目次
ヴィットリア・コルサネクスト①はじめに
ヴィットリア(VITTORIA)は、言わずとしれたイタリアのタイヤメーカーです。
エントリーモデルで完成車に多く採用されているザフィーロからロードバイクをスタートした方も多いでしょうし、ハイエンドのコルサシリーズはトッププロからアマチュアまで、幅広い層の支持を受けています。
今回紹介するのは、そんなヴィットリアのタイヤ「コルサネクスト」です。
ヴィットリア・コルサネクスト②ラインナップと筆者の購入モデル
ひとくちにコルサシリーズと言ってもラインナップは結構多く、多岐にわたります。
とても簡潔にまとめると、
・決戦用の「コルサスピード」
・オーソドックスな「コルサプロ」
・耐久性が高い「コルサプロ・コントロール」
・今回紹介する「コルサネクスト」
の4種類があります。
ヴィットリアのHPには各タイヤの性能がチャートで示されていますが、各タイヤのそれを引用すると、以下のとおりです。
コルサスピード
コルサスピードのチャートは、以下のとおりです。
SPEED:10
SPPLENESS:10
MILEAGE:3
LIGHTWEIGHT:10
GRIP:7
PROTECTION:5
公式に用途としてタイムトライアル及びヒルクライムに最適と謳われており、耐久性よりも走行性能を優先していることから、このような数値配分になります。
トレッド面は薄く作られており、注意書きとしてブレーキロックをするとトレッドが摩耗する旨の記載があるくらいです。
後述のタイヤより走行性能自体は高いものがあると思いますが、普段遣いには向かない、決戦用タイヤといえるでしょう。
なお、決戦用として依然支持を集めるチューブラーの他、チューブレスレディも展開されています。
重量はチューブラーの23Cで200g、25Cで205gと非常に軽量です。
チューブレスレディについては、23Cが225g、25Cが240gです。
コルサプロ
オーソドックスなモデルとして展開されているのが「コルサプロ」です。「コルサ」の後継として販売されたモデルです。
「コルサプロ」のページには性能チャートが示されていません。旧作コルサのページには示されているので、それを引用すると以下のとおりです。
SPEED:9
SPPLENESS:9
MILEAGE:7
LIGHTWEIGHT:9
GRIP:9
PROTECTION:9
上記の「コルサスピード」を10とした場合に、速度、柔軟性、そして軽量性の項目では一歩譲るものの、グリップや耐久性の項目では上回っています。
柔軟性については「コルサスピード」に一歩劣ると言えど、320TPIのコットンケーシングを使用しており、他の多くのタイヤと比べれば非常に高い柔軟性を誇ると言えます。
「コルサスピード」の走行性能を受け継ぎつつ、より普段遣いも適した形としたタイヤ…といえるでしょう。
展開はチューブラーとチューブレスレディの2種類です。前作ではクリンチャーもありましたが、今作では無くなりました。
チューブラーは23Cで285g、25Cで295g、28Çで340g、30Çで365gです。
チューブレスレディは24Çが265g、26Çが275g、28Çが295g、30Çが300g、32Çが320gです。
コルサプロ・コントロール
耐久性を重視したタイヤが「コルサプロ・コントロール」です。
「コルサプロ・コントロール」の性能チャートは示されていませんが、前作「コルサ・コントロール」の性能チャートは以下のとおりです。
SPEED:7
SPPLENESS:10
MILEAGE:7
LIGHTWEIGHT:7
GRIP:10
PROTECTION:10
軽量性や走行性能そのものは他のコルサシリーズに一歩譲りますが、柔軟性やグリップ、堅牢性といった面が重視されています。
前作の「コルサ・コントロール」はクリンチャー、チューブラー、チューブレスレディの展開ですが、「コルサプロ・コントロール」はチューブレスレディのみの展開となっています。
重量は、26Cで295g、28Cで310g、30Cで320g、32Çで340g、34Cで360gとなっています。
コルサネクスト
そして最後が、筆者購入のコルサネクストです。他のコルサシリーズがコットンケーシングを使用しているのに対し、このコルサネクストは100TPIのナイロンケーシングを使用しています。
他のコルサシリーズでも使用されているグラフェンコンパウンドに、「シリカ」を融合しているのが特徴として挙げられます。
コルサネクストの性能チャートは、以下のとおりです。
SPEED:9
SPPLENESS:8
MILEAGE:9
LIGHTWEIGHT:9
GRIP:8
PROTECTION:8
他のコルサシリーズと比較すると、このコルサネクストのみ7以下の項目がありません。逆に10の項目もありませんが、良い言い方をすれば高次元で性能をバランスしたタイヤと言えるかと思います。
公式HPには「長時間の厳しいライドで毎週何マイルも走るような熱心なサイクリストの要件を満たすように設計」とあります。
メーカーの想定としては、高レベルなトレーニングからレースも視野に入ったタイヤ…というところなのかなと思います。
チューブラーやチューブレスレディしか展開のない他のコルサシリーズに対し、クリンチャーの展開もあるのがその辺の想定を伺わせます。
展開としては、チューブレスレディとクリンチャーの2種類です。
チューブレスレディは24Cで260g、26Cで285g、28Cで300g、30Cで310g、32Cで330g、34Çで340gです。クリンチャーは24Cで190g、26Cで200g、28Cで210g、30Cで220g、32Cで235g、34Cで240gです。
