目次
ロードバイクのスプロケットの交換①はじめに「スプロケット」とは?
ロードバイクのスプロケットの交換④作業(2)ロックリング回しを噛ませる
ロードバイクのスプロケットの交換⑤作業(3)スプロケットリムーバーをセットして、ロックリング回しを回す
ロードバイクのスプロケットの交換⑥作業(4)古いスプロケットを外して、新しいスプロケットを挿入する
ロードバイクのスプロケットの交換⑦作業(5)ロックリングを締める
ロードバイクのスプロケットの交換①はじめに「スプロケット」とは?
このブログは初心者の方が閲覧されることも想定しているので、まずは「スプロケット」の解説です。
「スプロケット」という言葉そのものについては、「軸の回転をチェーンに伝達する歯車(もしくは、その逆にチェーンの回転を軸に伝達する歯車)」という意味です。
ロードバイクの場合、クランク(ペダルのシャフト)部分と後輪に歯車があります。辞書的にはこの両者をスプロケットと呼ぶのが正しいでしょう。
ただ、ロードバイクの世界で一般に「スプロケット」と言うときは、多くはリア(後輪)の歯車を指して言うことが多いかと思います。
なお、フロント(前)側の歯車は、「チェーンリング」等と呼ぶ場合が多いように認識しています。
この記事では後輪側の歯車を「スプロケット」と呼んでいきます。
このスプロケットについては、現在シマノ、スラム、カンパニョーロのハイエンドモデルであれば12枚の歯車が備え付けられています。
大昔は5速や6速、25年程前でも8枚でしたが、そこから9枚、10枚、11枚と時を追うごとに枚数を増やしてきました。
歯車の枚数は、すなわち変速段数を表します。歯車の枚数が多いほど、変速段数が多くなることになります。
変速するとき、変速機によってチェーンをスプロケットの歯の間で架け替えします。
スプロケットの歯の枚数が少ないほど、ペダルの回転に対する後輪の回転する量が多くなります。
逆に、スプロケットの歯の枚数が多いほど、ペダルの回転に対する後輪の回転する量が少なくなります。
ペダルの回転に対する後輪の回転する量を変速によって変更することでペダルの重さを変えるのが、自転車の変速のギミックです。
スプロケットは同じ速数でも歯の構成の違いで複数種が用意されており、乗り手のニーズによって変更することが可能です。
例えば、30km/h以上のゾーンで細かい微調整を行えるスプロケットが欲しい場合は、歯数の小さい部分の隣り合う歯数の差が1のものを選べばそのようなニーズを満たせます。
また、山によく登る一方で平地をそれほど重視しないような場合であれば、歯数の小さい部分の繋がりがそれほど良くなくとも、より大きな歯数が用意されたスプロケットを選ぶことが多いでしょう。
この記事では、この「スプロケット」の交換の方法について解説します。
この記事でやり方を覚えてしまえば、自分の自転車のスプロケットを交換できるようになります。
より自分好みの乗り味に、自分の自転車を仕上げることができるようになるでしょう。
ロードバイクのスプロケットの交換②必要な工具など
さて、実作業です。
この記事では、SHIMANOのスプロケットを交換する場合について解説します。
SHIMANOからカンパニョーロなど、違うメーカーのスプロケットに変更する場合は、併せてフリーボディの変更も必要となりますので、留意ください。
必要な工具など①新しいスプロケット
まず、新しいスプロケットが必要です。スプロケットを選ぶ際は、以下のような事項に注意する必要があります。
新しいスプロケット選びの注意①同じ段数、メーカーのものを選ぶ
変速機等を併せて交換しない限り、スプロケットは同じ段数のものを選ぶ必要があります。
段数が違うとチェーンの幅も違うため、例えば8速の自転車に12速デュラエースのスプロケットを付けるようなことはできません。
また、シマノと他メーカーでは、一部を除いてスプロケットの規格が異なります。従前シマノのスプロケットを使っていた場合は、シマノのスプロケットを用意しましょう。
新しいスプロケット選びの注意②チェーンの長さに留意
歯数を変更する場合、最大歯数がより大きなものを使う場合はチェーンを長くする必要がある場合もあります。
シャドータイプになってから(=R9100世代以降)のRD(リアディレーラー)の場合、「リアディレーラーにチェーンを通さずにアウター×ローでチェーンをつなぐことが出来る長さ」で決めます。
旧来のRDの場合は、「リアディレーラーにチェーンを通した状態でアウター×トップにて、RDのプーリー(2つの歯車)の取り付けボルトが地面と垂直になる長さ」とします。
チェーンの長さが足らないと、アウター×ローに入れたとき、最悪の場合ペダルがロックします。大きな歯数のスプロケットに変更する場合は、チェーンの長さを見直ししてください。
チェーンが必要以上に長い分には問題ないこともありますが、あまり逸脱すると変速性能は悪化するなどの支障が出る場合もあります。
最大歯数が小さい方に大きく変わる場合も、チェーンの長さを見直ししてください。
新しいスプロケット選びの注意③リアディレーラーのキャパシティを逸脱しないか
スプロケットを変更するときは、リアディレイラーのキャパシティの範囲を逸脱しないかにも注意する必要が生じます。
リアディレーラーのキャパシティで注意すべきは、「対応トップギア」「対応ローギア」「トータルキャパシティ」の3点です。
「対応トップギア」は、スプロケットの歯数の小さい部分についてです。
例えば、対応トップギアが11〜12Tとされているリアディレーラーで、14-28Tなど、14Tからはじまるジュニアスプロケットを使うことは出来ません。
「対応ローギア」は、スプロケットの歯数の大きい部分についてです。
例えば、対応ローギアが28Tまでの9000系デュラエースのRDで、最大歯数が30Tとなる11-30Tのスプロケットを使うことはできません。
