目次
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!②対策1:ギア比は正義
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!③対策2:ダンシングは極力使わない
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!④対策3:腰回りはフリーに
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!⑤対策4:着座位置の見直し
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!⑥対策5:ハンドルの距離・高さの見直し
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!⑦対策6:炭水化物摂取
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!⑧対策7:気合と根性
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!①はじめに
好きな人は大好き、嫌いな人は大嫌い、割と二極化しやすい、それが「ヒルクライム」です。
ヒルクライムは、端的に言えば、言葉そのまま「自転車で坂を登る」行為です。
自転車を趣味としている方でも嫌いな方がそれなりにおられますが、趣味としていない方からはなおさら理解不能らしく、筆者が雑談で趣味について話すと”何が楽しいのか?”と遠回しに言われることが多々あります。(笑)
そんなヒルクライム、あまり得意としない方からよくお伺いするのが「ケイデンスが維持できない!」問題です。
この記事では、ヒルクライムでケイデンスを維持するコツについて、考察してみます。
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!②対策1:ギア比は正義
先ず、ギア比は正義です。
一昔前は使って25Tまで、28Tはロードバイクじゃない…等というお言葉をお伺いすることもありましたが、今ではデュラエースのスプロケットでもロー30T、34Tしかラインナップにない時代になりました。
30Tを乙女ギアなどと言っていた頃とは隔世の感がありますが、体脂肪率5%、骨と筋肉の塊のようなワールドツアーに出てくるプロ選手たちも昔で言う乙女ギアを使う時代です(フロントは40Tだったりしますが…)。
アマチュアの我々が、大きなスプロケットを使うことを恥じることもありません。
30Tでも32Tでも、34Tでも、ギア比を下げられるスプロケットを用意しましょう。
△11-34T。21-23-25-27-30の繋がりがよいため、ヒルクライムではケイデンスを大きく変動させずに走ることが可能です(平地は別のスプロケを用意しましょう…)。
個人的に、加速するためでない、単に回しきれないがためにダンシングを使わざるを得ないようではギア比が高すぎると思っています。
シッティングで全て走れるギア比を用意するのがケイデンスを維持して走る第一歩だと思っています。
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!③対策2:ダンシングは極力使わない
これは賛否が分かれるかと思います。
筆者が185cm/63kg程度と、身長からすれば軽量なもののヒルクライマーとしては重量級なためというのが大きいかもしれません。
ダンシングは大パワーを簡単に得られる見返りとして、心拍が上がります。
休むダンシングであっても、少なくとも筆者の場合、ダンシングをしている最中に心拍が下がった経験はそうそうありません。
心拍が上がると、ペースの崩壊に繋がります。これが、筆者がダンシングをあまり使わないほうがよいと考えている理由です。
Can’t stop staring at my new Factor Phoenix 😁 #lavuelta22 @FactorBikes pic.twitter.com/xc8dxoUrQG
— Chris Froome (@chrisfroome) 2022年8月21日
△ここぞという時は強烈なダンシングを披露するものの、基本的にはシッティングベースで登る、フルーム選手。
使うシチュエーションは皆無ではありません。
ギア比ではどうしようもない激坂を乗り越える時のほか、ストレッチ的にダンシングすることもあります。
レースではペースアップに対応するとき、ダンシングを使うこともあります。
「効率的かどうか」を脇におけば、走り方としてダンシングは好きなので、筆者も本気で登っていないときは割と無意味にダンシングしていることも多いです。
しかし、レースではないTT的な走り方をする場合においては、軽量級な方などダンシングに自信があるような方を除いては、できるだけ使わないように走り方を組み立てるのがケイデンスを維持してスムーズに走るコツではないかと思います。
余談ながら、ローラーなどで練習しているとよく分かりますが、心拍はほんのちょっとしたことで簡単に数字が上がります。
例えば、ローラーでハンドルから手を離して少し上体を持ち上げ、数秒そのままペダンリングしてボトルに手を伸ばして水を飲んで、ボトルをケージに戻してまたハンドルに手を戻すような一連の動作だけでも、筆者の場合は心拍が多少(印象としては、3〜5程度)上がります。
このことから、ダンシングのような大きな動きを極力避けるのは勿論、シッティングで走っているときも極力フォームを固定して走るのが、心拍を乱さないという観点では良いのではないかと考えています。
△こうなってしまうと先はもう長くありません……
さらに余談ながら、ヤン=ウルリッヒという有名なレーサーがいます。
97年のTDF優勝者で、かのランス・アームストロングと4つに組んで戦っていたトップクラスのプロです。
彼は、182cmという体躯で、70kg程度の重量級なのもあり、ほぼ100%シッティングでヒルクライムをこなしていました。
同時代のパンターニやアームストロングについていけないシチュエーションばかり取り上げられている感がありますが、逆に97年の第10ステージではパンターニとヴィランクを置き去りにして登っていたりするなど、ヒルクライムでも相当強いレーサーです。
