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クランク長のおはなし

      

クランク長

こだわっていますか?

割りと完成車そのままを使い続ける方も多いように思います。

大体フレームサイズに合わせたものがついてくることが多いのでそれでも実用上難はないことが多いのですが、高身長もしくは低身長の方では適正から外れた長さのクランクを意識せず使っている場合があります。

今回は、クランク長について決め方の基準や、長さの違いによる使い勝手の違いを解説してみます。

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目次

そもそもクランク、クランク長とは?

長さの違いと使用感の違い

クランク長の決め方

      

そもそもクランク、クランク長とは?

そもそもクランク長とは何か、です。

初心者の方もおられると思いますので簡潔な解説です。

クランクとは、ペダルがついているシャフトです。

クランク長とは、クランクの回転軸=フレームのbb部分から、ペダルのつけねまでの長さとなります。

この長さ、スポーツ自転車取り付けの大体のクランクであれば、どこかしらに長さが書いてあります。

使っている方が多いであろうシマノのクランクであれば、左足側のシャフトの、ペダル取付部付近に数字が書いてあるはずです。これがクランク長となります。

 

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長さの違いと使用感の違い

長さが違うと、どのように違うのでしょうか。

 

1 テコの原理

長さにより、テコの原理だけを考えれば踏める重さが変わってきます。

長いと、支点から力点までの距離が遠くなるため、より倍数の高い=重いペダルを踏みやすくなります。

逆に短いと、支点から力点が近いため倍数の高い=重いペダルは踏みにくいです。

イメージとしてはアーレンキー(六角レンチ)です。長い方を持って回すと強く締められますが、短い方を持ってしっかり締めるのは難しいと思います。

ペダルを回すクランクもアーレンキーと同じで、テコの原理だけを考えれば長い方がより重いペダルを踏めることとなります。

 

2 使う筋肉の違い

これは主観的なものですが、短いほうが使いこなすのは簡単に感じます。

170mm、172.5mm、175mmと3種類使ったことがありますが、

170mmがいちばんハムストリングス(太ももの裏側の筋肉・持久力に優れます)

をしっかり使えている感覚があります。

175mmは最初使った時、ふくらはぎにダメージがきました。最近ようやく使い慣れてきましたが、持久力に優れるハムストリングスを長いクランクで使うのは技術が要るなと個人的には感じます。

また、クランクが長くなるとペダル一回転の円周が大きくなるので、膝の可動域などは大きくなります。175mmを最初に使った時は膝も痛くなりました。

上死点の処理が難しい、と言われます。膝が上側で詰まる感覚。特にTT等得意な方で、お腹が脚につくほど前傾される方は、これを嫌がって長いクランクを使わなかったりすることもあります。

筋肉の使い方の差のイメージとしては、ランニングにおけるピッチ走法とストライド走法が近いかなと思います。

短いクランクは細かく走っているようなイメージで、長いクランクは大きな歩幅で走っているようなイメージかなと感じています。

 

3 ケイデンスの差

 単純に円周の問題だと思いますが、長いクランクではハイケイデンスでの走行は難しいです。

自分の技量では170mm、172.5mmのクランクで200回転は回せますが、175mmでは回せません。

しかし走行しているときに175mmを使用しているときはローケイデンスで走っているかというとそうではなく、短いクランクを使用しているとき同様80-90回転程度を回せる倍数の段をナチュラルに選んで変速しています。

ただ、「踏めてしまう」ことが理由だと思いますが、長い175mmの方が知らず知らず踏みすぎていることは多いようには感じます。

その辺を加味して、ロングライドなどでは短い方が疲れないかと思います。

 

4 ダンシングのしやすさ

 

長い方が登りでの比較的ローケイデンス目なダンシングはしやすいなと感じます。

テコの原理で比較的重めの段でも踏めてしまうので、所謂休むダンシングでもあまり速度を落とさずこなせます。登りはいかに失速させないかがコツですので、体重とてこの原理に頼った休むダンシングでも速度をそれほど落とさずに済むのは大きなアドバンテージだと感じます。

スプリントは専門外ですが、ハイケイデンスで走るのが短いクランクより難しいのは変わりません。スプリンターの方がさほど長いクランクを選ばれないのは、この点が理由なのかなと思います。

 

5 見た目の問題

 

走りそのものではないですが、クランクを長くするとサドルの高さは低くせざるを得ません。個人的には速さに勝るかっこよさはないと思っているのでサドルを下げることに抵抗はありませんが、静止状態での見た目を気にする方は要注意です。

 

 

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クランク長の決め方

1 身長÷10cm法則

では、上記のような特性をもとに、クランク長をどのように決めれば良いのでしょうか。

一般に、「身長÷10」cmのクランクが適正と言われます。例えば175cmの方であれば、17.5cmすなわち175mmです。

しかし、ラインナップがこれに完全に適応してはいません。例えばSHIMANOのデュラエースの場合、165mm-180mmの間で2.5mm刻みです。

アルテグラ以下だとラインナップの幅はもっと狭くなります。

したがって、165cm未満の方、また180cm以上の方はそもそも身長÷10cmのクランクを選びようがありません。

 

2 プロ選手の傾向

プロ選手を見ても、この身長÷10法則に完全に当てはまっているとは言えないです。例えば(ほんの一例&自分が把握している限りの情報ですが)身長高い選手が短いものを使っている例は多く、185cmのクリス・フルームは身長からすれば短い175mm。

ほぼぴったりあてはまっている選手の例としては、少し前の選手ですが178cmのランス・アームストロングは177.5mmからキャリア後期は175mm。

逆に小さい選手が長いクランクを使っている例としては、ナイロ・キンタナは167cmながら172.5mmを使用していたりします。

傾向として、クライマー系の選手は長め、スプリンター系の選手は短めではあるようです。しかし例外多数。

 

3 総括

以上を総括すると、身長と走行タイプによる傾向はあれど、必ずしも例に当てはまらない選手が多いというのも現実です。

よって、突き放すようですが、結局は色々試すしかないのかなと思います。その人の筋力、走り方などによって、選ぶべきクランク長は変わってくるものだと思います。

軽々に変えるのが難しいパーツという印象がある方もおられるかと思いますが、オーソドックスな規格を用いた比較的低価格な車体に乗っている初心者~中級者くらいのうちに、安めのものを幾つか買って試行錯誤するのが結局はいちばんだと考えます。

 

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