自転車(ロードバイク)で、宮城の秘境「二口峠(二口林道)」に行ってきました。
とても良いサイクリングコースだったので、紹介します。
目次
自転車(ロードバイク)で二口峠(二口林道)を走る①ストラバのセグメント
自転車(ロードバイク)で二口峠(二口林道)を走る②アップダウンの序盤
自転車(ロードバイク)で二口峠(二口林道)を走る③徐々に登り比率が高まる中盤
自転車(ロードバイク)で二口峠(二口林道)を走る④急勾配つづら折れの終盤
はじめに:二口峠(二口林道)とは
二口峠(ふたくちとうげ)は、宮城県と山形県の県境を為す峠です。
両県の間には、日本列島の背骨のように奥羽山脈が聳えています。
この奥羽山脈を渡って両県を結ぶ道は、蔵王エコーライン、笹谷峠などいくつかありますが、二口峠もこのひとつです。
位置関係としては、宮城県側は仙台市太白区(秋保町)、山形県側は山形県山形市(山寺)となります。
宮城県側からアクセスする場合、秋保温泉を目指して62号線(二口街道)を西進し、秋保温泉、秋保大滝を過ぎて更に直進し続けると二口林道に入り、この峠に至ります。
△アクセスの道も風光明媚で癒されます。
二口林道については、宮城県、山形県双方のHPに記載があります。記載を参照すると、工事そのものは昭和48年に完了しているものの、全線舗装完了となったのはつい最近(山形県HPによれば、令和元年)とのことです。
峠道そのものの歴史は江戸時代に遡るものの、ロードバイクのような舗装路以外への適応性が低い自転車が通れる道となったのは、かなり最近であると言えます。
林道は宮城県側から山形県側までの全線で約19km、最高点の標高は934mとなります。
なお、工事が行われたり、冬季閉鎖も行われるなど、限られた期間しか走れない道です。走れるかどうかは、「二口峠 通行状況」等で検索すると自治体HPがヒットする(記事執筆時点)ので、そちらをご参照の上御来訪ください。
県外からお越しの場合は、手前の秋保温泉で一泊するなどのプランも良いと思います。
自転車(ロードバイク)で二口峠(二口林道)を走る①ストラバのセグメント
STRAVAのセグメントでは、宮城県側は9.5km、平均勾配6.7%とされています。
秋保ビジターセンター、二口林道の起点をスタートとして、県境であるゲートをゴールとするコースです。
スタートは初見だと少し分かりにくいと思います(少なくとも筆者は迷いました)が、秋保大滝の駐車場から5.4km程で現れます。
なお、STRAVAのセグメントは設定されていますが、筆者の個人的な見解としてはこのセグメントでタイムを狙うのはあまりよろしくないのかな…と考えています(後述)。
自転車(ロードバイク)で二口峠(二口林道)を走る②アップダウンの序盤
△起点となるビジターセンター
序盤3km程については、短距離の登りとほぼフラットな道に、かなり急激なくだりも含むアップダウンの続く林道です。
ヒルクライムでTTを行う場合、踏める場所はしっかり踏むべきであって、くだりがあれば本来はタイムの稼ぎどころになります。
しかし、この林道の各所に、速度を20km/h以下に落とすよう看板が佇立しています。上記で参照した宮城県、山形県のHPにも、速度を20km/h以下に落とすよう指示があります。
カーブミラーは設置されていますが完全に先が見えるとは言い難いコーナーも多々あり、林道故に木陰が多くて路面も見にくいため、20km/h以下に落とすように、という指示は最もなものだと考えます。
前段で、STRAVAのセグメントで全開TTをするのはあまりよろしくないのではないかと記したのは、そのような理由です。
あくまで筆者個人の考えなので、御来訪の際は個々に御判断願います。
個人的には、後述の純粋な登り区間のみでセグメントを作ればいいのかなと思っていたりします。後半はよほど速い人でなければ20km/hも出ないと思われるので…。
純粋な走行の話に戻ると、側溝が多いですが、時々側溝同士の隙間がものすごく広い箇所があるので要注意です。
