まえがき
この記事は2022年頃に本文を記載して長らく下書きに温めていたものですが、その後、筆者はチューブレスタイヤの使用を止めました。理由としては、割と早い段階で空気抜けしはじめることが多く、そんな場合でもタイヤ自体はさして減っていないのでチューブを入れて使用していましたが、それならクリンチャーでいいじゃないか、となってしまったためです。
自身が使用していない以上あまりチューブレスを他の方におすすめはできないのですが、本記事は手順の参考として、公開します(公開:2025.4)。
目次
チューブレスタイヤの取り付け①ロードバイクのチューブレスタイヤについて
チューブレスタイヤの取り付け①ロードバイクのチューブレスタイヤについて
このブログは初心者の方にご覧いただくことも想定しておりますので、まずはじめに、ロードバイクのチューブレスタイヤについて簡単に解説します。
ロードバイク(ないし、スポーツバイク全般)のタイヤには、大きく「クリンチャー」「チューブラー」「チューブレス」の3種類があります。
一般に完成車を購入して、ついてくるタイヤの殆どは「クリンチャー」です。クリンチャータイヤは、タイヤの中にチューブを入れ、チューブに空気を充填することでタイヤをふくらませるものです。
一般に重量ではチューブラーに、転がり抵抗ではチューブラー及びチューブレスに一歩譲りますが、整備性の良さから幅広い支持を受けています。
「チューブラー」は主にハイアマチュアやプロに愛用されているもので、タイヤにチューブが縫い付けられているものです。転がり抵抗の少なさや、システムの軽量さが強みです。
そして、「チューブレス」は、タイヤのみで空気を保持する形式のタイヤです。自動車と同じ、といえば親近感が湧くでしょうか。
ロードバイクのチューブレスタイヤはここ数年で急速に市民権を得てきた存在で、近年はトッププロが使う姿も見られるようになりつつあります。
チューブレスタイヤの取り付け②必要なもの
さて、ここからは作業手順を解説してゆきますが、先ずは必要なものを列記します。
※自転車本体及びチューブレス(TL)対応ホイールは当然に存在するものとして、それ以外を記載してゆきます。
必要なもの1:チューブレスタイヤ
先ずチューブレスタイヤが必要となります。
なお、筆者が長く愛用しているのは「IRC FORMULA PRO RBCC」(25c)です。IRCは和名で言えば井上ゴムで、安心安全の日本メーカーです。
最近はチューブレスタイヤも様々な銘柄が出てきており、選択肢には事欠かなくなりつつあります。
選択する際は、「チューブレスレディ」なのか「チューブレス」なのかに注意しましょう。
前者の場合はシーラントと呼ばれるパンク防止及び気密確保のための液体を注入することが必須となります。一方で、後者の場合は必ずしも必要としないという違いがあります。
また、近年ではフックレスリムというリムを採用したホイールが出てきています。このようなホイールについては対応するタイヤを選ぶ場合があるため、注意してください。
必要なもの2:(チューブレス用)タイヤレバー
先ず以前にクリンチャータイヤが装着されている場合、それを外すためのタイヤレバーが必要となります。
また、チューブレスタイヤについては、チューブレスタイヤ専用のタイヤレバーを使う必要があります。
基本的に取り付ける際にはできる限り使わないのが望ましいですが、そうは言ってもどうしてもハマらない場合は、使わざるを得ません。
また、いずれ外す機会は必ずやってくるはずなので、未だお持ちでない方は1セット用意するとよろしいかと思います。
なお、筆者愛用はIRCのチューブレス専用タイヤレバーです。タイヤを傷つけず着脱可能で、非常に作業性が高いです。
必要なもの3:チューブレスリムテープ、チューブレスバルブ
ホイールによりますが、専用リムテープの使用を指定されている場合は、それを用意する必要があります。
また、チューブレス対応ホイールなら大概は付してくるのではないかと思いますが、お持ちでない場合はチューブレス用のバルブを用意する必要があります。
必要なもの4:シーラント
上記のとおりレディがつかない純粋なチューブレスタイヤであれば、必須ではありません。
筆者愛用のIRC FORMULA PRO RBCCはピュアチューブレスでシーラント不要のため、導入1年ほどはシーラント未使用で使用していました。
スローパンクが比較的早い段階で訪れることが相次いだため現在はシーラントを注入して使用していますが、上記の通り運用自体はシーラント不要でも可能です。
レディがつくチューブレスタイヤの場合は、シーラントが必須です。
なお、どのタイヤがシーラント不要のピュアチューブレスで、どのタイヤが必要なレディなのかは、タイヤのパッケージ等をよく見て確認してください。
例えば、同じIRC FORMULA PROでも、軽量版のS-Lightはシーラント必須のレディであるなど、近い名前のタイヤでも別れているような場合があります。
必要なもの5:チューブレスタイヤ用ポンプ&通常のフロアポンプ
チューブレスタイヤで一番の関門となるのが「ビード上げ」です。
