目次
はじめに:八幡平ヒルクライムとは
八幡平ヒルクライムは、岩手県は盛岡の北西部、八幡平市で行われるヒルクライムレースです。
八幡平は岩手の象徴・岩手山をすぐ横に望む1,614mの山で、秋田県と岩手県との県境でもあります。
この八幡平のいただきに向けた「八幡平アスピーテライン」で開催されるのが、八幡平ヒルクライムレースです。距離19.1km、獲得標高1,134mという、かなり長いヒルクライムとなります。
なお、ヒルクライムをはじめたての方なども気軽に参加できる、8kmのビギナーコースも設定されており、ガチ勢からエンジョイ勢まで、幅広く楽しめるイベントとなっています。
筆者は2022(年代別4位)、2023年(年代別2位)に続き、今回が3回目の参加です。
八幡平ヒルクライム2024:筆者のレース前
練習など
筆者の職場は夏が繁忙期であり、多少の残業はこなしつつも何とか練習量は確保しつづけてきました。
騒音対策の問題でローラーを屋外で回している関係上25度を超えると練習にならず、ローラーを使用した長時間踏むような練習はうまく積めないことも多かったですが、その分実走するなどし、とりあえずの練習量を確保してきました。
食事も気を遣い、6月下旬の岩木山ヒルクライムで63kg台中盤だった体重は60kgフラットに。筆者の身長(186cm)的にこのくらいが減量の限界であり、うまく削れていい感じに仕上がってきてはいました。
(サドルも変更・TNI ライトフライ2に)
また、不足しがちだった短時間高強度を増やしました。空腹もあってゆるゆる走りがちだった朝練を、朝練前に少し食事をとるなどしてパワーを出せる状態にして臨めるようにし、朝から5分340wなどの走りを多くするようにしました。
週末1日はローラーで長時間の登坂をイメージした練習、1日は10分程度で登れる坂で中時間中強度のインターバル、平日は前述の短時間高強度というかたちで、極力死角を減らすように意識して練習をしました。これは、結果的によかったのではないかと思います。
前日
岩木山の反省として前々日くらいからの食べ過ぎがあったため、前々日まではごくいつも通りの食事をしました。
前日も朝に白米2合、昼におにぎり5個、おやつにプロテインバー2本、夕方におにぎり5個のみと、今までよりは控えめにしました。
エネルギー切れする感じは全くもってなかったため、このくらいでよいものと思われます。
移動はいつもどおり輪行。大更(おおぶけ)まで輪行し、雨の止み間をみて、昨年も宿泊した「ペンション日の出」へ。
余談ながら、八幡平及びその周辺のゆたかな自然がとても好きであったりします。雄大な岩手山をバックにした、いかにも日本の夏、という田園風景に、安らぐものがあります。
(雲がかかってしまっていますが、雄大な岩手山)
八幡平は標高がある程度あるためか冷涼な気候で、自転車だけでなく避暑地として遊びに来たいなとこのレースで来るたびに思います。仙台からだとどうしても多少の距離があるのもあって、結局このレース以外で来れていないのですが…。
ペンションで温泉を浴び、その後はゆっくり過ごしました。
(ペンション日の出)
八幡平ヒルクライム2024:筆者のレース
レース開始まで
八幡平ヒルクライムは、レース開始が7時半頃と早いので、3時半に起床。
起床してすぐ、おにぎりを3つ食べました。
少し休んで、朝風呂。硫黄の香りが漂う温泉は昨晩よりもぬるく、リラックスできる温度でした。お風呂から上がって、体重を計測したところ60.7kg。
5時頃にもうひとつおにぎりを食べて、最後の補給としました。5時半頃から輪行解除し、レース会場へ。
なお、機材はサドルがTNI ライトフライ2に変わっている以外は昨年と同じく、第二世代のスーパーシックスエボに、ホイールがボントレガーアイオロスXXXです。
(レース仕様)
