東京都で激坂ヒルクライムといえば、「和田峠」が真っ先に挙がる方も多いでしょう。
筆者も多摩地域に在住していた学生時代、幾度となく訪れた思い入れのある峠です。
この記事では、「和田峠」ヒルクライムのコースについて、徹底解説してゆきます。
目次
和田峠ヒルクライム①和田峠の概要とアクセス
和田峠のアクセス
和田峠は、冒頭記載のとおり、東京都西部に位置します。
市区町村名でいえば八王子市。峠が東京都と神奈川県の境を為しており、西側は神奈川県になります。
所在地については、グーグルマップを貼り付けると、以下のとおりです。
アクセスについては、簡潔に言えば「都道521号陣馬街道をひたすら西へゆけばたどり着く峠」となります。
東京都側からの分かりやすいアクセスとしては、以下のとおりです:
国道20号甲州街道を西へ進んでいくと、八王子市街の直線的なストレートを過ぎたところで「追分町」という交差点が現れます。この「追分町」交差点で521号に乗れます。
交差点には青看板があって、大きく「陣馬高原」という記載があります。この記載に従って進めばOKです。あとは道なりとなります。
△この交差点で国道20号甲州街道から、521号陣馬街道へ進めます。
ただ、このアクセスは、比較的道幅が狭く交通量もそれなりに多い道を約7kmにわたり走行する必要があります。
元気な行きはよいのですが、疲れ切っている帰りだとなかなかつらいものがある場合もあります。
交通量が多い道が苦手な方であれば、以下のルートを取ると良いかと思います:
多摩川サイクリングロードを府中四谷橋で南側に移って、浅川サイクリングロードに入ります。
このままひたすら浅川沿いを走っていくと、高尾の手前までほとんど車道を走らずに至ることが可能です。
△府中四谷橋で多摩川を南に渡り、土手の上を西に向けて走っていると、程久保川の遊歩道に入ります。
遊歩道の最初の橋を渡って、右折。
そこから270°くらい回るようなかたちで、浅川サイクリングロードに入ります。
高尾からは都道46号高尾街道を北上。
「城山大橋」交差点で左折して都道61号線に入り、そのまま直進すると「川原宿」交差点で521号線と合流します。
このルートだと、交通量の多い道をほとんど走らずに、和田峠へアクセスすることが可能です。
筆者が東京在住の頃、よく利用していたアクセスはこの経路でした。
なお、輪行アクセスの場合も、中央線高尾駅から、46号→61号ルートを取るとよいです。
和田峠ヒルクライムのコースプロフィール
和田峠でヒルクライムといえば、大概は麓の「陣場高原下」バス停がある広場を起点に、峠の頂上までを指すものと思います。
STRAVAでも(セグメントが乱立しているようではありますが)このルートでタイムを競う方が多い印象です。
コースプロフィールは距離3.64km、獲得標高344m、平均勾配9.5%というもの(STRAVAのセグメントより)。最大勾配は18%にもなる、急峻なコースです。
短距離で急激に登る峠であり長い峠のような長時間に渡るつらさはありませんが、あっという間に心拍が跳ね上がって休むまもなく終始踏みっぱなしになるような峠です。
筆者が住んでいたころの印象としては、15分を切れば速い人、13分台がごく僅かにいる神々のような方々…という認識でした。
最近はインフレしているのか、記事執筆時点でSTRAVAの10位の方が13分10秒台。KOMに至っては11分台後半。同じ人間かと思いますが、すごい方もいるものです。
なお、筆者が多摩在住時のベストが、15分04秒。何十回と通いながら遂に15分を切れずじまいでした。
つい先日、4年ぶりに走ってみると、本調子から程遠いにも関わらず(マケオシミ)、14分29秒。呆気なく学生時代の壁を超えられてしまって我ながらびっくりしています。
今の筆者であれば、13分台も十分狙えるものと思っています。
遥か遠くに在住しているため、昔のように気軽なアクセスは出来ませんが、また訪れたいものです。
和田峠ヒルクライム②コース前半
スタートは、「陣馬高原下」のバス停がある広場から。
スタートしてすぐ、右に曲がってゆきます。間違えて左に進まないよう注意しましょう。
筆者は4年ぶりに訪れた先日、何十回と通ったはずなのに一瞬間違えかけました。
なお、ここに限った話ではありませんが、この右曲がりは降りてくる車と鉢合わせしやすいので、その点はご注意を。
のっけから緩く登りはじめますが、タイムを狙うなら最初から積極的に踏んでゆくのがよいと思います。精々15分〜20分程度の峠のため、温存する必要はないかと思います。
オールアウトする寸前でゴールにたどり着けばよいのです。
筆者の場合で、500m程度行ったところにあるゲートまで、1分で登るのを目安にしていました。
印象としては、序盤は中盤以降に比べれば勾配は緩いです。
STRAVAのセグメントでいえば、「2kmの看板まで」は平均勾配9.4%であるのに対し、「2kmの看板以降」の1.4kmは平均勾配12%となっています。
