「整備の部屋」では、ロードバイクやクロスバイクの整備に関わる情報を発信します。
⚠自転車は命を預ける乗り物です!少しでも不明な点、不安な点があれば、ショップ等信頼出来る人に確認してください!
目次
はじめに:フロントディレーラーの調整について
プロの自転車屋さんがしっかり組んだロードバイクやクロスバイクでも、時間の経過で不具合が生じてくるのは避けられません。
よくある不具合のひとつに、変速不良があります。これは、変速機を動かしているワイヤーのテンション(張り)が、自転車を組んだ時より落ちてしまうこと等によります。
この記事では、フロントディレーラー(前の変速機)の調整についてまとめます。
フロントディレーラー調整①必要な道具
フロントディレーラーの調整に必要なのは、以下の道具です。
アーレンキー(六角レンチ)(必須)
ワイヤーの固定や、ワイヤー張り調整のネジを回すのに使います。
プラスドライバー(場合により必要)
変速機をぶつけてしまった場合など、変速機そのもののセッティングから見直す必要がある場合のみ必要です。
フロントディレーラー調整②実作業
実作業①現状の把握
インナー(内側の歯・軽い側)からアウター(外側の歯・重い側)への変速が難しいのか、その逆なのかにより調整法が変わります。
前者であればワイヤーのテンションを上げる、後者であればワイヤーのテンションを下げる調整となります。
実作業②ワイヤーのテンション調整(R9100、R8000、5801以降)
R91以降の新しい世代であれば、フロントディレーラー本体に調整ネジがついています。
△矢印で指したさきの六角ネジです…。
調整ネジを締めるとワイヤーのテンションが上がり、緩めるとテンションが下がる仕組みです。
アーレンキーを用い、調整ネジを少し回して変速を試し、解消されないようであればさらに回して改めて変速を試し…を繰り返してみてください。
なお、このネジのみで解消されない場合は、ワイヤーアジャスター(調整装置)がワイヤーの途中に無いか、探してみてください。
△少し画像が荒くなってしまいましたが、矢印の先にあるのがワイヤーアジャスターです。左側のシフターから出ているワイヤーのアジャスターを調整します。
ワイヤーアジャスターが噛まされている場合、調整装置のダイヤルを回すことでワイヤーの張りを調整できます。
アジャスターが噛まされていない場合は、一旦ワイヤーの固定を外して張り直す必要があります(後述)。
実作業②ワイヤーのテンション調整(9000世代以前)
9000世代以前のものについては、変速機に調整ネジがついていません。
まず確認すべきは、ワイヤーの間にアジャスター(調整装置)が噛まされていないか?です。自転車屋さんで組んだ車体であれば、大概はセットされていると思います。
アジャスターが噛まされている場合、調整装置のダイヤルを回すことでワイヤーの張りを調整できます。
万一アジャスターが噛まされていない場合は、一旦ワイヤーの固定を外して張り直す必要があります(後述)。
実作業③ワイヤーの固定し直し
上記①②で対処できなかった場合、ワイヤーの固定を一旦外して再度固定し直すことになります。
先ずはワイヤー固定ボルトをアーレンキーで緩めて、固定を外します。
そのうえで、以下について確認しましょう。
確認1)変速機を横から見て、大きい歯車の歯先と変速機の間は1-3mm程度に収まっているか。
→間隔がこれより大きい場合、小さい場合は変速機そのものの取り付け高さを調整する必要があります。変速機は六角ネジでフレームに取り付けられているので、そのネジを一旦緩めて変速機の高さを変え、再度固定してください。
なお、フレームへの固定の際はトルクレンチのご使用をおすすめします。
確認2)インナーロー(前後ろとも1番内側の歯車にチェーンがかかった状態)の時、チェーンと変速機の間は~0.5mm程度で収まっているか。
→収まっていない場合はフロントディレーラーのインナー調整ボルトをプラスドライバーで回して調整します。
インナー調整ボルトは、変速機の表面にふたつ並んだプラスネジの内、車体内側のものです。
時計回りに回すと変速機は車体外側に向かって動きます。逆に反時計回りに回すと車体内側に向かって動きます。
確認3)アウタートップ(前後とも一番外側の歯車にチェーンがかかった状態)の時、チェーンと変速機の間は~0.5mm程度に収まっているか。
→収まっていない場合はフロントディレーラーのアウター調整ボルトをプラスドライバーで回して調整します。
アウター調整ボルトは、変速機の表面にふたつ並んだプラスネジの内、車体外側のものです。
時計回りに回すと変速機は車体内側に向かって動きます。逆に反時計回りに回すと車体外側に向かって動きます。
△インナー・アウター取り付けボルトはこちらです。
上記確認3までに問題がなければ、左手側の変速機を一番軽い段にセットした上でワイヤーをしっかり張って、再度ワイヤー固定ボルトを締めてください。
以上で作業は終了となります。