目次
はじめに:アヘッドステムとコラムスペーサー
先ずは基本的なところながら、アヘッドステムとコラムスペーサーについて解説します。
ロードバイクやクロスバイクの、ハンドルとフレームを繋ぐ部品が「ステム」です。
このステムは、前輪を支えるフロントフォークの上部に取り付けます。形式としてはスレッドステムとアヘッドステムというものがあり、前者はママチャリやクロモリのロードバイクでは見かけるものの、現代的なスポーツ自転車の大半は後者のアヘッドステムとなります。
このアヘッドステムを取り付ける際、高さを調節するためにステムとフレームの間に、及びステムの上部にコラムスペーサーという部品をはさみます。
このコラムスペーサーは、ヘッドパーツと呼ばれるフロントフォークの上下に取り付けられた部品を適切に加圧し、フロントフォークをがたつきなく取り付けるために必要な部品となります。
ステムをヘッドパーツの直上に取り付ける場合は別(※)ですが、ヘッドパーツとステムの間に距離がある場合は加圧のために必須の部品となります。
※昨今のカーボンフレームの場合、ステム上下に必ずコラムスペーサーを挟むよう指示されているものも散見されます。そのような車体の場合はステム、スペーサーの取り付けにご留意ください。
コラムスペーサーが回る①コラムスペーサーが回る状態とは
フロントフォークをヘッドパーツとともにフレームに挿入して、上からコラムスペーサー、ステムを取り付け。
場合によりステムの上に更にコラムスペーサーを追加し、トップキャップを被せる。
トップキャップのネジを締めて、ステム両脇のネジを締める。
ステム周りの取り付けの手順を簡潔に説明してゆくと、このような流れになります。
適切に取り付けられたフロントフォークは、フロントブレーキを引いた状態で前後に揺すったときにカクつくような感じはなく、前輪を少し持ち上げて地面に落としてもビビるような音がしたりもしません。
また、ハンドリングに突っかかりはなく、自然にハンドルが切れます。
このような状態になるよう取り付けた場合、コラムスペーサーを手で回そうとしても、基本的には回らないはずです。
△同じ画像ですが、説明の円滑化のためもう一度
しかし、取り付けが適切でない場合、具体的にはヘッドパーツの加圧が足らない場合、コラムスペーサーは手で回せてしまいます。
このような状態のときは、ステム周りの取り付けを見直す必要があります。
コラムスペーサーが回る②コラムスペーサーが足らない場合
よくあるのが、ステム交換した後に取り付けが上手く行かない場合です。
これは、コラムスペーサーの高さ不足に起因する場合がほとんどです。
コラムスペーサー+ステムの高さが、フロントフォークの高さより上回っていないと適切に加圧することができませんが、前者が後者より低い場合は勿論、高い場合であってもほんの僅かに上回る程度では加圧が不十分になる場合があります。
筆者の経験ですが、GIOS AEROLITE、CANNONDALE S6EVOの2台にDEDAのSUPERZEROステムを取り付けていますが、両車の純正ステムよりSUPERZEROステムは高さが低いようで、ポン付けでは適切に加圧できませんでした。
純正ステムを使っていた時よりスペーサーを1枚余分に上側に取り付けることで、両車とも無事取り付けることができました。
上記は筆者の例ですが、このようなことは多々あるものと思われます。ステム交換後にマニュアル通りに作業してもうまく行かない場合は、スペーサーを一枚買って追加してみるとよいかと思います。
コラムスペーサーが回る③作業手順の誤り
上記②同様よくあるのが、この作業手順の誤りです。
手順を並べ立てて説明すると、先ずトップキャップを適切に締め込んでフォークのガタツキがない状態にしてから、ステム脇のネジを締める…となります。
しかし、誤ってステム脇のネジを先に締めてしまった場合、いくらトップキャップを締め込んでも、ヘッドパーツを加圧することはできません。当然のこととして、ステム下側のコラムスペーサーもくるくる回ります。
長年乗っている方などであっても久方ぶりにステム周りの調整に手を出した際など、つい失念して手順を逆にしてしまう場合があるかと思います。
コラムスペーサーの高さは適切なのにがたつきが取れない場合は、作業手順を見直してみてください。
△上のキャップを締めた上で、ステム横のネジを締めます
コラムスペーサーが回る④トップキャップの締め付けの強さ
単純にトップキャップの締め付けが足らない場合もあります。
ステム脇のネジであれば大概は規定トルクがあるかと思いますが、トップキャップには大概規定トルクは無いため、どのくらいの強さで締めればよいか迷う方も多いと思います。
鬼の敵でも取ってやろうかという強さで締めると、ハンドリングに引っかかりが出ます。また、走る以前の問題として、カーボンフォークであればプレッシャーアンカーが引っこ抜けたり、金属フォークだとスターファングルナットが破損したりします。
このため、締めれば締めただけよいというものではないのは事実です。
よく言われるのはアーレンキー(六角レンチ)の短い方を持って締められるところまで締めた上で、長い方を持って半回転〜1回転程度締めるとよいというものですが、ケースバイケースでもう少し締めたほうが良い場合もあるのは事実です。
よく言われる上記から大きく逸脱しない範囲で、さらにもう少し締め込みをしてみると良い場合もあります。
なお、上記③も併せてご一読いただければと思いますが、トップキャップの再締め込みを行う場合は一旦ステム両脇のネジを緩めることを忘れずに。ステムのネジをそのままに締め込んでも、ステム下のスペーサーやヘッドパーツは加圧できません。
コラムスペーサーが回る⑤最後に
いかがでしたでしょうか。コラムスペーサーが回る状態では、大概はヘッドへの加圧が不足しています。
そのまま乗ると危険な場合もありますので、手で回せるような場合はぜひ一度各部を見直してみてください。