特にくだりで速度が乗ったまま突っ込んでしまったところで隙間に落ちたら自転車自体が壊れそうですが、何十kmと人里から離れたこのような場所で対応できない事態に見舞われたら目もあてられません。
△(ここは道路の真ん中なので大丈夫だと思いますが)このくらいの隙間が空いている側溝が散見されます。
また、林道の常ですが路面はウェットがちで、木の葉も多いです。滑らないように注意して走るのが大事だと思います。
筆者はプリズムサファイアのスートロしか持っていないのですが、木陰の多い序盤は道がかなり暗いので、暗めのアイウェアだと路面把握が遅れて危険です。
アイウェアは明るめのものを使うと良いと思います。
なお、後述しますがこの峠は後半がかなり急勾配です。
体力にそれほど自信がない場合等は、前半は意識的に抑えめに走ると良いと思います。
自転車(ロードバイク)で二口峠(二口林道)を走る③徐々に登り比率が高まる中盤
ゲートを過ぎてから、それまでは平坦やくだりも含まれていたのが、徐々に登りの比率が高くなります。
瞬間的な勾配も場所によってはかなり急となり、筆者程度の脚だと34-28でも80回転を切ってくる箇所もあります。
なお、序盤〜中盤で道に沿って流れる川は名取川の源流です。
それなりに頑張って走っている場合ならそんな余裕はないと思いますが、風光明媚という言葉がこれほどあてはまる景色も少ないような絶景なので、是非とも視線を向けてみてください。
暫く登ると、前方の高い山の上部に、崩落防止のコンクリートが見えます。
筆者は初見で、まさかあそこまで登るわけないよなあ…と思いながら走っていましたが、後述のとおりその場所を超えて登ります。
あんな高さまで登るのか…と考えると精神が折れがちなので、意識的に見ないようにするとよいかと思います(笑)
自転車(ロードバイク)で二口峠(二口林道)を走る④急勾配つづら折れの終盤
どこからが終盤とはっきり決めるのも難しいですが、終盤は如何にも峠らしいつづら折れになります。
筆者は来訪した日が本調子ではなかったのもあるかと思いますが、筆者の脚だと終盤はほぼ34-28に入れっぱなしでした。ときどき勾配が緩むときに一時的にシフトアップする程度。
34-28でも75回転-80回転程が精一杯な箇所が数多くなります。
今ではすっかり回転型で普段ほとんどダンシングを使わない筆者でも、トルクを補うためにダンシングをしてごまかさざるを得ないような激坂と言って差し支えないような勾配も一部に現れます。
雰囲気としては、向こうほどの急勾配では流石にありませんが、東京は奥多摩の和田峠や風張林道に近いものを感じました。
半径の小さいRで360度回るようなつづら折れらしいつづら折れが続くので、峠を好きな人にとっては垂涎ものの道だと思います。
△先程の崩落防止コンクリートの場所が展望台です。ここを超えて、もう少し登ります。
筆者はそのような人種なので、我ながら多少気持ち悪いなと思うのですが、思わず笑いながら走っていました。
比較的道が整備されている峠の、道路の線形が直線的なヒルクライムでは決して得られない感覚を楽しめます。
展望台を過ぎて、二口峠の看板が出てきますが、ここはSTRAVAのセグメントのゴールではありません。さらにもう少し行ったところにゲートが出てきますが、そこが県境であり、ゴールです。
△ここではなく
△ここが終点です
そのまま反対側にくだると、山寺に至ります。蕎麦を食べて10km700mupを登り返すもよし、シューズを履き替えて観光を楽しんで仙石線で輪行帰仙するのもよいでしょう。
番外編:お帰り時には秋保大滝を
宮城側に戻るのであれば、ぜひ秋保大滝にお立ち寄りを。
日光華厳の滝、和歌山の那智の滝に並ぶ3大瀑布と言われ、圧巻です。
△写真は道路からの撮影ですが、遊歩道があり、さらに滝に近づけます。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
30分以上登れる点、仙台市街から半日あれば十分行って帰って来れる点、そして交通量が少なくて走りやすい点、秘境という言葉そのものの景色や雰囲気を楽しめる点で二口峠はとても良い場所です。
是非、興味を持っていただけましたら御来訪ください。