筆者は、5年前からカンパニョーロのホイール「シロッコC17」を使っています。
この記事では、シロッコの使用感や他のホイールとの比較を解説してゆきます。
目次
はじめに:カンパニョーロとは
今回紹介する「シロッコC17」は、イタリアの自転車部品メーカー「カンパニョーロ」のホイールです。
カンパニョーロは、ドライブトレイン(変速関係部品)で、日本のシマノ、アメリカのSRAMと市場を3分するメーカーです。略称として「カンパ」と呼ばれる事も多いです。
カンパニョーロは、変速関係部品の他、今回紹介する「シロッコC17」をはじめとしたホイールも作っています。
ちなみに、リムブレーキのホイールであれば殆どが採用しているクイックレリーズは、カンパニョーロの創業者が生み出したものです。
カンパニョーロの社章がクイックレリーズレバーをモチーフにしたものであるのは、このような所以です。
ホイールにルーツを持つ会社だけあって、カンパニョーロのホイールは高品質であり、プロアマ問わず多くのレーサーに愛されています。
カンパニョーロのホイールは、主に風の名前が付されています。
ハイエンドの「ボーラ」(BORA)は、南欧で吹く北東からの冷たい風です。
アルミハイエンドの「シャマル」(SHAMAL)は、ペルシャ湾岸地域での砂塵を伴う強風です。
エントリーモデルからの履き替えの鉄板「ゾンダ」(ZONDA)は、アンデス山脈からアルゼンチンへ吹き降ろす西風です。
廃盤となってしまいましたが「ユーラス」(EUROS)はギリシャ神話における東風の神様です。
エントリーモデルの「カムシン」(KHAMSIN)は、北アフリカ等で吹く、砂塵を伴った乾燥した強風です。
そして今回紹介する「シロッコ」(SCIROCCO)は、北アフリカからイタリアにかけて吹く南からの風です。
風の名前が付されていなかったのは近年では「ニュートロン」「バレット」くらいでしょうか…。
イタリア語が多いですが、イタリア語に限ってもいないようなのでいつの日か「YAMASE」なんかが出る日も来るかもしれません(来なそう)。
ただ同じくイタリアメーカーののKASKさんも「WASABI」なんてヘルメット出しましたし…ないでしょうか…。
カンパニョーロ・シロッコC17のカタログスペック
カンパニョーロ・シロッコはエントリーモデルの「カムシン」と、ミドルグレードモデルの「ゾンダ」の間に位置するモデルです。
お値段、定価で¥62,700(シマノフリー)。
※ムカシハモウチョットオヤスカッタキガs…なんでもありません。
アルミクリンチャーホイールには珍しく、リムハイトが35mm程度あります。
エントリーモデルながら、カンパニョーロのホイールに特徴的なG3スポークパターンを採用しております。
モデル名通りC17のリムを採用しており、25c以上のタイヤに最適化されています。
気になる重量は1,775g。リリース当初1,654gとされて一部で驚きを持って迎えられましたが、いつの間にカタログが修正されていました(クイックレリーズの重量を加えるか加えないか…あたりの問題ではないかと思います。)。
▽参考
カンパニョーロ・シロッコC17の評価①平地
さて、使用感です。
筆者が乗っているロードバイクの純正ホイールは「MADDOX RS」という、前後32本スポークの手組のようなホイールでした。
このホイールと比べた際は、雲泥の差でした。剛性の高さとスポークの本数が少ないのが効いているものと思いますが、足回りの押し留められる感がかなり軽減されました。
値段が近いところではシマノのRS300を使ったことがありますが、そちらとはいい勝負です。剛性はシロッコの方があるイメージで、その辺を加味するとシロッコの方がよく進む印象ではあります。
ただ、フィーリングレベルの話で有意な差ではないと思います。
筆者は他にフルクラムレーシングゼロや、キシリウムプロ等も使ったことがありますが、これらとも有意な差を感じません。
リムハイトはこちらの方が高いので多少は効いているのかもしれませんが、体感出来る差はないように思います。
なお、横風が吹くと結構煽られます。レーゼロやキシプロと比べると明らかにホイールを持っていかれる感じがあり、風が強い日は多少気を使うホイールではあります。
カンパニョーロ・シロッコC17の評価②ヒルクライム
純正のMADDOX RSと比べればそれは登ります。
アルミでセミディープなので外周部分であるリムは所謂鉄下駄ホイールとそう大差ない重さがあるはずですが、剛性の高さが走りに繋がっているようなイメージです。
リムハイトが高い分スポークが短いため、リムハイトが低い純正ホイールより剛性は断然高く感じられますし、少なくとも自分程度(MAX900w台)では撓みを感じたりはしません。
リムの重さは越えられない壁があって、レーゼロやキシプロと比べたらそれは登りません。
しかし、これらと比べて剛性が明々白々に劣っていると感じられる程の差はないように思います。構造としてしっかりしているので踏んでいる力が逃げるような感じは無く、使っていて進まなさに不快感を覚えるようなものではありません。
カンパニョーロ・シロッコC17の評価③見た目
フロントホイールはラジアル組の16本スポークで、リアは3×7のカンパニョーロ定番G3スポークパターンです。
1グレード下がるカムシンは後輪のG3の組がもうひとつ多い(3×8本)ですが、シロッコからは上位モデルと同じ本数です。
また、ゾンダやシャマルウルトラ等の他のアルミホイールと異なり、リムハイトが35mmというセミディープです。
リムハイトがあるホイールは大概カーボンリムでかなり高価になりがちですが、シロッコはこのお値段でセミディープです。さらに美しいG3スポークパターンという点で唯一無二の存在と言えるでしょう。
リムハイトが高めなホイールを好む方にとっては、コスト対見た目効果がかなり良いホイールと言えるのではないでしょうか。
見た目というのは大事で、自分の自転車の見た目を好きになれることはモチベーションにも繋がるので、軽視すべきではないと思っています。
カンパニョーロ・シロッコC17の評価④耐久性
2017年から5年、雨天の通勤なども含めて累計1万kmは軽く超えて使っていますが、スポークが折れる等の致命的なトラブルは全くなし。
後輪はタイヤをパンクさせてしまったときにわずかながらリムで走ってしまったことがあり、その時にフレは少しだけ出てしまいましたが、シューに触れるような大きなフレではありません。
また、前輪もスポークを2本、おそらく駐輪中のことだと思われますが曲げてしまったようでフレています(こちらは修理中)。
ただ、上記のことは前輪後輪ともどのようなスポークを使っていても起こりうることであって、シロッコの耐久性を考える材料にはならないかと思います。
間違いないのは、通勤からヒルクライムまで使い倒しておいて、走行そのものに起因する問題は全く出ていないということです。アルミリムで、リムハイトもあるため構造体として頑丈なのかもしれません。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
シロッコは、比較的お求めやすいお値段のアルミセミディープリムホイールです。
見た目良く、剛性は必要十分にあり、頑丈です。
重さは多少ありますが、すでにハイグレードな機材を持っている方の練習輪としても、エントリーモデルからの予算が限られた中での買い替えとしても、おすすめできるホイールかと思います。