「整備の部屋」では、ロードバイクやクロスバイクの整備に関わる情報を発信します。
⚠自転車は命を預ける乗り物です!少しでも不明な点、不安な点があれば、ショップ等信頼出来る人に確認してください!
目次
ロードバイクのサドル高さ&角度調整について①:調整による乗り味の変化
はじめに:ロードバイクのサドル高さ&角度調整の必要性
ロードバイクを効率的にまえに進ませるためには、適切なサドルの高さ、角度で乗る必要があります。
多くの方は、購入された際に自転車屋さんで適切なサドルポジションを出してもらっているかと思います。
しかし、乗り込んでいくうちに、初期設定のサドルの高さや角度に違和感を覚えることがあるかもしれません。
また、初期設定の時点では適切であっても、サドルやペダルを交換すると適切なサドルのセッティングは変わります。
季節が変わると服の厚みでも適切な高さが変わる場合があります。
このような場合、サドルのセッティングを変更する必要があります。
ロードバイクのサドル高さ&角度調整について①
調整による乗り味の変化
ロードバイクのサドルは、
・高さ
・角度(水平、前下がり、前上がり)
・前後位置(目一杯前に出す、後ろ目に取り付ける…)
の3つの調整要素があります。それぞれについて変更することによる変化を解説します。
サドルの高さの変更
サドルの高さは、一旦適切な高さが見つかったら、あとは下手にいじらない方が良いです。
0.3mm変わるだけでも膝が痛くなったりする、そのくらいシビアなのがサドルの高さです。
ちなみに決め方としては、股下長に0.88(書籍等により数字が異なる)等通称「股下係数」を掛けて算出するという方法があります。
ただ、数字を出すのが大変であれば、以下の方法でもサドルの高さを決められます。
・ペダルをかかとで踏み、踏み切った時に膝が伸びきるサドルの高さに設定
・これで膝が痛くなるのならば、0.1mm単位でサドルを下げて調整していく
・トルクが足りなくて踏み込みがちになるならば、逆に0.1mm単位でサドルを上げて調整していく。
最終的に決定を下す根拠とすべきは、自分の身体の感覚です。
自分の身体と向き合いながら、少しずつ変更を繰り返し、適切な高さを探すとよいです。
そんなサドルの高さですが、冬になって服の厚みが増えた時、一時的に変更する方もおられます。
厚みが増えるとサドルの高さが高くなったのと同じ効果を生み、そのままでは膝痛等に繋がる場合があるからです。
また、後述のサドルの角度や前後位置を変えると、BB(ペダルがついているシャフトの軸)から着座位置までの実質的な距離が変わります。
このため、サドルの角度や前後位置を変更した場合は、合わせてサドルの高さを変更する必要が生じる場合もあります。
サドルの角度の変更
サドルは水平が一番自然ですが、前下がり、もしくは前上がりにセットすることもできます。
前下がりセットは、サドルの先端部に近いところに座り、骨盤を前に倒した深い前傾姿勢をとってできる限りパワーを出そうとするような乗り方に向いています。
特にヒルクライムを速く走ろうという方などは、前下がりセットが多いように思います。
反面前下がりセットは、重心位置が前に行くため、安定性を多少犠牲にします。
また、サドルの細いところに座る関係上、サドルに体重をかけすぎない乗り方をしっかりマスターしている人以外だとお尻が痛くなるかと思います。
なお、前下がりセットにすると着座位置(サドル先端)の高さは水平セットに比べて下がります。
前上がりセットは、サドルの一番後ろの幅広になっている部分を水平にすると良いです。着座する時は、水平になっている後ろの部分にしっかり座ります。
こうすることで、サドルの座面の一番幅広い部分に満遍なく荷重を分散できるため、長時間乗ってもお尻が痛くなりにくいです。
高いパワーを1時間弱のような短い時間だけ出せればいいようなヒルクライム等であれば前下がりの方が良いと思いますが、ロングライド等であれば前上がりも試してみるといいと思います。
なお、前上がりセットにすると着座部分(後ろ側)の高さは水平セットに比べて下がります。
サドルの前後位置の変更
サドルの前後位置は、一般にはクランク(ペダルが着いたシャフト)を3時方向にした時、膝が90°になる位置と言われます。
ただ、自分はあまり気にしたことがありません。ヒルクライムのみに賭けているため、できるだけ前に重心を持っていきたいという観点から目一杯前に出しています。
ただ、安定性はサドルを後ろ目にセットした方が上がります。
注意点としては、ハンドルまでの距離を調節する時、サドルの前後位置を変えないことです。ペダリングが狂ってしまいます。
サドル-ハンドルの距離はステムやハンドルのチョイスで調整するようにしましょう。
ロードバイクのサドル高さ&角度調整について②必要な工具
ロードバイクやクロスバイクのサドル調整に必要な工具は、オーソドックスなものであれば以下の通りです。
アーレンキー or トルクレンチ(必須)
所謂六角レンチです。
シートポスト(サドルを支えている棒状の部品)を固定しているシートクランプは、オーバートルクで固定するとフレーム破損に繋がります。
大事なフレームを壊さないためにも、トルクレンチを使用することをおすすめします。
水平儀or角度計(あると便利)
サドルの角度を変更する場合は、これらがあると何°変更する…といったぐあいに精密な調整ができるので、便利です。
ロードバイクのサドル高さ&角度調整について③実作業
ここから先は実際の作業です。
※近年は独自規格が増えていますが、あくまでオーソドックスな自転車における作業です。
③-1:サドルの高さを変える場合
(1)元のサドルの高さを記録する
作業前に必ずすべきことは、元のサドルの高さを記録することです。
定規等をあてて、写真に収めるとよいです。
(2)シートクランプのネジを緩める
次いで、シートクランプのネジを緩めます。
これにより、シートポストが上下するようになります。
(3)サドルを目的の高さにセットし、シートクランプのネジを締める
サドルの高さを変え、シートクランプのネジを締め直します。
この時、前述の通りですがトルクレンチの使用をおすすめします。
(4)確認
近年多いカムテール形状のシートポストであれば気にする必要はないですが、トラディショナルな真円形状のシートポストの場合、サドルが斜めを向いてしまうことがあります。
・真正面から見る
・後ろから見る
・跨ってみて上から見る
等し、サドルがまっすぐ取り付けられているか確認しましょう。
(5)増し締め
サドルの高さが勝手に下がってくることにお悩みの方が結構おられる印象です。
一旦サドルを取り付けたあと、近所を何kmか乗ってみて、そのうえで再度規定トルクで締めるとずり落ちが防止出来る場合があります。
サドルのずり落ちに悩む方はお試しください。
③-2:サドルの角度、前後位置を変更する場合
(1)元の高さ・角度を記録する
・角度計を使う
・サドルの固定レールにマーキングする
等し、元の高さや角度を記録してから作業しましょう。
(2)サドル固定ネジを緩める
シートポストにより様々な形式のものがありますが、大概はボルト2個か1個です。
緩めるとサドルの位置が調整できるようになります。
(3)サドルの位置を調整し、ネジを締める
位置決めをして、再度ネジを締めてゆきます。
以上で作業は修理となります。