目次
はじめに
この記事では、エスケープR3 のドロップハンドル化に際して、問題となる「ブレーキの互換性」の解決方法についてまとめています。
情報は2020年段階のものです。
①Vブレーキ&STIレバーのブレーキ互換問題
エスケープR3には、Vブレーキと呼ばれるブレーキが搭載されています。
安価ながら非常に高い制動力を持っていて、初心者でも安心して止まれますが、ドロップハンドル化を考えると、このVブレーキがネックになります。
ブレーキは、ブレーキレバー・ワイヤー・ブレーキアームの3点で構成されていますが、ドロップハンドルに使うSTIレバー(シマノ社)は、公式にVブレーキとの互換がありません。
あくまでSTIレバーは、キャリパーブレーキでの使用を前提に作られています。
具体的には、Vブレーキのアームを動かすために引っ張る必要のあるワイヤーの量より、STIレバーが引っ張ることの出来るワイヤーの量が少ないため、Vブレーキのアームを十分に動かせず、制動出来ないという不具合が起きます。
そのため、いかにしてブレーキ互換問題を解決するかが、ドロハンエスケープ完成のためには避けて通れないこととなります。
②解決方法(1)純正ブレーキゴリ押し
エスケープR3 には純正で「テクトロRX1」というVブレーキが搭載されています。
このブレーキは、Vブレーキではありますが、一般に「ミニV」と呼ばれるものです。
通常のVブレーキと違う点は、ブレーキアームの長さです。
ミニVはブレーキアームが短いため、制動するのに必要なワイヤー引き量が小さいです。
そのため、STIレバーでも引くことは可能です。
制動力は、しっかり調整出来ていれば100%引き出せていると思います。
手持ちの5800系105ブレーキ装備のロードバイクと、30km/hからフルブレーキの制動距離を比較したことがありますが、有意な差は認められませんでした。
双方とも、5度繰り返して何れも2車長程度だったと記憶しています。
ただし、調整はかなりシビアです。
シューとリムが擦るギリギリでワイヤーをセットして、それでもブレーキの遊びが結構あるような具合です。
ちょっとでもホイールが触れたり、輪行した後などホイールが少しでもズレてしまうと、すぐシュータッチします。
(STIレバーは3400、旧SLRなのも理由かと思います…
昔2400で使っていたこともありますが、まだマシだったような記憶はあります。
ただ、現行レバーでもそれなりにシビアであるのは変わらないです。
※この辺の話は後日するかもしれません。)
また、シューとリムをかなりギリギリでセットする関係上、ホイールの着脱の際に、ブレーキを解放する作業がしにくくなります。
これについては、組む時にワイヤーアジャスターを入れておくと解決出来ます。
自分が使っているのは、シマノの「SM-CB70」です。
サードパーティーからも同種の製品が出ていますが、シマノの方が調整幅が大きく、使いやすいです。
▼SM-CB70(Amazon)
▼楽天
なお、SM-CBシリーズは「70」の他、上位モデルの「90」もあります。
違いは、90の方にはクイックリリース的な機能が付いていて、爪を起こすだけでワイヤーを緩められる点ですが、70でも別に問題はありません。
一応、SM-CB90も貼っておきます。
▼Amazon
▼楽天
※数年来使って、実際の使用として問題は感じなかったですが、シマノのオフィシャル的には認められていない組み合わせであることは付記しておきます。
③解決方法(2)TRP CX8.4 の使用
TRPはテクトロのレーシングブランドです。
テクトロというと止まらないブレーキの代名詞のような扱いですが、下位モデルはともかく、TRPはしっかりした製品を出しています。
こちらのCX8.4は、メーカー側で「全てのドロップバーブレーキに対応している」とアナウンスしています。
▼出典:英語ですが本国公式サイト
このため、テクトロRX1使用だと避けられなかった「メーカーオフィシャルにはアウト」という称号を、TRP CX8.4を使えば回避できます。
ちなみに、自分はこちらを使っています。
派手な赤で、差し色としても良いです。
(※ワイヤーは調整する時引っ張れないと大変なため、あえてかなり多目に残しています…邪道とは知っています)
なお、色は赤の他、青と、無難な黒もありますので派手な色が苦手な人もご安心を。
▼Amazon
▼楽天
[rakuten:trycycle:10077765:detail]
※TRPにはCX8.4の他、CX9.0という少しアームが長い製品もあります。
(ありました?)
シマノブレーキは7900世代からワイヤーの引き量が変更されていて、新しいレバーのほうが、ワイヤーをより多く巻き取るようになっています。
(SLR-EV→New SLR-EV)
言い換えれば、79世代以降のブレーキレバーは、78世代以前のそれに比べて、同じ量引いた時の、ワイヤー巻きとり量が減っています。
そのため、ブレーキ側は、79世代以降のものは、78世代以前のものに比べて、少ないワイヤー引き量でも効くようになっています。
つまり、①79世代以降(=現行)のブレーキレバーと、78世代以前のブレーキを組み合わせると、制動力が低下します。
(ただし、使えないことはない)
②78世代以前のブレーキレバーと、79世代以降(=現行)のブレーキを組み合わせるとガッツンブレーキになって危険(非推奨)というのがシマノの見解です。
▼参考
各ショップの公式から、
CX8.4は変更前(=7800世代以前)、CX9.0は変更後(=7900世代〜現在)のSTIレバーに対応していたものと認識していましたが、TRP公式を見るとCX9.0は掲載されていません。
(型落ち?)
また、CX8.4には上述のとおり、全ロードブレーキレバーに対応している旨、記載があります。
実際問題として調整でどうにかなるとは思いますが、何となくスッキリしない感が残るのは事実です。
別記事へ続きます
…予想外に長くなったため、別記事を立てます。