目次
はじめに・東京ヒルクライムHINODEステージとは
東京ヒルクライムHINODEステージは、東京都西部の日の出町を舞台にしたヒルクライムレースです。
距離は8km程度、トップ層は20分程度の走行時間で走りきってしまう大変短いレースですが、序盤5.6kmの岩井橋~つるつる温泉までで160m程度しか登らないのに対し、つるつる温泉からは約2.4kmで280mを一気に登ります。
強烈な激坂が特徴の、走行時間の短さに反して楽しめるレースといえます。
ホスピタリティ溢れるのも特徴で、いい意味で小規模な大会の為、アットホームな雰囲気で和やかに楽しめるところもこのレースのいい所です。
HINODEステージは春と秋の例年2回開催ですが、筆者は毎年秋のみ、2022年から今回で3回目の参加です。
筆者のレース前(奥多摩旅行)
奥多摩周遊道路
今年は昨年までと異なり妻が同伴で、妻も筆者も前の週の金曜日に休みを取れたため、レース前に奥多摩を旅行することにしました。
仙台から輪行することはるばる5時間、奥多摩駅に到着。天気は今にも雨が降りそうな曇りでしたが、411号線を奥多摩湖に向けて走り出しました。
(コテージ風の奥多摩駅。降り立ったのは筆者も妻もはじめてでした。)
(奥多摩駅の時点でそれなりに標高があるため、この時期だと寒さを感じるくらいです。)
筆者は東京在住の頃に何度も走ったことがある道でしたが、来たのは5年以上前で、新鮮な気分で走れました。
トンネルが多く道も狭いため気を遣うのは相変わらずで、お世辞にも走りやすい道ではないですが、平日ゆえ交通量は少なく、それほどストレスなく抜けることが出来ました。
奥多摩湖を過ぎて、奥多摩周遊道路へ。妻とは奥多摩周遊道路の入口で一旦分離して、各々登ることにしました。
ひとりOKUTAMAステージということで、入りは330wくらいで走り出しましたが、路面がウェットでコーナーに気を遣う状況である上、上の方に登ってくると視界がゼロに近く、後半はかなりスローダウンして走っていました。結局36分ちょっと、290wくらいで風張峠まで走りきりました。
(風張峠はゼロ視界。天気さえ良ければ絶景なことを知っているだけに、少々残念…)
予定では妻と合流した後風張林道まで顔出しすることにしていたのですが、あまりの霧で景観は望めなそうだった上、予想以上に寒くて身体も冷えそうだったため、一旦降って月夜見第一駐車場で登ってきた妻と合流し、引き返すことにしました。
10月でも身体が濡れてしまうと一気に冷えてしまうもので、後半は手の感覚が無くなってしまうくらい冷えました。
偶々奥多摩駅近くの宿をゴールにしていたから今回は良かったですが、これが下山してから何十kmか走らなければならないような所だったら風邪間違いなしで、気をつけたいなと改めて感じました。
(奥多摩湖。奥多摩湖は人造湖で、かつては現在湖があった場所に村があったそうです。)
三河屋旅館
宿は、奥多摩駅近くの「三河屋旅館」。200年続く旅館とのことです。かつては現天皇陛下も皇太子時代に御来館されたことがあったとのことで、写真が飾られていました。
綺麗ではあるものの年季を感じる宿でしたが、それが却っていい雰囲気でした。温泉に浸かり冷えきった身体を温め、マッサージチェアを使わせていただいて身体をほぐしました。
支配人さんがとても細やかに心遣いしてくださる方で、リラックスして過ごすことができました。
(温泉の入口なども風情があり、良かったです)
夕食は外食。奥多摩駅近くの「奥多摩の台所」さんでお弁当を購入しました。
(奥多摩駅付近の橋より、多摩川を望む)
筆者は山女魚のお弁当、妻はわさびのり弁当を選びました。さらに、鶏肉の塩麹焼きを併せて購入。訪れた時間が遅かったためか、半額で販売していただきました。
味がとても美味しいのは勿論、ボリュームも外装のコンパクトさに比して多く、お腹いっぱいになれました。
あたたかい布団で就寝し、翌日は朝風呂を浴びたあと、宿の朝食をいただきました。ご飯、納豆、お豆腐、温泉卵等、様々な料理を楽しませていただきました。