タイヤは23cのコルサで、前後9気圧に。岩木山のときは10気圧入れたのですがグリップが悪い上に振動を拾いすぎて走りにくかったのが教訓としてあったため、空気圧を見直しました。微振動を拾いすぎず、かつ転がりを損ねないのが9気圧くらいだなという感じだったため、9気圧で走りました。
ばたばたとエントリーを済ませ、手荷物を預けて、近隣の道を15km弱流してアップしました。
(レース当日の朝は、岩手山が綺麗に見えました)
アップを終え、開会式へ。超軽量ビアンキのYさん、昨年年代別優勝のKさん、30代の部のYouTuberのRさん等、知り合いの方々と話しながらスタートを待ちました。
昨年と違う点として、今年は地元の自転車部の高校生が数名いました。元気に溢れていそうな彼等の実力は未知数で、昨年とは違った戦いになるのではないかと思われました。
朝起きたときは涼しかったのですが、スタート時点には照りつける日差しが少々気になるくらいに。しかし、高原でもあり気温自体は低めで、熱中症を起こしかねないような不快感はなかったです。
八幡平ヒルクライムは、最初に一般女子やMTBのカテゴリがスタートし、そこから年齢が高いクラス→低いクラスの順でスタートしてゆきます。昨年よりは明らかに多い各クラスのスタートを眺めながら、自身の出るクラスのスタートを待ちました。
レース開始〜序盤
八幡平はレース序盤が急坂なのですが、レース開始直後、地元の自転車部のひとりが急勾配をものともせず軽快に登ってゆきました。しかし、どう見てもオーバーペースである上、昨年優勝のKさんをはじめ誰一人追走する気配はなかったので、いずれ捕まえられるだろうとみてお見送り。
早々に、自転車を押して歩くRさんを追い抜きました。スタート前にスローパンクしているのではないかとお話していましたが、どうも開始後にパンクしてしまったご様子。ゴール後にお話したところ、50代の方に修理キットをもらい、修理して無事走りきったとのことでした。
別にレースプランのようなものはありませんでしたが、割と序盤の方から自身が先頭を引く形で走っていました。5倍ちょっとで引く形で、自分としては淡々とイーブンペースで走っていたつもりです。
普段ひとりで練習しているのが大きいと思うのですが、誰かの後ろについて走るのがそれほど得意ではないのもあって、平地のような空気抵抗がモノをいうシチュエーションならともかく、登りなら前を引くことをそれほど厭わない方です。
また、前回優勝のKさんがおそらく自分より強いのはほぼ間違いなかろうと思われたので、彼にペースを作らせてしまわない方が却って楽かな…と思ったのも大きいです。
そんな具合で、数度、Kさんが前に出ようとするときがあったものの、序盤は主に自分が集団の前を引いていました。一人飛び出していった高校生の方も、開始15分くらいで無事吸収。
パワーの値としては、ある程度明らかな記憶があるなかでは、後述の大くだり手前のスノーシェード入口で、たしかアベレージ315w(=5.2-3倍くらい)くらいだったかと思います。大したペースで引いていなかったのもあって、序盤は筆者とKさん、そして地元の高校生が確か4名くらい…と、集団は絞れていない状況でした。
中盤
スタートから8kmほど、ビギナーコースのゴール手前に急激なくだりから左、ついで右に曲がり、そこから急激に登る箇所があります。
この下りで筆者の右を抜けていくKさん。筆者も回していたのですが、どうしようもなく開いていく差。登り返しになり、そのまま飛んでいくKさん。これは離れたらまずいと、必死で追走しました。
Kさんもここで決定的な差をつけるつもりではなかったのか、ちらっと後ろを振り返るような素振りを見せるくらいだったのも幸いし、筆者も何とか無事合流。
地元の高校生数名もここでは脱落しなかったようで、5人か6人ほどの集団でビギナーコースのゴールを過ぎました。
