はじめに:泉ヶ岳ヒルクライムについて
仙台でヒルクライムのメッカといえば、やはり「泉ヶ岳」(いずみがたけ)ではないでしょうか。
川崎上バス停から下のスキー場まで7.2km、平均5.8%(コースプロフィールはストラバのセグメントより)と、挑みがいのあるコースです。
タイムは、25分を切ればそこそこ、20分を切れば比較的速い…と言われることが多いように思います。この2つの指標を目指して練習している方も多いのではないでしょうか。筆者もその1人だったもので、昨年にようやく19分台を出すことが出来ました。
ストラバを見る限り、最も速い方は17分台のようです。いつかそのレベルに達したいものです。
参考:泉ヶ岳とは?(市外県外の方向け)
宮城のサイクリストの間で通称「ガタケ」と呼ばれるこの山は、標高1175mです。
仙台市の中心街から北に15km程に位置する山です。
仙台で義務教育を過ごすと校外学習の一環で登ることも多いような、市民にとっては馴染み深い山です。
市内から北を見ると、眺望が良いところなら大概この山が目に入るものと思います。山容もなだらかに美しく、仙台市民にとっては憩いの山だと感じています。
スキー場も2つあり、冬はスキーやスノーボードを楽しむ方で賑わう山でもあります。
ヒルクライムは勿論ですが、トレッキングやウィンタースポーツも楽しめる山でありますので、仙台にお越しの際は是非ご来訪ください。
泉ヶ岳ヒルクライム・コース解説目次
ここからは、泉ヶ岳ヒルクライムのコースを解説します。
※走り方や勾配の感じ方などはあくまで筆者の場合なので、参考程度にお読みください。
泉ヶ岳ヒルクライム①スタート
TTを行う方の多くは「川崎上」バス停をスタートとしているものと思います。
ストラバのセグメントはここが始点です。
アクセスについて
アクセスの話をしておりませんでしたが、「ミニストップ仙台泉福岡店」をナビの行先に設定して来ると、ほぼこのバス停の近くまで来れます。
ミニストップが面している交差点に、でかでかと「泉ヶ岳」の文字と矢印が書かれた看板があります。その看板にしたがって進み、程なくしてこのバス停に至ります。
最序盤の走り方
タイムを狙うなら、少し助走して勢いをつけてこのバス停に至りましょう。
最序盤数百mはほとんど平坦なので、早速稼ぎどころです。
ただ、踏みすぎないようには気をつけましょう。後半ほど辛いコースなので、序盤でオールアウトすると地獄編になります。
序盤を35km/h程度で無理なく走っていても、20分切りは充分狙えます。
泉ヶ岳ヒルクライム②最初の登り
要注意ポイントが、走り出してすぐにあります。最初の登りです。
スタートしてすぐ、右手にお蕎麦屋さんが出てきます。
この辺りからが登りはじめです。この坂は「意識的に頑張らない」のが重要だと思っています。
この坂、入口は比較的緩いのですが、後半に至って勾配がきつくなります。
そして、パッと見それほど勾配がきつそうに見えないという罠があります。
帰りになって上から見下ろして、ここはこんなに登っていたんだ、と気づかされるくらい。
しかし、最序盤なので体力は有り余っており、踏もうと思えばアウター掛けっぱなしでさえ押し切れてしまいます。
ですが、ここを押し切ると結構消耗します。後が辛くなるので、意識的に頑張らないことです。
パワーメーターがあればパワーが跳ね上がらないようにこまめに見ながらコントロールしながら走るのが大事です。
ない場合は、早々にインナーギアに落として走るくらいで大概はちょうどいいものと思います。
泉ヶ岳ヒルクライム③最初の登り終了~ピザ・パスタ看板
最初の登りが終わると、景色が開けます。
先ずはアウターにかけて、踏んでいきましょう。
しかし、ここからも全くの平坦ではなく、なだらかにですがじわじわと登っています。
パワーメーターがあればそれを見ながらペース管理を密に行いましょう。
ない場合は、普段の平地と同等の速度が出なくても焦らない事です。とにかく後半が辛いので、この辺りは踏みますが踏みすぎないように。
…正直、この辺りの平坦区間は割と風向き次第ではあります。
35km/h弱で走れれば20分切りが見えてきますが、泉ヶ岳から吹き降ろす向かい風の日だとどう頑張っても30km/hすら出せなかったりします。
風向きが悪い場合はどうしてもタイムが出ない山なので、その時は運が悪かったと思うしかありません。
天気予報を見てからチャレンジする日を選ぶのも大事です。
泉ヶ岳ヒルクライム④ピザ・パスタ看板~笈坂手前
(ほぼ)平坦区間の終わりには少しだけくだりが入り、下った先にこの看板があります。イタリアンのお店の看板だと思われます。
