"GRIMPEUR"

…グランペール…

SHIMANO RC9 …透徹としたクリアな硬さを感じさせるハイエンドシューズ…

まえがき

この記事は、シューズを購入した2022年に本文を記載していましたが、(写真を貼り付けするのが面倒であったという怠惰この上ない理由により)2025年の公開まで長らく下書きに眠っていました。

そのため、一部今と感じ方が異なる部分等がありますが、買った際のインプレとして、あえてそのまま公開します。

末尾に、【追記】2025年時点のインプレ、と称して、現時点のインプレを記載します。

 

目次

はじめに:ロードバイクとビンディングシューズ

SHIMANO RC9のインプレ①重量

SHIMANO RC9のインプレ②剛性

SHIMANO RC9のインプレ③履き心地

SHIMANO RC9のインプレ④クリートセッティング

SHIMANO RC9のインプレ⑤向く人、向かない人

 

はじめに:ロードバイクとビンディングシューズ

このブログは初心者の方にご覧いただくことも想定しておりますので、先ずはビンディングシューズとはなにか?の説明から。

既にスポーツ自転車に長くお乗りの方は、飛ばしていただければと思います。

 

スポーツ自転車には、「ビンディングペダル」という種類のペダルがあります。

これは、端的に言えばシューズとペダルを、金具を介して連結してしまうものです。

シューズとペダルを連結することで、足がペダルの上でブレたり、滑ったりすることがなくなります。このため、ペダリングの効率が高くなります。

 

ペダルにシューズを固定してしまうなんて、危なくないのか?と思われる方も多いかと思います。

その点については、足首を外側に捻ることで、シューズとペダルの連結が簡単に解除できるようになっているため、基本的には危なくありません

(外しそこねてその場でパタンと倒れてしまう、所謂「立ちごけ」をすることは皆無ではありませんが…。筆者も1、2回程度だと思いますが、してしまったことはあります)。

 

このビンディングペダル、ペダルについて専用品が必要なのは勿論、シューズの方も連結のための金具を取り付ける必要があることから、ビンディングシューズと呼ばれる専用のシューズが必要になります。

ビンディングシューズについては、安いものでは1万円未満で販売されていますが、ハイエンドになると5万円を超えてきます。

 

この記事は、SHIMANOのハイエンドシューズ「RC9」を購入した筆者による、インプレッションです。

 

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SHIMANO RC9のインプレ①重量

現在RC9は第3世代にモデルチェンジしていますが、筆者が購入したのは型落ちの第2世代。現行の第3世代は234gです。筆者の第2世代は243g

 

筆者はここ3年間、SHIMANOのエントリーグレードのシューズ「RP4」を履き続けてきました。

RP4はSHIMANOのHPを見ても重量の記載がありませんが、RP4と今回購入のRC9を比べると、手で持って明らかに分かるレベルでRC9が軽いです。

後述しますが、特に剛性の面が格段に異なるため、「軽量化そのもの」でどれだけの効果を得られているかの検証は難しいです。

しかし、ペダルは毎分90回転程度回し続けるものです。このため、軽量化の効果はかなり大きく出ているのではないかと思います。

 

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SHIMANO RC9のインプレ②剛性

フィーリングの差などというレベルではなく、段違いで、苦笑してしまうほど異なったのがこの「剛性」です。

これまでのRP4は、SHIMANOの剛性指数では「6(/12)」に位置づけられています。

一方で、今回購入したRC9は「12」。

3年間の使用で剛性は低下していたものとは思いますが、それを加味しても段違いにRC9の剛性は高く感じられます。RC9には、絶対にたわまない板を踏みつけているような感じがあります。

正直なところ、シューズに何万円も出すのには半信半疑でした。しかし、この剛性の圧倒的な差を感じて、これが価格差だなと、そして価格に見合った製品だなと納得できました。

各社ハイエンドを当たればこれと同等か、もしくはこれ以上の剛性を持ったシューズもあるかもしれません。

そのような高い剛性のシューズに慣れた方にはまた違った感想になるかもしれませんが、少なくともエントリーモデルのシューズからの履き替えであれば、剛性の面では明らかな違いを感じられるかと思います。

 

剛性は特に、大パワーを低ケイデンスで入力するダンシングで活きるように感じます。明らかにロスが少なく、ペダリングに対してバイクが跳ねるように反応して進む感じが強くなりました。

 

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SHIMANO RC9のインプレ③履き心地

先ずは、履きやすさ。

剛性とトレードオフだと思いますが、とても履きにくいです。履くのだけで片足1分かかります。BOAダイヤルを緩めきって、アッパーを押し上げて、かかとを潰さないように足を挿入していくのは多少手間がかかります。

しかし、性能を考えればこれは致し方ないことと思います。

 

続けて、足をしっかり固定するホールド力

マジックテープ2本とBOAダイヤル1個の組み合わせのRP4でも適宜締め直せばストレスを感じない程度のホールド力は得られていたと思っていましたが、BOAダイヤル2個で微調整しながら締め込みができ、アッパーが足の甲を覆うように締め付けていくRC9を履いてしまうと、これまでのシューズは遊びがあったのだなと感じざるを得ません



70km/hでスプリントする方々のためのシューズなので当たり前といえば当たり前ですが、RC9はホールド力に関しては申し分ないものがあります。

なお、RP4のBOAダイヤルは締める方向のみ調整が可能で上に引っ張ると一気に固定が緩む形式でしたが、RC9のBOAダイヤルは逆回転させることで緩めることも可能です。

あまり無いとは思いますが、締めすぎてしまった際に走りながらの微調整も可能なのは利点と言って良いでしょう。

なお、各サイズごとノーマル幅とワイド幅が用意されています。ホールド力の大前提として、足型にあったシューズを選びやすいのもRC9の良い点と言えると思います。

 