筆者が購入したのはこのコルサネクストで、26Cのクリンチャーモデルを購入しました。
筆者が使用するフルクラムレーシングゼロ(COMP)はチューブレスも使用でき、長らくIRCのチューブレスタイヤを使っていましたが、維持管理のし安さの観点から普段遣いはクリンチャータイヤに戻したいなと考えたため、今回はクリンチャータイヤを選択しました。
ヴィットリア・コルサネクスト③インプレ1・走行性能
転がり
最近はIRCのFOMULA PRO RBCC、そしてASPITE PRO S-LIGHTを主に使っていました。体感としてそれらとの差は実感できるほどではなく、双方よく転がるという印象です。
コルサシリーズは柔軟性が高い…と言いますし、別ホイールでチューブラーで使っている旧コルサの印象としてはその通りだと思うのですが、このコルサネクストはナイロンケーシングによる為か、受けるフィーリングは硬質です。
IRCの上記2タイヤ、特にチューブレスのFORMULA PROよりは(当然といえば当然ですが)明らかに、クリンチャーのASPITE PROと比べても硬いフィーリングかな…と思います。
転がっていく感じや走行音からは、あくまで主観ですが、コンチネンタルの旧作グランプリ(4000S2)に近い雰囲気を感じました。
登坂性能
別段軽量を謳っていませんが、26Cで200gとクリンチャータイヤとしてはかなり軽量です。ホイールのリム幅との兼ね合いを考えると使えないホイールもありそうですが、24Cだと190gとなります。
他メーカーだと幅広く支持を集めるグランプリ5000の25Cで210g、筆者が別に使用中で軽量を謳っているASPITE PRO S-LIGHTでも25Cで200gと考えれば、クリンチャータイヤとしては一線級の軽さだと言って差し支えないでしょう。
ブログ名の通り筆者はヒルクライムをメインに自転車を楽しんでいますが、他のハイエンドクリンチャータイヤと比較しても遜色ない登坂性能です。
重いタイヤにありがちな、タイヤが地面にねばりついているような嫌な感じはありません。
ヴィットリア・コルサネクスト④快適性
快適性については、上記走行性能の項目で挙げた通り比較的硬めなフィーリングで、特段優れているというものではありません。
組み合わせているホイールがかなり硬めなレーシングゼロであるという点も大きいと思いますが、フレームがカーボンであっても衝撃は相応に来ます。
ただし、クリンチャータイヤは一般的にこんなものかなと思います。際立って不快なわけではなく、特段快適性に優れていないというのみです。
筆者は別ホイールでチューブラーのコルサを使っていますが、それと比較すると差があるのは事実です。
コルサという名前ではありますが、あくまでナイロンケーシングのタイヤであり、他のコットンケーシングのコルサとは違うもの…という前置きを頭に置いた上で使うとよろしいかと思います。
※繰り返しのようですが、こちらのコルサネクストが他のメーカーのタイヤと比べて快適性に優れないのではなく、コットンケーシングのコルサが非常に快適性が高いことにより、他のコルサシリーズと比べれば相対的には劣る…という立ち位置です。
ヴィットリア・コルサネクスト⑤インプレ3・グリップ
筆者はロードレースをやらないので、そこまでシビアな領域での挙動は試していません。
しかし、公道レベルのくだりでもこのタイヤのグリップの良さは実感できるところです。
コルサプロ及びコルサコントロールよりは劣るという位置づけですが、それでも非常にハイレベルなところにあると思います。
タイヤによっては後輪荷重が少しでも抜けた状態で不用意にブレーキングすると簡単にリアタイヤがロックすることがありますが、このタイヤにはそのような感がありません。
「これ以上ブレーキングするとロックするよ」という当たりが掴みやすいタイヤだなと感じます。
上記のとおり比較的硬質なフィーリングのタイヤではあり、この手のタイヤは車体を傾けてコーナリングするのが少し怖いこともあるのですが(筆者はコーナリングについては、比較的下手な方だと思います)、このコルサネクストは路面にしっかり追従している感じがあり、コーナリングでも比較的怖さを感じません。
下手な人ほどよいタイヤを使うとよいと言われますが、そのような点を考えるとこのコルサネクストはハイレベルな方はもちろん、始めたての方などにもおすすめできるタイヤだと思います。
ヴィットリア・コルサネクスト⑥あとがき
耐パンクベルトも入っているとのことで、耐久性能も十分なものがあることが謳われていますが、幸いにしてそれを試せる機会に至っていません。
しかし、上記の通り26Cで200gというかなり軽量なタイヤであるのは事実のため、他のクリンチャーと比べて堅牢かと言えば多分そのようなことは無いかと思います。Twitterで検索しても、2000km未満で寿命を迎えた…というツイートが複数件見当たりました。
あくまでハイパフォーマンスタイヤとして必要十分な堅牢性を持っている…という認識で使うべき製品だと思います。
走行性能については、クリンチャータイヤとしてはトップクラスの性能を持つもののひとつであるのは確かだと言っていいと思います。
定価は9000円に迫るくらいですが、他メーカーのタイヤも皆かなり高騰しており、片側で10000円を超える製品も別段珍しくなくなっているのが現状のため、却って良心的な価格設定とさえ言えると思います。少なくとも、この値段相応、それ以上の価値はあるタイヤと言っていいかと思います。
コルサネクスト、とてもいいタイヤであるのは事実です。ハイエンドクリンチャータイヤを選ぶ際は、ぜひ、選択肢のひとつとしてご検討いただければと思います。