「整備の部屋」では、ロードバイクやクロスバイクの整備に関わる情報を発信します。
⚠自転車は命を預ける乗り物です!少しでも不明な点、不安な点があれば、ショップ等信頼出来る人に確認してください!
目次
ロードバイク・クロスバイクのリアディレーラーの取り付け①:はじめに
ロードバイク・クロスバイクのリアディレーラーの取り付け②:リアディレーラーの選び方
ロードバイク・クロスバイクのリアディレーラーの取り付け③:リアディレーラーの組み付け
ロードバイク・クロスバイクのリアディレーラーの取り付け①はじめに
リアディレーラーの簡易調整(ワイヤーのテンション調整)については別記事をご覧下さい。
適切に組んであるロードバイクやクロスバイクの場合は、ワイヤーのテンション調整のみで問題ないはずです。
この記事では、フレームから車体を組む時や、コンポーネントの入れ替えの時に調整する「ハイ/ローアジャストボルト」「Bテンションアジャストボルト」について解説します。
また、リアディレーラーの選び方(グレード及びSS/GS)、フレームへの取り付け方についても併せて解説します。
ロードバイク・クロスバイクのリアディレーラーの取り付け②リアディレーラーの選び方
フレームから自転車を組む時、どのリアディレーラーを選べば良いか悩ましい場合があると思います。簡単に解説します。
※シマノの場合です。
グレードと世代
先ずスプロケットの段数と、リアディレーラーの段数が合っている必要があります。例えば8速のClarisのスプロケットと、11速105のリアディレーラーには互換性がありません。
8速のClarisのスプロケットを使う場合は、8速Clarisのリアディレーラーを用意する必要があります。
ただ、段数が同じであればグレードが違っても(ほとんどの場合は)動きます。例えば11速R8000アルテグラのスプロケットと、11速R7000の105のリアディレーラーを組み合わせて使用することが可能です。
※大昔の機材ですが、8速7400デュラエースは現行の8速と互換はありません。このように必ずしも同じ段であればグレード違いでも動くという訳ではありません。
グレード/世代違いのものをミックスして使う場合、確実性を期すためには、SHIMANOのHPにあるマニュアルを調べるのが一番です。
検索窓に製品の型番を入れて、ひとマス開けて「互換性」と入れて検索するとマニュアルがトップヒットする(記事作成時点)かと思いますので、そちらをご確認ください。
SSとGS
同じグレードでもSSとGSという2種類のものが用意されている場合があります。
SSはショートゲージ、GSはロングゲージの略で、プーリー(変速機下部についたふたつの歯車)の距離がSSは短く、GSは長いです。GSの方がより大きなスプロケットを動かせるようになっています。
確認すべきは「最大/最小トップスプロケット歯数」「最大/最小ロースプロケット歯数」「最大フロント歯数差」の3点です。
「トップスプロケット歯数」は、カセットスプロケットのトップ側(小さい歯車側)についての対応を示したものです。
例えば最大12T、最小11Tのリアディレーラーを使う場合は、11Tもしくは12Tがトップになっているスプロケットを使う必要があります。14Tから始まるジュニアスプロケットは使用できません。
「ロースプロケット歯数」は、カセットスプロケットのロー側(小さい歯車側)への対応を示したものです。例えば最大28T、最小25Tのリアディレーラーを使う時は、32T迄あるスプロケットは使用できません。
32Tのスプロケットを使用したければ、最大が32T以上になっているリアディレーラーを用意する必要があります。
「最大フロントギア歯数差」は、フロントギアのインナー/アウターの歯数差が何T迄であれば対応できるかを示しています。
例えば最大歯数差16T迄対応のリアディレーラーは、50-34T(歯数差=50-34=16T)のフロントギアと併せて使用できます。
しかし、(このような組み合わせは魔改造でしか無いと思われますが)53-34T(歯数差=53-34=19T)のフロントギアとは併せて使用できません。
SSとGSのどちらを使うべきか悩んだ場合は、シマノの場合、近い世代のものであれば型番を入れて検索をかけると、製品情報がトップヒットすると思います。
例えば5800系105のRDについてSS、GSどちらを使うべきか悩んだ場合は、「RD-5800」と検索窓に入れて、GS、SSそれぞれのSHIMANO公式ページを確認してみると良いかと思います。
ロードバイク・クロスバイクのリアディレーラーの取り付け③リアディレーラーの組み付け
必要工具
※リアディレーラーの交換には必然的にチェーン交換(ないし繋ぎ直し)が付随しますが、そちらについては別記事で解説します。
あくまで当記事ではリアディレーラーの組み付けそのものに必要な工具のみ掲載します。
リアディレーラーの組み付けに必要なのは「アーレンキー(六角レンチ)」「プラスドライバー」の2つです。