激坂で可能な限りペースダウンしないのは重要であるとしても、緩斜面(というほどの緩斜面は序盤のごく僅かな区間しかないと思うのですが)でしっかり走らないと、良いタイムは出ないと思っています。
潰れても先の長さに絶望するような峠ではないため、普段見ないような心拍やパワーでもそれほど恐れずに、踏んでゆきましょう。
この記事では、先日登った際の帰り道で撮影した写真を用いています。
約3.6kmのコースで約40枚の写真であり、単純計算で100mに1枚くらい撮影していた計算になります。
そういう意味で、和田峠の景観はこの記事でほとんど網羅できているのではないかと思います。
ただ、写真のとおりですが、景色はまったくもって変わり映えしません。
複数回行けば今どこを走っているかは分かるようになりますが、それを写真と文字のみで伝えることはなかなか難しいものがあります。
横を走る川のせせらぎと草木のさざめきのみが響く、閑静な林道です。
東京在住の頃は、この雰囲気がとても好きでした。ヒルクライムが楽しいから、という理由と同じくらい、この和田峠の雰囲気が好きで通っていた感があります。
路面は、湧水で濡れている場合があります。
筆者がつい先日訪れた際はしばらく晴れが続いた後でしたが、それでも路面が濡れている箇所がありました。
勾配がかなり急なため、特にダンシングだと後輪のトルクが抜けて滑る場合があります。路面が濡れている場所では、安全面を考えるとシッティングで走るのがよいでしょう。
和田峠ヒルクライム③コース中盤
和田峠ヒルクライム中盤:2kmからが超急勾配
どこまでが序盤、どこからが中盤、については、コンセンサスを得ているような認識があるわけではありません。
筆者としては、スタートから2km程度のところにある、最初の急カーブあたりからを中盤と捉えていました。
筆者の場合、2kmの看板の地点で目安にしていたのが8分でした。8分ちょうどくらいで走れていると、15分台前半が見えてきます。
先日訪れた、14分半を出したときで、7分半を少し切るくらいでした。
前述のとおりですが、2kmからゴールまでが平均勾配12%となる、強烈な区間です。
タイムを狙うような走り方をしている場合、前半2kmで既に相当息が上がっていることも多いかと思います。
100mが途方もなく長く感じられる区間もあるのが事実で、暗澹たる気分に陥るかもしれませんが、耐えるべきは数分程度です。
いつまでも続く辛さはないため、ポジティブに頑張りましょう。
和田峠ヒルクライム中盤:魔の45番コーナー
(おそらく)この峠で最大の勾配を誇るのが、45番のコーナーです。
和田峠には崖側のネットに麓から順に数字が付されています(陣馬高原下より手前から数字がはじまっているため、1からのスタートではありません)。
最終的に56まであるうち、45番目のコーナーが、えげつない斜度を誇ります。
学生時代はインナーロー34-25Tで登っていましたが、その頃は、どれほど調子が良い日でもここだけはダンシング必至でした。
最近来訪した際はインナーロー36-34T、ギア比1.05という飛び道具を用意しましたが、それでも瞬間的に70回転を下回るくらい。
覚悟して、かかってください。
和田峠ヒルクライム中盤:46番以降
魔の45番コーナーを過ぎて、息絶え絶えだと思いますが、この先は1km強です。
距離だけで言えば、それほど長くはありません。
46番以降も、自分の持てる力をすべて使って踏んでゆきましょう。
和田峠ヒルクライム④コース終盤
50番台に至ると、終盤です。
ここからは全力を出して、持てる力を残さないように踏んでゆくだけです。
52番付近に、視界がひらけるところがあります。東京側を展望できる場所です。
遥か遠くに、関東平野が見えます。山々の間を縫って、遥か遠くまで来てしまったことを実感できる景色です。
タイムを測って登っているような場合には見る余裕もないかとは思いますが、お帰りの際にはぜひ、足を止めていただければと思います。
景色がひらけたポイントを過ぎると、いよいよゴールが近いです。
56番を左に曲がったら、100%。石碑の前まで走りきってゴールになります。
頂上には、「峠の茶屋」があります。暖かい季節だと、ジュースなどを販売しています。
走りきった後に飲む炭酸飲料は格別です。
反対側に降りていくと神奈川県です。少し下ったところには、富士山まで遠望できるスポットがあります。
くだっていくと、相模湖付近に至ります。
国道20号の大垂水峠を西から登って高雄に戻ることも可能です。脚に余力がある場合はぜひ西側に降りてみてください。
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いかがでしたでしょうか。
和田峠は、東京都でも屈指の激坂です。とてもつらい峠ですが、その辛さが病みつきになって通う人も(在住時の筆者含め)多数。
ヒルクライマーでなくとも、その閑静な雰囲気を楽しみに訪れるのもよいかと思います。
興味をお持ちいただけたら、是非ご来訪いただければと思います。