雰囲気も良さそうなので、今度行ってみたいところです(余談)。
泉ヶ岳は、ここからが本番です。だいたいここまで6分弱で来れていると、20分切りが見えます。
ピザ・パスタ看板を過ぎて勢いのまま突っ込んで、慣性を失ってきたあたりでインナーにフロントを落としましょう。
ここからが本格的なヒルクライムです。
ただ、登り始めはこの後の登りに比べれば比較的緩い勾配です。
ちょっときつい区間を過ぎると、また少し緩くなります。トップ14Tだと上を使い切ってしまって、アウターに上げるか悩むくらいの緩い勾配です。
しかしその緩い区間も長くは続きません。というより、ここが最後の緩い区間です。
あと4kmの標識がある右コーナーを過ぎると勾配が一気にきつくなります。
ここから約10分間、ものすごく長い10分間になるので覚悟してかかってください。
緩いS字を抜けると、直線の登りが出てきます。かなりの勾配で、大概の人はここで既に顔をこわばらせながら登る羽目になります。
ただ、この先が最大の難所なので、身体を使い切らないのが肝要です。意識的に軽いギアを使って回す…ようにして、筋肉への負荷を抑えて登るのが大事だと思います。
直線登りを終えると、あと3kmの看板が出てきます。
ここで11分を切るくらいが、20分切りの目安だと思います。
あと3kmの看板を過ぎると、少しだけ下ります。
富士あざみラインの馬返しの前のような、休みにもならない下りです。そして、ここからが最大の難所…「笈坂」となります。
泉ヶ岳ヒルクライム⑤笈坂
自転車で来なければ、バス停が立ったのどかな風景…でしょう。
しかし、自転車で来ると、ここが恐ろしい場所になります。仙台には、ここがトラウマになっているサイクリストも多いのではないでしょうか。
多くの人がここで心と身体を折られます。
無慈悲に佇立する10%看板。知りたくない事実というのもあるように思います。
あるいは、数字で示されなくても急勾配なのは走っていれば分かる、という思いにもなります。看板は何も悪くないのですが。(笑)
筆者の場合、調子が良ければひたすらシッティングです。
14km/h~15km/hで、34-25Tをベースにして回転数が落ちそうな時に28Tに変速して回転数を回復させて、また25Tに戻す…ような走り方をします。
左に曲がってもまだ終わりません。もうひと直線登ります。
笈坂は何度行っても登るのを辞めたくなりますが、最早ここは、在り来りな言い方ですが自分との戦いです。
自分のできる最高の走りをするよう、集中力を保って淡々と踏む以上に出来る事はありません。集中力が切れたら、もうそこで終わりです。
つづら折れのように休める場所があるようなコースではなく、スキー場のようにひたすら急勾配が続くコースなので、折れたらあとは重力に引きずり落とされるのみです。
左に曲がったあとのストレートを登りきり、ゴミは持ち帰りの看板が出てくると、笈坂も終盤です。ここからが最終盤になります。
泉ヶ岳ヒルクライム⑥笈坂後~ゴール(泉ヶ岳スキー場)
ゴミは持ち帰り、の看板がある右コーナーの途中から、少しずつ勾配が緩みます。
ここで身体に余力が残っていることは無いと思いますが、ここが頑張りどころです。
できる範囲でシフトアップして、踏んでゆきましょう。
待避所のような所を過ぎて、左に曲がるとトンネルが出てきます。
このトンネル、勾配は緩いのでどんどん踏んでいくところになります。もう最後も最後なので、ここで温存する理由はありません。
ただ、このトンネルのちょっと嫌なのが中央にポールがあるところです。
車に先に行ってもらおうにも、ポールが邪魔で車は自転車を抜けません。
後ろが来なければ幸いですが、交通状況を見て身の振り方を考える必要があります。
トンネルを抜けると、目前にスキー場がドーンと現れます。
ここからは全力です。最早惜しむ理由もありません。
スキー場がゴールとなります。
ストラバのセグメントをしっかり記録してもらうために、GPSの位置ズレも考慮して最後まで走りきりましょう。
自分はいつも、写真の奥に見えるオレンジの看板を過ぎて少し行ったところまでは走るようにしています。
泉ヶ岳ヒルクライム⑦スプリングバレー
TTをする人は川崎上~泉ヶ岳スキー場までの区間で計測する事が多いように思いますが、その先、スプリングバレースキー場へ道は続いています。
ここまで登った身体ではかなりダメージが来ていると思いますが、勾配はそれほど辛くないので乳酸抜きにちょうどいい強度で走れます。
距離は3、4kmくらいでしょうか。下のスキー場からそれほど遠い印象はありません。
スプリングバレーまで登ると、眼下に仙台市街を一望できます。
絶景を求める方はぜひ、ここまで登ってみてください。