美味しかったのは勿論、旅館にありがちな食べきれないほどの量ではなく、しっかりお腹いっぱいになったあたりで完食できるちょうどいい量で、そのような点もいいなと感じました。
日原街道&三ノ木戸山
土曜日は、宿を出て、日原街道を進んでみることに。
奥多摩の奥の奥ともいえる日原街道は、かつて日野市に住んでいた筆者も初めての来訪でした。
東京とは思えないような山奥の幽玄な雰囲気漂う街道を、妻とふたりで楽しく走りました。
川乗林道を来訪するのが目的のひとつだったのですが、通行止めだったためそのまま直進。日原トンネルまで至りましたが、日原トンネル内の貧弱な照明を明るく照らせる程のライトを持ち合わせておらず、撤退することにしました。
奥多摩駅付近まで戻って、まだ時間がありましたが、近隣の林道は多くが通行規制中のようで行き場を探すことに。近隣の三ノ木戸山は通行できるようだったため、行ってみることにしました。
三ノ木戸山は、4km程度で標高400mを駆け上がる激坂です。特に序盤がなかなかの急勾配で、登りがいがあります。
中盤~後半は林道らしい林道になり、所々下車しないとパスするのが難しいような陥没もありました。あまり快適な林道ではなく、次の日にレースを控えているのもあったので、パンクさせないことを優先して無理せず走りました。
登りきると、景色が多少ひらけます。山々が織りなす風景は、東北でいえば山形の山寺を想起するような…幽玄という言葉が似合うものでした。
(登りきったところから)
下山し、身体が冷えたことから温かいものを飲みたいなと考えていたところ、奥多摩の駅前に「わさび食堂」のキッチンカーが出ておりました。「わさびコーヒー」と、わさび稲荷を注文。
わさび稲荷はジューシーな稲荷にしっかり美味しいわさびの味がして、とても美味しかったです。
わさびコーヒーも、断じてキワモノなどではなく、しっかりわさびの風味を活かしつつ、コーヒーの風味も潰していない、両者が調和したとても美味しいコーヒーでした。わさび好きな方はもちろん、わさびのツンとした感じは少ないので、わさびがそれほど得意ではない方でも楽しめると思われます。
そのまま、お昼は近くの「奥多摩フードコート」へ。店内にサイクルラックがある、サイクリストにも安心な施設でした。
わさび中華そばを注文。濃厚なわさびの風味が楽しめる、満足な1杯でした。
お昼を食べた後、奥多摩を後にして輪行で昭島へ移動し、昨年、一昨年同様昭島の東横インへチェックイン。お夕飯を近くのお弁当屋さんで調達し、レース当日に備えました。
筆者のレース前(調整等)
先月末にコロナに罹患してから徐々に身体は戻りつつありました。レース前週にはズイフトでアルプを走って40分04秒のベストを記録。
ただ、どうしても寒くなると身体がエネルギーを欲しているのか、消費よりも食べがちな日々で、練習後でも60kgを切るようなことは無くなりました。1kg程度太った次第です。
これは毎年で、正直どうしようもないのかなと思います。筆者の186cmという身長だと、恐らく無理なく維持できる下限が63kgあたりのようで、これを切る体重では長い期間は持ったことがありません。
かつて無理に60kg切りの体重を12月下旬まで維持した時は、反動で過食症のような状態になった苦い経験があるため、欲求にはそれなりに素直であろうと考えています。
練習量も夏場に比べれば多少減っているのが現実ではあり、特に体重が増えるとダンシングは鈍重になった印象で、八幡平の頃ほどには走れない感じがありました。
調整らしい調整は、上記の旅行記が示しているとおり特にしていません。日の出の8km程度であれば極度に疲労していなければ大丈夫だろうと考えて、奥多摩をしっかり楽しみました。
筆者のレース
レース開始まで
当日は、アップを兼ねて昭島から会場まで自走。
会場に着いて、ふと後ろを見ると、ものすごく見覚えのあるお顔が。この方見たことあるな…Kさんだよな…でもまさかな…と思っていると、何と。
誰だったかについては、出走された方にはわかると思いますが、ここでは触れません(笑)間近に目にする機会を得て、お話もさせていただいて、思いがけない素晴らしい体験ができました。
