ママチャリで100km。「ちょっとそこまで」を主な用途として設計されているママチャリでは、途方も無いような距離に感じられるかと思います。
しかし、準備を怠りなくして、ポイントを抑えて走れば特段トレーニング等を積んでいない方でも、決して不可能な距離ではありません。
この記事では、ママチャリで100km走るためのポイントについて解説します。
目次
ママチャリで100km走る①服装
ママチャリで長距離を走るとき、どんな服装が望ましいでしょうか。
本格的なロードバイク等であればサイクルウェアが一番快適ですが、ママチャリにサイクルウェアはちょっと合わないなと感じる方が大半ではないかと思います。
価格も高く、趣味として自転車を嗜んでいない方が手を出すのには抵抗がある価格だと思われます。
見た目と実用を兼ねていくと、望ましいのはスポーツウェアになるかと思います。
選ぶべきポイントは「ばたつかない服を選ぶこと」と「速乾性の服を選ぶこと」です。
ばたつかない服を選ぶのは、空気抵抗を考えるとそれが望ましいからです。
ママチャリといえど、時速15〜20kmは出るはずです。陸上競技の長距離ランナーと同等程度の速度です。このくらいの速度になると、空気抵抗もそれなりに大きくなってきます。フラストレーションなく走るには、ばたつかない服を選ぶのがベストです。
速乾性の服を選ぶとよいのは、汗への対策の観点からです。
自転車は風を感じられる乗り物ではありますが、その実かなり汗をかく乗り物です。
着替えを積んでもよいのですが、服の一枚でも何百gかの重さがあります。ただでさえ重さがあるママチャリで長い距離を走る以上は、少しでも軽くしたいところであり、着替える必要性が低い服を選びたいところです。
靴は、運動靴であればよいでしょう。できれば、軽いものを選ぶと良いです。100kmも走れば何万回とペダルを回すことになるため、靴が多少軽いだけでも疲労が違ってくるはずです。
また、グローブはあるとよいです。考えたくないことですが、落車したとき、グローブがあると手へのダメージが違ってきます。とはいえ専用グローブは持っていないかと思いますので、軍手などで代用するのが現実的でしょうか。
軍手では清潔感がちょっと気になる方もおられるかと思いますが、そんな方には100均で売っているドライブ用の真っ白なグローブがおすすめです。
指が細く見えて、清潔感があります(ただ、自転車で使うとあっというまに黒ずんでいきますが…)。筆者もママチャリでサイクリングしていた頃はよく使っていました。
ヘルメットはあれば着けたほうがいいですし、服装とのマッチの問題はありますが、アイウェア(所謂サングラス)もあれば着用したほうがいいです。虫が突っ込んでくる等、目に被害を及ぼしかねないシチュエーションは、自転車に乗っているとそれなりにあるものです。
ママチャリで100km走る②荷物
続いて、服装以外の荷物についてです。
荷物のチョイスとして、大事なのは「極力余計なものを持たない」ことです。ひとつひとつの重さはそれほどではなくとも、ものが多くなるとそれなりの重量になります。
ただでさえ車体が重いママチャリなのでなおさら、余計なものは持たないようにしたいところです。
また、「身体には何も身に着けない」ことも心がけるとよいです。リュックなどを背負うと可動域が狭まり、身体が凝ります。荷物は車体に持たせることです。ママチャリの場合はかごがあるので、軽いバッグを用意して荷物を詰めて、かごに入れるのが望ましいでしょう。
まず持っていくべきは、財布とスマホです。
最悪公共交通機関やタクシーで帰ることになることを想定して金額を用意しましょう。また、自販機などはキャッシュレスに対応していないことが多いので、1000円以下の現金を持つのがポイントです。また、遠出をするならキャッシュカードは持っておきましょう。
また、最低限、運転免許証等の顔写真付き身分証と保険証は持ったほうがよいでしょう。
スマートフォンも必須だと思われます。どうしようもなくなったとき、SOSさえ出来ないと本当にどうしようもなくなりかねません。
充電容量に不安がある場合は、モバイルバッテリーも携帯するとよいでしょう。また、予報を見て少しでも雨が降る可能性がある場合は、防水ジッパーなどを用意しておくとスマホが水没する可能性を予防できます。
着替えは持たないのがベストです。泊まり等を考えているのであれば本当に最低限の服装を。服は意外と重さがあって、上下を積むだけでもかなり重くなります。
服については、現地調達を考えるのもひとつの手です。
あとは、手持ちがあればパンク修理機材は最低限積んだほうが安心です。ホームセンターの自転車用品コーナーで売っているような携帯ポンプと、100均でも売っているパンク修理キットがあれば、大概のパンクならとりあえず修理はできます。
ママチャリの場合はタイヤも柔らかく外しやすいため、修理はそんなに難しい技量を要するわけではなく、(勿論事前に練習する等しておくのがベストですが)パンクしてから動画などを見ながらの作業でも修理はできるものと思います。
最低限必要な装備はこのくらいで、あとは必要に応じてカメラを積んだり…というところでしょうか。前かごもあまり入れすぎるとハンドリングが悪くなって走りにくくなるため、入るからと言ってあまり色々持っていこうとしないことが大事です。
ママチャリで100km走る③車体の準備