「トータルキャパシティ」は、「フロントギアの歯数差+スプロケットの最大最小の歯数差」で算出します。
例えば、フロント52/36T、リア11/28Tの自転車であれば、52-36=16、28-11=17、16+17=33、よってトータルキャパシティ33Tとなります。
トータルキャパシティが、リアディレーラーで設定された値を超えないようにしなければなりません。
必要な工具など②ロックリング回し
スプロケットを固定しているロックリングという部品を回すための専用工具です。
形式によっては、これを回すためにさらにレンチが必要な場合もあります。
△このような柄がないタイプの場合は、別にモンキーレンチ等を用意する必要があります。
必要な工具など③スプロケットリムーバー
ロックリング回しを回すために必要な専用工具です。柄にチェーンがくくりつけられた工具です。
ロードバイクのスプロケットの交換③作業(1)ホイールを外す
※リムブレーキの場合です。
リアのブレーキのクイックを緩めて、クイックレリーズレバーを開放。ホイールを外しましょう。
後輪ホイールの外し方は苦手にする方もそれなりに多いかと思いますが、不慣れな方におすすめなのは、車体を逆さに立てることです。ブレーキのクイックを緩めたら、車体を逆立てにして作業しましょう。
逆立てにすると、ホイールを外したあとの車体の扱いに困ることもありません。
ホイールを外したら、ホイールのクイックシャフトを抜きます。クイックレリーズレバーを外すとき同様にナットを緩めていくと外れます。
外すとき、内側のバネを紛失しがちですので、ご注意ください。
△車体からホイールを外して、クイックシャフトを抜いた状態。
ロードバイクのスプロケットの交換④作業(2)ロックリング回しを噛ませる
ホイールを車体から外してクイックシャフトを抜いたら、スプロケットのロックリングにロックリング回しを噛ませます。
ロックリング回しの柄は、反ドライブ側(スプロケットがついていない方)からホイールを見たとき、中央より右側に来るようにします。時計で言えば2時位の方向にするとよいでしょう。
ロックリング回しに柄がついていない、レンチで回すタイプのものの場合なども同様です。
△ロックリング回しを噛ませます。
ロードバイクのスプロケットの交換⑤作業(3)
スプロケットリムーバーをセットして、ロックリング回しを回す
ホイールの反ドライブ側(スプロケットがついていない方)に立ちます。
その状態で、スプロケットの自分から見て左側に、スプロケットリムーバーを掛けます。スプロケットのどの段に掛けるかは特段決まっていませんが、筆者の場合は真ん中あたりの段に掛けて作業することが多いです。
△左側にスプロケットリムーバーを掛けます。
この状態で、スプロケットリムーバーには自分から見て反時計回りの向きに、ロックリング回しには自分から見て時計回りの向きに回します。言い換えれば、両方の工具の柄に対して、上から荷重します。
こうすると、ロックリングが緩むはずです。
△この状態で、両方の工具の柄に上から体重を加えます。
スプロケットはかなり高いトルクで締められているので、体重を掛けるくらいのつもりで圧力してようやく緩むくらいのことも多いです。固着している場合だと、体重を掛けてさえ手ではなかなか緩まない場合もあります。
なかなか手応えがない場合は、2人がかりで作業してロックリング回しを脚で荷重するなど、やり方を工夫するとよいでしょう。
ロードバイクのスプロケットの交換⑥作業(4)古いスプロケットを外して、新しいスプロケットを挿入する
ロックリングを緩めると、古いスプロケットが外せるようになります。
スプロケットは、ハイグレードのものであれば歯の1枚1枚がばらばらに外れます。また、歯のほかにスペーサーもあります。
古いスプロケットを将来的に再利用する場合は、歯が散逸しないように、また歯とスペーサーの順序が分からなくならないように、外した際に紐などで括っておくとよいです。
古いスプロケットの外し方が終わったら、新しいスプロケットを挿入します。
スプロケットと、スプロケットを入れていくフリーボディには切欠けがあります。入るべきところにしか入らないようになっていますので、両者をよく見比べながら挿入していきましょう。
△ホイールに新しいスプロケットを入れます。
注意すべき点としては、外すとき同様散逸しないように注意しながら入れる必要がある点と、10速以下のスプロケットを11速ホイールに使う場合は通称「10速スペーサー」と呼ばれる部品を挿入する必要がある場合もある点です。
後者についてはホイールごとにスペーサーの要不要がまちまちなので、ホイールの取扱い説明書をご参照ください。
ロードバイクのスプロケットの交換⑤ロックリングを締める
新しいスプロケットを挿入したら、最後にロックリングを締めます。
外したとき同様にロックリング回しを噛ませて、今度は外したときと逆、ドライブ側(スプロケットのある側)に立ってホイールを見たときに、時計周りの方向に回します。
△外したとき同様にロックリング回しを噛ませて、外したときと逆に回して締めます。
外すときに苦労した場合などはどうしても強い締め付けに億劫になってしまうかもしれませんが、指定トルクはかなり高いです。緩むと異音などの原因になりますので、しっかり締め付けましょう。
ロックリングの締め方が終わったら、あとはクイックシャフトを戻して、ホイールを車体に取り付ければ作業は完了となります。
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いかがでしたでしょうか。
専用工具は必要となりますが、自転車を長く趣味にするつもりであれば、持っていて損は無い工具だと思います。
カセットスプロケットの交換を行えるようになると、走るコースなどにあわせてスプロケットを交換することも可能となり、自転車の楽しみの幅が広がります。
是非、自分のニーズに合うスプロケットへの交換に、トライしていただければと思います。