筆者同様体格の大きい方には彼の登り方は参考になるかと思いますので、是非見ていただければと思います。
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!④対策3:腰回りはフリーに
レースで余計なものを持って走る方は少ないかと思いますが、峠などでTTをする場合の話です。
サイクルウェアのバックポケットは便利ですが、ものを入れるとペダリングを阻害する場合があります。
ペダリングが阻害されてしまうと、本来ケイデンスを保ってスムースに登れる実力があったとしても、それを発揮できなくなってしまいます。
筆者の場合、スマホ一つでも入れるとパフォーマンスが落ちます。
対策としては、サドルバッグやツール缶などを使用し、バイク側に荷物を全て持たせてしまうのがベストです。
これだけでも結構変わるため、是非お試しください。
△ツール缶は便利です。
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!⑤対策4:着座位置の見直し
所謂「前乗り」VS「後ろ乗り」です。賛否両論の最たるものかもしれません。
筆者を例にとれば、自転車をはじめて5年に渡り後ろ乗りでしたが、パワーメーターを導入したのを契機に前乗りに一変しました。
前乗りすると、ペダリングの支点がBB直上に近づきます。
傾斜が発生するヒルクライムでは後ろ乗りより重力を活かして、脚の自重をBBの真上付近から重力にまかせて落とすようなペダリングがしやすくなります。
これにより高いPWを出しやすくなり、ケイデンスが落ちてペースが崩れるのを防げます。
筆者としては現在は約2年に渡り前乗りに落ち着いていますが、向き不向きがあるかとは思います。
前乗りしてから明らかに変わったのがケイデンスで、それまでは比較的高めのギア比で80回転程度を基準にヒルクライムしていましたが、前乗りにしてからは90回転〜100回転で走るようになりました。
言い換えれば心拍に頼る走りになったと言え、感覚的にはですが、高いギア比は後ろ乗りのほうが踏みやすかったとは思います。
ただ、インタビュー記事で前乗りするトップアマチュアの方がケイデンス80程度で走ると仰せだったのを見たこともありますので、人にもよるかもしれません。
どちらが向くか、是非実証実験していただければと思います。
自分にあった乗り方を見つけられれば、ケイデンスを維持してイーブンペースで走るようになれることかと思います。
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!⑥対策5:ハンドルの距離・高さの見直し
ハンドルが低すぎたり、遠すぎたりすると、腰が”潰れ”ます。
骨盤を立てる・寝かせるは両論ありますが、どちらにせよ腸腰筋部分を潰すような乗り方ではパワーを出しにくいと思っています。
感覚を掴む場合は、背中を反る寸前までぴしっと伸ばして腰の回旋を活かすようなイメージで走ってみると分かりやすいかと思います。
腸腰筋が潰れた猫背(骨盤を立てて腰部分より上を曲げた乗り方ではなく、腸腰筋が潰れた乗り方)よりも、明らかにパワーを出しやすいかと思います。
逆に言えば、上ハンドルを持つにせよブラケットを持つにせよ、骨盤を立てるにせよ寝かせていくにせよ、腸腰筋を潰さないでハンドルを持てる程度の低さ・遠さでセッティングしないとパフォーマンスも発揮しにくいと考えています。
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△参考まで。「腰を入れる」という表現、個人的にはとてもしっくりときます。
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!⑦対策6:炭水化物摂取
ケイデンスを維持して良いペースで走るのも、まずはコンディショニングからです。
筆者(上記のとおり、63kgくらい)の場合、朝に白米2合分のご飯を食べると、その日は大概良いパフォーマンスを発揮できます。カロリーにして1100kcalくらいです。
このくらい摂取してようやくベストパフォーマンスです。
軽量化のためにそれほど食べないで登りに挑みたくなる気持ちはわかりますが、しっかり炭水化物を摂取したほうが明らかに分かるほど身体の動きは良くなります。
△食べるなら、宮城県産ひとめぼれ
ただ、やりすぎるとお腹をくだしやすくなるので、その点は注意です。人里離れた峠でお腹をくだすと、割と悲惨な事態に陥ります。
心配な方は、「ストッパ」等を忍ばせておくとよいでしょう。
なお、錠剤タイプはいつの間にか潰れていることがあるため、ジッパー袋に入れておくと良いです(ツール缶の中を粉まみれにしてしまった経験あり)。
ヒルクライムでケイデンスが維持できない!⑧対策7:気合と根性
大事です、精神力。
精神論をベースにトレーニングするのは大概効率的ではないですし、精神力で120%の力が出せるようにはなりません。
しかし、「その場」、タイムを出すべきその場に至ったとき、ペースを維持してペダルを踏み続けられるか否かは精神力に依る部分も大きいと思います。
筆者の場合、ひとりで走っている普段の週末でも、仕事のことが頭に浮かぶと途端に脚が止まります。ですから間違いありません(笑)
精神力は修養するようなものではないと思いますが、苦しくなってきたときでも自分を信じて、プラス思考に考えてケイデンスを落とさないように走ってゆくよう心がけましょう(筆者もポッキーのごとく、割とよく折れるのですが…)。
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いかがでしたでしょうか。ケイデンスを維持してスムーズに走るコツについて、筆者なりの視点で列記してみました。
賛否のある部分もあるかと思います。筆者としても、自分自身の向き合い方が全ての方にあてはまるとは思っておりません。
この記事はあくまで参考であって、この記事を切り口に自分なりのフォームやコンディショニング、ヒルクライムへの向き合い方を模索していただければと思います。
この記事が、よりよいヒルクライムの一助となれば幸いです。