ここは精神力頼みです。ここが最後の難関です。
ストレートを過ぎると、景色がひらけます。
存在感の強い鉄塔が一柱。
ここから先、はじめて訪れるかたはしばらく、次の写真の場所を過ぎるまで右を見ないようにするといいです(安全上の理由がなければ)。
理由は、ご褒美は終わってから、と書けばいいでしょうか。行ったことがある人なら分かると思います。
ひらけた区間は左曲がりで終わり、最後の林道区間に入ります。
ここから先、緩いため最後の踏ん張りどころです。
あと400m未満なので、もう出し切っていいです。
98%くらいのイメージで踏んで問題ありません。
ここを過ぎると、T字交差点が現れます。
左折して、あとは100%の出力でありたけ出して、下ハンドルもがきでOKです。
こちらの白い建物横を通り過ぎて、ゴールです。(ストラバのセグメント)
⑥ヒルクライムのご褒美はやはり…
人によると思いますが、折角高いところに登ったのですから、絶景を見たいものです。
上品山は、標高500m程度ですが、石巻から遠く大崎、奥羽山脈まで一望出来ます。
また、視線を転じればなだらかな円孤を描いて仙台につながってゆく、海岸線が目に入ります。
参考までに、筆者の走力を東京の有名峠に直すと、和田峠15分ひと桁(10kg9速ドロハンエスケープ、当時それしか持っていなかった)です。
その筆者で、冒頭にあげた通り18分26秒です。いちおうストラバ導入前に17分台を一度出していますが、追い風が強い日でした。
実力相当のベストは18分台だと思います。
上品山2 climbセグメントには、記事執筆現在で一人、17分台前半の方がおられます。
和田峠を15分未満で登れる人であれば、ストラバのコムを狙えるかと思います。
旅行や「ツールド東北」(今年は中止ですが…)の参加などに併せて、ぜひ挑戦してみてください。
※登り方はあくまで筆者の例です。
※風力発電の設置で道路工事が入り、カーブミラーが設置されたため多少マシになりましたが、ブラインドコーナーは依然残ります。
車通りも皆無ではなく、トレイルランナーの方などもおられますので、とくにくだりはお気をつけください。