ここで一気につらくなりましたが、上ハンドルを持って身体を起こし、ビギナーコース横の給水をもらい、何とか息を整えました。
少しして、改めて集団先頭に。中盤以降はゆるい坂と急勾配が繰り返されるため感覚ではペースを作るのが少々難しい区間にはなりますが、今年はパワーメーターがあるため300wを目安に淡々と踏む形で走りつつ、Kさんの加速に合わせる形で自身も加速すること数回。前で走っているよい点として、後ろの選手が加速した場合に一瞬踏み遅れても捉えやすく、Kさんを先行させることはなく走れました。
地元の高校生諸氏は一人また一人とちぎれていったようで、昨年同様Kさんと筆者の2人に。
終盤
ラスト4kmくらいから、ときに下りを挟みながら走るようなコースになります。筆者のエアロダイナミクスへの理解が浅いためと思いますが、Kさんと走るとゆるい坂〜くだりは明らかに筆者のほうが脚を使っているような感じで、ここから先は如何に逃げられないように走りつつ勝機を見つけられるか…と考えながら走っていました。
向かい風に苦しめられながらも、300w出しておけばそうそうアタックも出来ないだろうという考えから、勾配がゆるくなった箇所でも極力300wを切らないように踏むイメージで走っていました。
最終盤、2kmを切るくらいまでは2人で走っており、昨年登り返しでKさんに前に行かれてしまった60km/hほど出る大下りからの左カーブは、前方が少し混雑していたこともあって今年は筆者が前で登りに突入。Kさんが仕掛けてくることは予想できたので、この日でここでいちばん踏みました。体感としてはほぼ全開。サイコンのログを見ると最大732w出していたようですが、おそらくここだったと思います。
しかしその後、再度仕掛けたKさんに今度こそついていけず、右から、下ハンドルを持ったダンシングで飛ぶように加速してゆくKさんに、筆者も下ハンドルを持ってスプリントのような走りをしましたが、ついに力尽きました。そして、あっという間に遠くなってゆくKさん。そこで踏めるか踏めないかの差はとても大きくて、力の差は明らかであり、気持ち良い完敗でした。
(最終盤の筆者)
ラスト1kmを切り、もう追いつけないのは自明でした。使い切って、まったくもって動かなくなった身体でしたが、何とかパワーが下がらないように踏み、限りなく長く感じられた最後の1kmを何とか走りきって、2着でゴールしました。
タイムは54分58秒。昨年は55分42秒だったので、44秒縮めたことになりますが、着は変わらず2位でした。
なお、パワーは平均305wでした。中盤以降のゆるい坂〜くだりで多少平均を下げていますが、大崩れすることなく走れた印象です。
(ゴール地点)
番外編:妻のレース
今回も妻が同伴してくれました。妻は1時間39分ほどで、メインコースを無事完走。
一週間前に急遽、リアのギアを14-28Tから11-34Tに変更したのですが、八幡平の急坂も34Tまであれば無事こなせたようです。
序盤を少し飛ばしすぎてしまったようですが、しっかりとゴールまで走り切りました。
八幡平ヒルクライム2024:さいごに
ただ淡々と走るだけでなく、仕掛けて仕掛けられてのレースらしいレースができて、下ハンドル持って全開で走るくらいの全力のレースができて、ベストタイムも出せて。最後に負けこそしましたが、本当に楽しくてたまらないレースでした。
岩木山で全く何もできないレースをしてから2か月、しっかり取り組んでこれてよかったなと思えました。
Kさんはじめ、一緒に走ってくださった皆さん、ありがとうございました。
(表彰式)
入賞商品は「こまくさポーク」1.4kg。ぎとぎとしすぎていなくて、柔らかな肉質で、とても美味しいお肉です。一週間たった今日(9月8日)食べたのですが、美味しくて食べすぎました。来年もまた貰えるように(今度こそ肩ロース1.8kgをいただけるように…)頑張ってゆきたいところです。