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【ビギナーの部屋】ロードバイク・クロスバイクのブレーキ操作(難度:★★★)

「ビギナーの部屋」では、ロードバイクやクロスバイクに乗り始めたばかりの方がお悩みになるであろうことを、ロードバイク歴7年の筆者が解説します。

目次

はじめに:スポーツ自転車におけるブレーキ操作の重要性

スポーツ自転車におけるブレーキ操作の基本

スポーツ自転車におけるブレーキ操作と安全走行

 

はじめに:スポーツ自転車におけるブレーキ操作の重要性

ロードバイク、クロスバイクは、ママチャリに比べて速く楽に走れる乗り物です。

(勿論脚力次第ですが)ママチャリを特段頑張らずに漕いだ時の時速は10-15km/h程度だと思います。

一方でロードバイクやクロスバイクの場合は、特段練習していない方でも25km/h程度であれば簡単に維持して走り続けられます。練習すれば40km/hでの巡航も可能な乗り物です。

速度が出ると、その分止まることが重要になります。制動距離は速度の二乗に比例して伸びるからです。

スポーツ自転車のブレーキは、(一部の低品質なものを除き)ママチャリのブレーキよりよく効きます。適切に操作すれば、かなり高い制動力を発揮してくれるものです。

しかし、適切な使い方が分かっていないと、その高い制動力がむしろ自分や周囲を危険に晒す場合もあります。

この記事では、ビギナーの方に先ず抑えていて欲しいことをまとめてみます。

 

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スポーツ自転車におけるブレーキ操作の基本

右手と左手のブレーキ

自転車には右手と左手にブレーキがあります。

右手がフロント(前)ブレーキ、左手がリア(ブレーキ)です。

試しに片側ずつ操作してみればすぐに分かることと思いますが、断然よく効くのはフロントブレーキです。

よって、基本は右手側のフロントブレーキをメインに使ってゆきます。

しかし、フロントブレーキがよく効くからといって無造作に右ブレーキを引くと、ジャックナイフという状態に陥ってしまうことがあります。

前側が減速することで極度に前荷重になることにより、後輪が持ち上がって一回転して前転してしまうような状態です。

このような状態にならないためにも、フロントブレーキ100%ではなく補助的に左手のリアブレーキを使ってゆきます。

あくまで感覚的な話ですが、乾燥した路面の場合、フロントブレーキ8:リアブレーキ2くらいの割合で使うイメージを持つと良い…とはよく言われます。

なお、雨天などバッドコンディションの場合は、リアブレーキを積極的に使うようにすると良いです。

 

タイヤロックと制動

ブレーキを強く引きすぎると、あるところでタイヤのグリップが失われます。タイヤは回転を止めた状態になり、速度が乗っている場合は滑ります。

自転車は基本荷重が前に乗る乗り物なのでそうそうない事ですが、前輪が滑ったらほぼアウトです。

よくあるのが後輪が滑る場合です。後輪は、荷重が前よりの状態でリアを制動すると簡単にロックします。この状態では所定の制動力を発揮しません。

よって、重心を後ろ寄りにセットした状態でフロントブレーキを必要十分に使用しつつ、リアブレーキをロックする寸前で上手くコントロール出来るか…が重要となります。

 

ブレーキと荷重、急制動

ブレーキによる減速をかけた時に重心が前に行き過ぎていると、先程説明したジャックナイフという状態になります。

自転車と身体は前に進もうとしているため、前輪が急激に減速すると身体の重心位置が高いのもあって前に放り出されてしまいます。

こうならないためには、サドルの後ろ目に座ると良いです。気持ち深めに着座するだけで制動はかなり安定するはずです。

 

飛び出しなどに対する急制動(パニックブレーキ)については、腕を思い切り伸ばしてサドル後方まで思い切り腰を引くと良いです。

大袈裟にいえばお腹をサドルにつけてお尻を後輪の上に持ってくるようなイメージ。

これは、重心位置を可能な限り後ろに持ってくるためです。こうすると、フロントブレーキをかなり強力に操作してもジャックナイフすることは少ないです。

ただ、そうそう咄嗟にできるものではありません。安全な場所で定期的に練習すると良いものと思います。

 

コーナリング(曲がり)とブレーキ

筆者も正直上手ではないのですが、曲がる時は曲がる手前でしっかり減速するのが大事です。曲がっている時はブレーキをかけずに済むのがベスト。

曲がっている間にやむを得ずかける時は、基本的には左手側のリアブレーキを細かく使って速度調整するイメージです。

強く引きすぎてしまうと、車体が傾いておりタイヤのトラクションが低くなっているため、簡単にタイヤロックして滑ってしまいます。

 

(ロードバイクのみ)下ハンドルブレーキ

ロードバイクのブレーキは、ブラケット上側と下ハンドルからのふたつの握り方があります。

高い制動力を軽い力で発揮出来るのは、下ハンドルからのブレーキングです。指がブレーキレバーの支点から遠いため、てこの原理により軽い力でブレーキを握れます。

くだりやバッドコンディションなどブレーキングが重要な時は、積極的に下ハンドルを握ってみると良いと思います。

 

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スポーツ自転車におけるブレーキ操作と安全走行

制動距離と空走距離

自車校の講義のようですが、停止する必要の認知→ブレーキ操作→停止までの走行距離を停止距離と言います。

停止する必要の認知からブレーキ操作までのラグの間で走る距離は、空走距離と言います。

ブレーキ操作を始めてから停止するまでの距離が制動距離です。

停止距離=空走距離+制動距離となります。

 

空走距離は、人間が物事を認知してからアクションに移すまで0.4秒程度のラグがあることによります。スポーツ自転車は速度が出る乗り物なので、0.4秒でも結構な距離を進んでしまいます。

制動距離は、ブレーキとタイヤの性能によって変わります。良いものを使用していれば相当高い制動力を発揮しますが、消耗している等の場合は制動距離が伸びます。

また、雨や下り坂などのシチュエーションでも制動距離は伸びることになります。

 

追突事故を避けるために、上記の距離の概念をしっかり理解しておくと良いです。

どのくらいの速度から何mで止まれるのかも、感覚として知っておくと良いです。そうすると、前の車等からどの程度の距離を取れば安全なのか、自然と分かってくるはずです。

ちなみに、自動車の場合は前の車と同じ場所を2秒後に通過すると程よい車間距離だと言われます。自転車でも大きくは変わらないと思いますので、参考までに。

 

予測運転

急制動は極力避けたいものですが、行わざるを得ない場合は時々あります。

自身がどんなに注意していても、子供の飛び出し等でフルブレーキしなければならないことは起こりえます。

 

前方に死角がある時は何かが飛び出してきても止まれるよう速度をコントロールする、ダンシングをやめてサドルにしっかり着座する、等の予測運転が大事になります。

 

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