チューブという密閉された物体に空気を充填するチューブドタイヤと異なり、チューブレスタイヤは密閉されていないタイヤを膨らませます。
タイヤは膨らんでいくとビードがリムに引っかかることで密閉空間を形成するようになっていますが、空気が抜けていく速さが速いといつまでたってもタイヤが膨らみません。
このため、空気が抜ける速さより速く空気を充填するための専用ポンプがあると、非常に作業効率が高まります。実質的にこれがなくては膨らませるのが至難のわざと言っていいタイヤもありますので、チューブレスタイヤを導入するのであれば、併せて購入するのが吉です。
なお、チューブレス用タイヤポンプの形式によっては、通常のフロアポンプを併用する必要がある場合もあります。そのようなチューブレス用タイヤポンプを使う場合は、併せて通常のフロアポンプを用意してください。
チューブレスタイヤの取り付け③作業1:古いタイヤを外す
ホイールに古いタイヤがついている場合は、先ずタイヤを外す必要があります。
先ず完全に空気を抜きます。
その上で、タイヤをめくり上げるようにして、チューブレスの場合はチューブレス用のタイヤレバーを、クリンチャーの場合はクリンチャー用のタイヤレバーをタイヤのビードに差し込みます。
1本差し込んだら、少し離して2本目を差し込み、タイヤをホイールのリムから外してゆきます。
続けて、タイヤがリムに戻らないように注意しつつ、1本目を抜き取ります。そのうえで、未だタイヤが外れていない場所に改めて差し込み、めくり上げてタイヤを外します。
何度か繰り返すと、タイヤは手でリムから外せるようになるかと思います。
片側を外せたら、もう片側は簡単に手で外せるでしょう。
チューブレスタイヤの取り付け④作業2:新しいタイヤをはめる
続いては、新しいタイヤのはめ方です。
先ず、チューブレスタイヤ用バルブがセットされていない場合は、チューブレスタイヤ用バルブをホイールのバルブ穴にセットします。
セットの仕方は簡単で、バルブをホイールの内側から差し込んだ後、ナットを締めこんでバルブを固定するのみです。
また、専用リムテープが必要なホイールの場合は、チューブレスリムテープを張ってください。
下準備が出来たら、実際にタイヤをはめてゆきます。先ずはビードに石鹸水を塗り、滑りを良くしましょう。
そのうえで、バルブ部分が最後になるよう片側のビードをホイールに押し上げます。大概、片側は特段問題なく手で押し上げられるかと思います。
続けて、反対側をはめてゆきます。反対側もバルブ部分が最後になるよう、ホイールに押し上げてゆきます。
別段気遣いなくビードを押し上げていくと、バルブ付近ではビードがリムに上がりにくくなるかと思います。
この状態になったら、ビードをリムの中央に落としていきます。
具体的には、両手でタイヤを掴んで、奥にぐいっと押して、同じように手前に引っ張る作業を全周に渡って行います。
このようにしてビードをリムの中央に落としてゆくと、バルブ付近のビードも上がりやすくなるはずです。
手でビードを上げきるのがベストですが、難しい場合はチューブレスタイヤ専用のタイヤレバーを用いて、ビードを押し上げてください。
なお、シーラントを入れる場合、バルブから注入して良いタイプのものはタイヤを取り付けた後の注入で良いですが、バルブからの注入不可のものについてはタイヤを取り付けながらタイヤの脇から注入する必要がありますので、注意してください。
ビードを上げ終えてから、シーラントを入れていなかったことに気づくと悲しい思いをすることになります。
チューブレスタイヤの取り付け⑤空気を入れる
タイヤのセットを終えたら、空気を入れます。
最初に、タイヤに空気を一気に充填して、ビードを上げる必要があるのが他の形式のタイヤとの違いです。専用ポンプを使って一気に充填するのが早道です。
なお、どうしても入らない場合は、バルブ付近のタイヤの取り付けが甘い事が多いです。
バルブをまたぐようにタイヤがセットされていなければなりませんが、バルブの上にタイヤが来ていてタイヤが片側によっているような状態だと、流石に専用ポンプを使っても入りません。
また、使い古しのタイヤを再度ビード上げするのは、新品で作業するよりかなり難しいです。
あまりタイヤを中古購入するようなことはないかと思いますが、既にある程度使用して緩んでいるようなタイヤを再利用する場合は、最悪自転車屋さんに依頼するつもりで作業に臨んたほうがよろしいかと思います。
ビードを上げることにさえ成功してしまえば以降の空気の入れ方は他の形式のタイヤと変わりません。
ただ、最初はタイヤをホイールにしっかりセットするため、1日位、最大空気圧まで入れて保管しておくとよいです。
チューブレスタイヤの取り付け⑥さいごに
いかがでしたでしょうか。
昔のチューブレスタイヤは取り付けに大変難儀することも多かったと伺いますし、現在でもタイヤとホイールの組み合わせにはよる部分があるかとは思いますが、少なくとも筆者が使用している限りでは慣れてしまえばクリンチャーよりも作業が楽なくらいです。
作業そのものはコツさえ掴めば別段難しいものではないので、カンパ系の2WAY-FITなど、チューブレス対応リムのホイールをお持ちの方は是非チャレンジしていただければと思います。