目次
膝の痛み予防と、クリート位置④参考までにSHIMANOの資料を見ると
はじめに:スポーツ自転車とビンディングペダル
このブログは、スポーツ自転車初心者の方にご覧いただくことも想定しているので、先ずはビンディングペダルのご紹介をいたします。
普段からすでにビンディングペダルをお使いの方は、読み飛ばしてくださいませ。
さて。
スポーツ自転車に乗っている人は、「ビンディングペダル」を使うことが非常に多いです。このビンディングペダルは、簡潔に言えばシューズとペダルをクリートという金具で固定してしまうものです。
降りられなくなるじゃないか!という声が聞こえますが、足首をひねればちゃんと、金具が外れるようになっています。
このビンディングペダル、使う理由は「効率的なペダリングを行うため」です。
得に高いケイデンス (ペダル回転数)で走る際などは、固定式ペダルであるか否かで回しやすさが随分異なってきます。
また、ダンシング(立ちこぎ)の際などは、ペダルから足が滑ってしまうことを防ぐためにも大変有用です。
ビンディングペダルのデメリットとして、シューズとペダルを固定する関係上、クリートという両者を連結する金具のセッティングが適切でないと膝などに負荷がかかってしまうことが挙げられます。
この記事は、膝の痛みにお悩みの方に、ビンディングペダルにおけるクリート位置についての指針となればよいなとの思いから執筆するものです。
膝の痛みの予防と、クリート位置①前後位置
クリートは、「前後」「左右」方向に動かせます。また、「角度」を変更することもできます。この3ファクターのうち、先ずは前後位置についてです。
前後位置については、拇指球を起点に、つま先寄りにすると高いパワーを出しやすい反面足裏やふくらはぎに負担がかかりやすいです。
逆に、かかと寄りにすると瞬間的な高いパワーは出しにくくなりますが、足裏やふくらはぎには優しいです。
膝の痛みを予防する観点からは、少しだけかかと寄りにセットすると良いと思います。筆者もそのようなセットにしています。
ただ、あまりかかと側に引きすぎて土踏まずまで来てしまうと、土踏まず部分に過度な負荷がかかって足底筋膜へのダメージが気になってきます。
セットして踏んでみたときに土踏まずのアーチ部分に変な負荷がかかっていないことは確認しましょう。
膝の痛みの予防と、クリート位置②左右位置
左右位置の変更については、Qファクター(左右クランクの距離)を擬似的に変更する効果を持ちます。
つまり、クリートを外側につけてシューズを内側に寄せると、擬似的にQファクターを狭めたような効果を得られます。
また、逆にクリートを内側につけてシューズを外側に寄せると、擬似的にQファクターを広げたような効果を得られます。
筆者の経験則上明らかにQファクターの広さを感じたのはクロスバイク純正のトリプルクランクをママチャリにポン付けしてみたときくらいです。これは流石に広すぎて、踏みにくさを感じました。
ロードではシマノ、カンパ、そしてキャノンデールのSiSL2クランクや、FSAのクランクを使ったことがありますが、正直慣れの範疇かなという印象です。
しかし、感覚にシビアな方の中には広くしたい、また逆に狭くしたいという方もおられるでしょう。
現に、そのような方のニーズに合わせて、SHIMANOペダルには軸長を4mm延長したペダルも存在していたりします。
ただ、膝の痛み予防の観点からは、Qファクターの(疑似)調整は、クリート位置の調整よりはペダルやクランクのチョイスで行うのが望ましい調整ではないかと思います。
なぜなら、シューズの中央から左右どちらかにクリートを寄せると、足裏の左右どちらかに過度な負荷がかかることになるからです。
足裏への負荷は、足裏そのものの痛みだけではなく、膝の痛みを誘発することもままあります。
このため、基本は中央にセットするのが望ましいのではないかと考えています。
膝の痛みの予防と、クリート位置③角度
角度は、シューズを内向きにするようにセットするか、車体とまっすぐになるようにセットするか、ガニ股になるようにセットするか…という調整です。
突然ですが、別段身構えず、緩い気持ちで直立してみてください。直立したら、以下を御覧ください。
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足はどのように接地しているでしょうか。
おそらく、肩幅くらいに足を開いて立って、つま先は外向きにハの字になる方が多いのではないでしょうか。
これは、足を少し開いて、つま先を多少外に向けて立つ状態が、身体への負荷が少ない立ち方だからです。
この状態から、少しずつつま先を内側に向けていってください。
つま先が真正面を向くくらいまでは特段の問題は無いと思いますが、内側に向けていくと太ももの内側に捻れを感じると思います。
ペダリングを行う際も、つま先を内側に向けるほど膝上の筋肉への負荷は大きくなります。このため、膝の痛みを予防する観点からは、真正面〜ほんの僅かにガニ股になるようにクリートをセットするとよいと考えています。
SHIMANOの場合は可動範囲6℃の黄色クリートを用いて、真正面へつま先を向けられるようにしつつ、わずかにガニ股にも踏めるようにするのが膝の痛み予防の観点からは良いのではないかと思っています。
高いパワーで踏むときはつま先を正面に向けたくなるのは事実なので、そのようなシチュエーションに対応させつつ、ローパワーで走るときは膝への負担が少ないちょっとガニ股走行をできる、良いとこ取りセットです。
なお、ガニ股もやりすぎると股関節あたりへの負荷が大きくなります。やりすぎないよう、良い加減を見つけてください。
膝の痛み予防と、クリート位置④参考までにSHIMANOの資料を見ると
SHIMANOのHPを見ると、「足長」「足幅」「アーチ長」を測った上で、「足長」「足幅」をもとにシューズを選択し、「アーチ長」がシューズの設定より長い場合はつま先よりに、短い場合はかかとよりにセットするよう説明されています。
これにより、標準位置にクリートが来る…という説明です。
単純明快で誠にもってわかりやすく、先ず第一の指針となるものだと思います。
これをもとに先ずは自分のクリートセッティングが大外れをしていないかを確認してから、なお不満が出る場合に様々試行錯誤していくのがよろしいかと存じます。
膝の痛み予防と、クリート位置⑤試行錯誤が大事!
ここまで解説をしてきましたが、大事なのは試行錯誤です。このブログで様々な見解を紹介していますが、筆者が全体を通じて言いたいことでもあります。
つまり、上記はあくまで筆者の体験であり、万人に適用できるかといえばそうではないと思います。責任逃れなどではなく、自転車のセッティングとはそういうものです。
このため、ある程度の指針はあれど、自分にあうセッティングは個々人が各個に探していく必要があります。
大前提として、自転車は非常に身体に優しいスポーツです。ランニングのように足を直接地面に叩きつけたりしないため、膝にも本来は優しい乗り物です。
このため、大概は機材のセッティングを見直すことで、膝へのダメージは大幅に改善できます。
自分に合ったクリート位置を探して、是非試行錯誤を重ねてみてください。