前者はリアディレーラーの車体への取り付けとワイヤーの固定、及びBテンションアジャストボルトの調整に使います。
後者はハイ/ローアジャストボルトの調整に使います。
※直近世代だとハイ/ローアジャストボルトが六角ボルトになっているものがあります。これらについては、プラスドライバーが不要です。
手順①:リアディレーラーをディレーラーハンガーに取り付ける&チェーンを通す
※以下作業手順について解説いたしますが、ダイレクトマウント等、作業の一部が異なる製品もあります。作業に際しては公式のマニュアルを併せて御参照いただくことをおすすめします。
先ずはディレーラーハンガーに、リアディレーラーを取り付けします。六角ネジを締め込むだけです。
そのうえで、チェーンを通してください。
△ディレーラーハンガーにディレーラーをはめ込んだ上で、このネジを締めます。
手順②:リアディレーラーのハイアジャストボルトの調整
取り付けをしたら、先ずリアディレーラーのハイアジャストボルトを調整します。
△ハイアジャストボルト
車体後方からカセットスプロケットとリアディレーラを見てください。
この時、カセットスプロケットの一番外側の歯とリアディレーラーが一直線になっていればOKです。
カセットスプロケットの一番外側の歯に対してリアディレーラーが内側もしくは外側に寄っている場合、ハイアジャストボルトによる調整が必要となります。
ハイアジャストボルトを時計回りに回して締めると、リアディレーラーは内側(ロー側)に向かって動きます。
逆に反時計回りに回して緩めると、リアディレーラーは外側(トップ側)に向かって動きます。
手順③:変速レバーからリアディレーラーまでワイヤーを張る
変速レバーを一番重い段に入れた上でワイヤーを通します。フレームのワイヤー受けに沿ってワイヤーを引っ張っていくと、リアディレーラーにたどり着くはずです。
リアディレーラーのワイヤー固定ボルトに、ワイヤーを固定してください。なお、ワイヤー固定ボルトの上下どちらを通してワイヤーを固定する必要があるかについて、リアディレーラー毎決まっています。
下を通すべき所を上を通してしまったりすると、どうやっても変速が上手く決まりません。
どのようにワイヤーを通すべきかはシマノのマニュアル(「変速機の型番 マニュアル」、で検索すると出てくるはずです)に記載されているので、そちらをご確認ください。
また、初めての方が作業すると大概、ワイヤーのテンション(張り)が低すぎてロー側に変速しない事態に陥ります。意識的にしっかりワイヤーを張るようにすると良いです。
手順④:リアディレーラーのローアジャストボルトの調整
一番軽い段に変速し、車体後方からカセットスプロケットの一番内側の歯とリアディレーラーが真っ直ぐになっているか確認します。
△ローアジャストボルト
考え方はハイアジャストボルトと同じで、真っ直ぐであればOKです。内側外側のいずれかによっている場合は、ローアジャストボルトで調整します。
ただ、外側(トップ側)によっている場合は単にワイヤーの張りが不足している場合もあるため、注意してください。
ローアジャストボルトは、時計回りに回して締め込むとリアディレーラーが外側(トップ側)に、反時計回りに回して緩めるとリアディレーラーはロー側(内側)に移動します。
手順⑤:Bテンションアジャストボルトの調整
次いで、Bテンションアジャストボルトを調整します。
Bテンションアジャストボルトは、リアディレーラーのプーリーと、カセットスプロケットの歯の間の距離を調整するものです。
トップギア、ローギアでチェーンを逆回転させた時、チェーン詰まりが起こる場合はBテンションアジャストボルトを反時計回りに回して緩め、プーリーとカセットスプロケットの距離を離してください。
なお、チェーン詰まりしない範囲で可能な限り近づける程、変速のレスポンスは良くなります。
△Bテンションアジャストボルト
手順⑥:ワイヤーアジャストボルトの調整
最後にワイヤーアジャストボルトで調整します。
トップから1段軽く=2速に変速し、さらに軽くする方向にレバーを少しだけ倒します。3速に変速しないギリギリまで倒すようなイメージです。
ワイヤーの張りが適切な場合、変速機が少しだけ動き、3速の歯と干渉してチャッチャッと音鳴りします。
音鳴りしない場合はワイヤーのテンションが低いため、ワイヤーアジャストボルトを反時計回りに回してテンションを上げます。
逆に、レバーは3速まで操作していないのにリアディレーラーが3速に動いてしまう場合はワイヤーのテンションが高すぎます。
この場合は、ワイヤーアジャストボルトを時計回りに回し、ワイヤーのテンションを下げます。
△ワイヤーアジャストボルト
ここまでで作業は完了です。最後に全ての段について綺麗に変速するか試してみてください。メンテナンススタンドでは問題なくとも実走行すると上手く変速しないことも多々あるため、実走行での確認もお忘れなく。