目次
キャットアイ・ベロ9①はじめに
キャットアイ(CATEYE)は、今回紹介するサイクルコンピュータや、ライトなどを製造している自転車用品メーカーです。
サイクリストにとっては、言わずとしれた…という表現が適切なくらいの認知度を誇るメーカーと言ってよいでしょう。
初心者の方がロードバイクやクロスバイクを購入した際、サイクルコンピュータとライトを揃えようとすると、多くの場合は意識無意識にキャットアイ製品を購入しているものと思います。
初心者向けの製品ばかりではなく、ライト等は大光量のモデルも多く製造しており、ブルベライダーのようなハードなユースをするユーザーからも支持を得ています。
比較的安価で、高性能な製品を幅広く製造しているメーカーであり、初心者の方からベテランサイクリストまで、幅広い層に愛されているメーカーであるといえます。
今回紹介するのは、そんなキャットアイのサイクルコンピュータ(サイコン)のうち、エントリーモデルとなる「ベロ9」です。
キャットアイ・ベロ9②絶滅危惧種の有線サイコン
サイクルコンピュータは、簡潔に言えば「多機能速度計」です。
その根幹である「速度の計測機能」について、計測方法は主として「GPS」と「車輪の回転数を利用した計測」の2つがあります。
前者による計測モデルは近年増加の一途であり、かなり安価で入手できるようになってきました。GPS計測であればそもそも、速度の計測において線は必要ありません。
後者による計測モデルは、フロントフォークに計測装置を、車輪のスポークに磁石を設置した上で、磁石が計測装置の前を通る速さを利用して走行速度を算出しています。
(計測部位※取説上右に付けることとされていますが、左でも別段問題なく計測可能)
(スポークに付けた磁石の通過回数で速度を計測します)
古くからある計測方法であり、フロントフォークの計測装置からコンピュータまでの間の情報伝達に以前は有線を用いていましたが、今では無線で情報伝達するモデルがほとんどです。
しかし、今回紹介するベロ9は、有線で情報伝達するモデルとなります。
今の市場で、有線式のサイコンはこのベロ9以外、少なくとも私は知りません。通販サイトで怪しげな製品を漁ればあるかとは思いますが、大手メーカーが出しているサイコンで有線のモデルは、もうすでにこのベロ9のみと思われます。
古いレースシーンやかつてのプロ選手の自転車をみると、有線のサイコンが使用されていることが多々ありますが、その雰囲気を再現するためには最早このベロ9を使用する以外の選択肢がほぼ無いのではないでしょうか。
ベロ9はそんな、絶滅危惧種ともいえるサイコンで、エントリーモデルではありながらそれだけで価値がある製品だと思っています。
キャットアイ・ベロ9③必要十分な多機能
お値段2000円程度の、今どきのGPSサイコンの何分の1、何十分の1のお値段ですが、速度、時計機能、平均速度、最高速度、走行時間、(あまり参考にはならなそうな)消費カロリー、CO2削減量という、様々な計測が可能です。
ケイデンス、心拍、パワーの測定はできず、バックライトもありません。また、今どきの画面を8分割できるようなサイコンと異なり、1画面に表示できるのは速度+1項目です。
しかし、シリアスにパワートレーニングをしているような人ならばともかく、そうでない大半の方々にとって、かつての自分の経験を鑑みても機能に不足は感じないのではないでしょうか。操作系もボタン1つの大変潔いもので、今どきのサイコンのようにいくつもボタンがあったり設定画面が複雑だったりしません。
今どきの全部のせサイコンは様々な計測が可能ですが、果たしてそれらすべてを使いこなしている人がどれだけ居るかと感じることもあるところです。
ミニマムな機能で直感的に操作でき、(消費カロリーとCO2削減量以外は)無駄のないベロ9は見た目こそ少々分厚く野暮ったいかもしれませんが、かえってスタイリッシュに感じられたりします。
キャットアイ・ベロ9④高い耐久性
機構がシンプル故か、実感として耐久性は高いです。勿論筆者の一例なので、すぐに壊れてしまった、という方もおられるかとは思いますが、、、。
キャットアイ・ベロ9を2015年の6月に購入してから、キャットアイ・ベロワイヤレスを2台、ストラーダデジタルワイヤレスを1台購入しましたが、いずれも豪雨に降られたことを機に2〜3年で壊れてしまいました。
キャットアイ・ベロ9はといえば、後半5年ほどは家の外に野ざらしにしてあったママチャリに備え付けで、2019年の台風19号の際には計測部位(メーター除く)が冠水しましたが、それでも無事でした。
最終的に2021年、豪雨に降られた際に基盤が錆びてしまい、破損しましたが、それまで6年の間の酷使に耐えました。
防塵防水等級はいずれもIPX8ですが、機構が単純なせいなのか、ベロ9は大変堅牢です。
キャットアイ・ベロ9⑤まとめ
キャットアイ・ベロ9は絶滅危惧種の有線サイコンです。クラシックな雰囲気のバイクなどには、今どきの無線式の多機能なサイクルコンピュータよりも却ってマッチする場合があると思います。
安価だからと言って侮るなかれ、必要十分な機能を備えています。パワートレーニングをするようなシビアなレーサーの方にはともかく、はじめの1台としては申し分ない、自転車の楽しさを広げてくれるに充分な機能を持ち合わせていると言えると思います。
耐久性も充分で、有線ですが断線もそうそう起こらない印象です。外で雨ざらしの使用でも、筆者のベロ9は6年の使用に耐えました。
自転車屋さんのみならず、ホームセンター等でも売っていることがあるベースモデルですが、魅力ある商品であるのは確かです。興味を持たれた方がおられましたらぜひ、購入を検討していただければと思います。