両腕を左右で逆に回す運動で皆がこんがらがる恒例の準備体操を行って、各々スタート地点へ。昨年、一昨年ほどではありませんでしたが半袖膝丈のウェアだと寒いのは事実です。冷えないよう、あまり速度を出さずに向かいました。
スタート地点では、Kさん、昨年優勝のTさんはじめ、皆様と談笑して過ごしました。
(会場)
レース
日の出ステージは、前述のとおりスタートから5kmは平地のような、ロードレース的な区間です。最序盤はクリートキャッチをミスしたまま多少下がってしまったので、そのまま集団内で過ごしました。流石に少し後ろすぎるなと思ったため、途中に入る少し登るところで、集団の速度が一瞬落ちたのを利用してスーッと前の方に出ました。
一昨年は年代別で2位、昨年も総合で5位を取らせていただいたレースであり、精々20分程度のレースでもあるので、守りの走りをしても面白くないという考えから、今日は積極的に走ってみよう、と思っていました。
平地区間の後半、かっとんでいくTさんを見て、自分も追走を…試みてみました。
しかし完全に自分の力不足で、Tさんには全くもってブリッジできる気がせず、しかも誰一人自分の飛び出しには乗ってくれず、Tさん〜数秒離れて自分〜さらに数秒離れて集団、というなんとも言い難い状態に。
肝要の里のあたりまで来て、Tさんにどうやっても追いつけないなと思った時点で、一旦集団に戻るという判断をしました。
しかしだいぶ脚を使ってしまっていたようで、肝要の里を過ぎてからの登りでは大集団に少々遅れを取りかけました。
そこからは、何とか集団の前に出て、20代の年代別で1位になった方、総合4位、5位だった方などと一緒に走っていました。
山の入口でバーっと抜かれすぎたせいで自分が現在何位なのかわからず、2組目にも速い方がおられるようだったので、総合で入れることは無いなと思いながら走っていました。
脚が完全に終わっており、F36-R34のインナーローでさえ回せなくなる瞬間も。このギア比に変えてからインナーローを回せなかったのは、初めてだったような気がします。
残り1kmを切るくらいまでは自分が少し先行していましたが、そこら辺で脚が限界を迎え、総合4位だった方、最後の最後に5位だった方にも抜かれる始末。ぼろぼろになりながらフィニッシュしました。
(ゴール地点)
レース後
レース後は、Tさんはじめレースを終えたみなさんと談笑しながら時間を過ごしました。妻とも無事合流し、コケが例年よりよく育った林道をおっかなびっくり下山。
下山した後は、助六寿司と文明堂のカステラ、Tシャツ、そして歌舞伎揚といった、参加賞をいただきました。今年は赤いきつね味と緑のたぬき味の歌舞伎揚の2つで、妻と合わせて沢山いただきました。年々参加賞が拡充されているような気がします。
助六寿司と歌舞伎揚げのうち1袋をその場で食べましたが、乾ききった身体に染み渡る、とても美味しいものでした。
リザルトが貼り出されると、まさかの総合6位。正直もっとぼろぼろだと思っていたので、びっくりでした。
(表彰!)
表彰は、この大会では3度目、今年は(式がなくなってしまったあぶくま洞を含めないと)2度目です。毎回ながら、表彰していただけると、頑張ってきてよかったなと思えます。
表彰商品は、歌舞伎揚詰め合わせとミシュランのタイヤ。妻も女性カテゴリで入賞したため、大量の歌舞伎揚をいただきました。
さいごに
今年も和やかな雰囲気で、それでいて強い方々が多く集まるため白熱したレースを楽しめた、とても楽しい大会でした。歌舞伎揚も沢山いただけて(全部食べたらパワーウエイトレシオが爆下がりしそうですが)とても満足です。
この大会は、勾配こそ強烈なものがありますが距離が短く、参加人数も少なくて参加者が置き去りにされないため、初心者の方から楽しめる大会だなとも思います。実際、今日が初参加とアナウンスされた中学生の方もおられました。
これほど還元の多い大会でこの規模だと、持続的に続けられるのかなと勝手に心配になったりもするのですが、好きな大会のひとつなので、ずっと続いて欲しいなと思うところです。東北からはそれなりに遠いですが、都合さえつけばまた参加したいなと思います。
最後に、一緒に走ってくださった皆様、運営の皆様、ありがとうございました。