ママチャリの場合、整備不良となっている場合が多い箇所は「タイヤ」と「チェーン」です。
タイヤは、空気がしっかり入っているかを確認します。メーター付き空気入れがあれば、タイヤの側面に指定の空気圧が書いてあるかと思います(大概は3気圧)ので、そこまで入れましょう。
なければフィーリングですが、指で摘んでわずかに凹むくらいまで入れると良いかと思います。
空気圧が低いと段差等を踏んだときにリム打ちと呼ばれるパンクを起こします。高すぎるとそれはそれでバーストしたりしますが、圧倒的に多いのは空気不足によるリム打ちです。
チェーンは、オイルを挿しましょう。ポイントは、めんどうでも一コマずつ挿して、垂れるほどの余分なオイルは拭き取ることです。だーっと挿してそのままにすると、服の裾がオイルの汚れで真っ黒になります。
ブレーキも、併せて確認しておくと安心です。ブレーキレバーを完全に握り切れてしまわないか、あとは、当然ながら握ったときにしっかり効くかを確認しましょう。
トラブルが出ることはそれほど多くないですが、ハンドルがしっかり固定されているか等も一応確認しておくとよいかと思います。
また、ライトは点くでしょうか。つかない場合、別のライトを用意する必要があります。
上記は最低限確認しておくとよいものと思います。
また、サドルの高さは見直しておくと良いです。
ペダルをかかとで踏んで、膝が多少曲がるくらいの高さにすると、楽に走れます
(この高さにすると、両足のつま先がぎりぎり地面に接するくらいになるはずです)。
低すぎるととても疲れますし、膝を痛めます。脚も太くなります。適切な高さにセットするのが一番です。
ママチャリで100km走る④前日、当日朝の食事
食事は、炭水化物をしっかり摂りましょう。
体質によると思いますが、自分の場合は白米が一番です。量を食べてもお腹を壊しにくいです。
ダイエットに励んでいる方などは炭水化物を多く摂取するのに抵抗があるかもしれませんが、自転車で100km走れば(体重と運動強度にもよりますが)1000kcal以上は消費できるはずです。
多少食べても問題なく元を取れますし、途中で身体のエネルギーを使い果たすとそれこそ地獄編になるので、しっかり食べましょう。
ママチャリで100km走る⑤コースを考える
ロードバイクであればヒルクライムという、登りのみを好んで走るような分野もあります。しかし、ママチャリでサイクリングを楽しみたいという場合、辛いことを好むような方でなければ意識的に平坦を中心にルートを引いたほうがいいです。
また、都市部は避けるほうが快適に走行できます。通勤ラッシュと帰宅ラッシュの時間の都市部は、特に避けたほうが快適です。
道の路肩の幅もグーグルマップなどで見ておいて、幅が広い道を選ぶとストレスフリーです。
特段目的地があるわけではなく、ただ単にサイクリングをしたいという場合、コースを円状に引くのもおすすめです。
直線的に行って帰ってだと帰りが同じ景色で新鮮味がないのと、あとは円状に引いたコースであれば一番遠い場所でも出発地からの直線距離がそれほどでもないため、リタイアする場合でも帰ってきやすいことが挙げられます。
ただ、ここまで書いておいてなんですが、あまりコースを綿密に考えすぎないのも大事なのかなと思います。あまり予習しすぎると実際の走行がただの答え合わせになって、新鮮味が薄れます。トラブルなどがあっても、それを含めて旅と思うことが大事です。
出発は特段の事情がなければ早朝がよいかと思います。例えば朝6時に出発する場合、1時間10kmで2時間休憩を入れても、夜6時には帰ってこれます。
ただ、後方灯含めライト類が充実しているのが前提ですが、夜に走るナイトライドもまた楽しいものがあります。冬は寒すぎますが、夏の夜はとても快適です。
夜間であれば都市部も交通はまばらで、人ひとりもいない都市部等は非日常感に溢れており、楽しめるかと思います。
ママチャリで100km走る⑥実際の走行
実際の走行では、何より「頑張らないこと」が大事です。しゃむに立ちこぎしたりしないで、変速付きの自転車であれば脚に力をかけなくてもすっとペダルが回る段を選択してペダルをしゃかしゃかと回して走る、そんなイメージです。
また、お腹が空いてきたと感じる頃にはかなりエネルギーが枯渇しているので、少しでもお腹の空きを感じたらすぐコンビニ等に入り、炭水化物を補給しましょう。無理してそのまま走ると、ぱたっと脚が止まる瞬間がきます。
併せて水分も、喉の乾きを感じない季節であっても確実に消費しているので、適宜摂取しましょう。
距離を測るのには、専用のサイクルコンピュータがあればよいですが、ない場合が大半だと思われます。
その場合は、スマートフォンで「ストラバ」等をダウンロードして使うとよいかと思います。GPSで走行距離等をまとめてくれるので、走った成果が目に見えて達成感を得られると思います。
ただし充電の減りが多少なりとも早くなるので、その点はご注意を。
あとは、当然ですが轢かないように、轢かれないように。無事に帰るのが第一です。
いかがでしたでしょうか。サイクリングは自転車さえあれば誰でも手軽にできる、良い非日常体験だと思います。
学生の皆様には夏休み、社会人の皆様も(筆者はとれなそうですが)お盆休みが間近です。
なにか普段と違うことにチャレンジしたいような方がおられましたらぜひ、サイクリングをお考えいただければと思います。
※画像の一部は「いらすとや」様よりお借りしております。