そして、インソール。

筆者は足裏を痛めがちで、シダスのランニング用インソールを自転車でも使用しています。

しかし、RC9のインソールは純正でアーチの高さを変更できるパーツが付いてきます。このパーツを交換してハイアーチ対応にしたところ、取り敢えず問題なさそうです。

インソールは人により合う合わないが分かれやすいため、この交換をもってしても合わない方はいると思います。

しかし、純正でアーチの高さを変更できるインソールがついてくることで、インソールを新たに購入せずとも済む方が多くなるのは事実でしょう。そういう点で、とても良いなと感じます。

 

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SHIMANO RC9のインプレ④クリートセッティング

クリートのセッティングは前後22mmの大きな調整幅を持ちます。大概の場合、この幅で不足を感じることはないのではないでしょうか。

シューズの底面には前後位置や角度の参考となる線が何本も記されています。これを参考にしてセッティングが出来るため、スムーズなセッティングが可能です。

RP9の底面にはガイトとなる線がなかったので、この点はとても良いなと感じました。

余談ですが、シューズにクリートは付属してきません。これまでのシューズからクリートを移植する場合は別ですが、そうでない場合は新たにクリートを購入する必要があります。

※ペダルを購入するとクリートが付属してきます。

 



 

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SHIMANO RC9のインプレ⑤向く人、向かない人

ここまでSHIMANO RC9について解説してきましたが、このSHIMANO RC9が向く人、向かない人について考えてみます。

SHIMANO RC9が向く人

SHIMANO RC9が向くのは、やはりレースをする人でしょう。

プロが使うために作られたシューズです。これを履いて言い訳はできない、そんなシューズです。

ただ、レースをされる人であっても後述の「向かない人」カテゴリに当てはまる楽しみ方をしている方の場合は、これまで使っていたシューズを残しておいた方がいい場合もあると思います。

SHIMANO RC9が向かない人

25km/h~30km/h、体重比3倍台までの走行がほとんどを占めるロングライドやゆるいポタリングがメインの方の場合は、他の選択の方がよろしいのではないかと思います。

剛性が高くロスなく進みますが、その代償としてそれなりに足に負荷がかかるように感じます。元気なうちは良いですが、疲れきって惰性でペダリングするような事態に至った際には、剛性が仇となる場合もあると思います。

また、不快ではないですがお世辞にも快適なシューズではありません。タイトで、硬いです。カーボンソール故にあまり歩き回るのもよろしくないと思われ、ゆるポタにも向くかと言えば向かないと思います。

 

自分の自転車への向き合い方をよく考えた上で、導入するのがよろしいかと思います。



※向く向かないは筆者の私見です。「向かない」に該当する方が使用されるのを否定するつもりはございません。

例えば「カッコイイから履きたい!」であるとか「SHIMANOのハイエンドを体感したい!」等の理由で使うのは勿論アリだと思います。

個人的には、もう少し柔らかいシューズを併せて用意して、使い分けるのが良いのではないかと思っています。

 

 

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いかがでしたでしょうか。

RC9は必要十分に軽量で、高いホールド力、そして非常に高剛性なソールを持つ、レーサー御用達のシューズです。

筆者はほぼヒルクライムしか走らず、かなり高出力で走っている割合が多いため、RC9についてはとても良い買い物をしたと感じています。

上記のとおりですが、向く向かないがあるのは事実と思います。自分の楽しみ方に合うとお考えの方は、ぜひ購入をご検討いただければと思います。

 

【追記】2025年時点のインプレ

さて、表記のとおり、上記は2022年、購入直後時点のインプレでした。3年が経過した2025年時点でどう感じているかといえば、基本的に上記のインプレは間違っていなかったと感じます。

正直、初期の頃はあまりにも硬く感じられてしまい、最初こそ気持ちよく使っていたものの、段々とこれを履いても速く走れないという感しかなくなってきてしまったため、だいぶ宝の持ち腐れですが、2023年はスパカズをレース用にして、こちらのRC9は通勤用に落としていました。

一年くらい通勤で履きこなしたところ、いい意味で少し型崩れしてきたようで、履きにくさについてはだいぶ軽減されました。硬さについても、流石に使用していると慣れてくるのと、恐らく購入直後よりは柔らかくなってきているものと思われるのとで、硬すぎると感じることは比較的少なくはなりました。

ただ、それでも硬いと感じる機会が皆無ではないのは事実で、例えば東京ヒルクライム日の出ステージのような、路面が比較的荒れ気味でかつ急勾配のようなヒルクライムだと段差で跳ねるのを足がもろに拾ったりするような感じもあるなど、たとえレースに使うとしても硬ければ硬いほどよいというものでもないのだろうなと感じる機会言い換えれば、正直言ってこの靴はちょっと硬すぎるのではないかと感じてしまう機会もありました。

また、上記のとおりですが、元気なうちはいいのですが、筆者の場合300w(5倍程度)を出すのが苦しくなるくらいに追い込まれてくると、とたんに靴が牙を向いてくるような感を受けることもありました。

しかし、調子がいいときはとても使っていて気持ちのいい靴であるのも事実で、2024年からはレース用に戻し、使い続けています。

大分使う人を選ぶシューズだとは思いますが、透徹とした気持ちのよい硬さがあるのは事実です。速さを純粋に追求する、この靴を使いこなせる自信があるような方は、ぜひ導入を検討していただければと思います。

なお、筆者はペダルにアシオマを使っているので、クリートはLOOKです。シマノのシューズだからといってシマノのクリートしかつかないようなことは無いので、もしアシオマ等のLOOK互換パワーメーター付きペダルを使用している方でも、その点は御心配の必要がないことを申し添えます。

 

 

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